労働時間の管理よりも、睡眠時間の管理の方が、仕事の安全の上では有効な気がする。 | 植松努のブログ

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講演でしゃべりきれないことを書きます。

僕は、毎月、そうとうな時間働いています。

なんせ、土日もけっこう仕事です。

朝は、6時には会社に来ています。

 

僕の労働時間は、過労死レベルを軽く超えています。

それを、かれこれ20年ほど続けています。

でも、僕は生きています。

 

しかし、死にそうになったことはあります。

もっとも死にそうになったのは、睡眠不足が原因の居眠り運転です。

 

人間は、24時間心臓が動いています。

それは、働いていても、遊んでいても同じです。

時には、遊びの方が、働いているときよりも疲れることもあります。

長期休みの家族サービスで、働いているときよりも疲れた経験のある人は少なくないでしょう。

 

僕は、労働時間では人は死なないと思っています。

でも、睡眠不足だと、死ねます。

実際、身の回りで、過重労働で苦しんでいる人の話を聞くと、

睡眠不足の方が深刻な影響をもたらしているように感じます。

 

飛行機のパイロットは、前日の睡眠時間を管理されています。

僕は、普通の会社で働く人も、そうすべきだと思います。

事実、僕の会社でも、居眠り運転で出勤時に事故を起こした人がいましたが、

彼は、前の日の休日に、徹夜で遠くまで釣りに行っていました。

徹夜の長距離ドライブの後、そのまま出社しようとしての居眠り運転です。

もしも、会社まで来ていたとしても、会社の機械で事故になったかもしれません。

以前僕は、自動車の修理に関わる仕事をしていましたが、

そこにやってくる運転手さん達の間でも、徹夜で遊んだあとに事故を起こす人のことが

話題になっていました。

 

僕は、労働時間の制限とか、有給の消化よりも、

睡眠時間を確保する管理の方が、遥かに労働災害や過労死防止に有効だと思っています。

ちなみに、睡眠の質に関しては、個々人でかなりの差がありますから、

それは定期的にチェックして、個々人の基準を作るべきだと思います。

(若い人も、年寄りも、同じ睡眠時間で管理していいとは思えない。)

 

僕は、徹夜の仕事は危険だということを知っています。

というか、徹夜で、脳みその機能がかなり低下した状態でできる仕事なんて、

たかがしれています。

だから、会社に人に、徹夜の労働を要求する経営者の気が知れません。

それは、ミスを増やすだけですし、効率も悪いです。

 

昔、炭鉱は24時間稼働していました。そこで働く人達は、3交代制で働いていました。

僕はそれがあたりまえだと思っていました。

しかし、今の日本の公共工事では、2交代制が基準だそうです。

え?なんで?

消防署でも、徹夜の後に、まるっと休みが来ますが、それは、生活サイクルによいとは思えないです。

お医者さんも、時には30時間勤務などもしているそうですが、そんな状態ではどう考えても、診断ミスをしてしまうような気がします。命が関わることで、それはやめてほしいです。


1日8時間労働、と言ってるわりに、24時間勤務や、12時間勤務が、公務員の仕事に制度として存在しているのは、なんとも不思議なことです。

 

労働基準法は、とても大事な法律だと思います。

そして、労働時間などの規制が厳しくなっていくことも、

僕は悪いことだとは思っていません。

僕自身は、会社の仲間の労働時間をもっと減らせないかなと思っています。
なにせ、人生は意外と短いですから、仕事以外の時間も大切にして欲しいです。

しかし、残念ながら、労働基準法は、経営者を守れません。

世の中にものすごく沢山いる、自営業の人も、農家の人もです。

人の生命を守るための法律としては、これではちょっと不十分ではないかなと思います。

しかし、睡眠時間の管理、ということであれば、様々な人に適用しやすい気がします。

その人のかかりつけのお医者さんとデーターを共有して、

睡眠不足となったら、よい睡眠を取るようにアドバイスされるようにするほか、

過度の睡眠不足の場合は、お医者さんのカウンセリングを受ける義務が生じるとか・・・。

 

今のスマホには、睡眠を管理する機能もついていたりします。

睡眠負債という言葉も聞かれるようになってきました。

睡眠時間の管理という労働基準も、考えて見てもいいのではないかと思います。