凹む戦争映画 | 植松努のブログ

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講演でしゃべりきれないことを書きます。

リベリオンという映画を見ました。

本当は、ワルシャワ44というタイトルのような気がします。

 

ポーランドが作った戦争映画です。

 

第二次世界大戦の初期に、ポーランドはあっという間にドイツに占領されました。

ドイツ占領下のポーランドで、住民はひどく苦しい生活を強いられます。

しかし、第二次世界大戦の後半、ドイツがソビエトに負けはじめ、

どんどん後退してきたとき、ポーランドの有志がドイツに対して反旗を翻します。

なんたって、すぐそこまでソビエト軍が来てるのです。

この勢いで、ドイツをポーランドから追いだそう、と思ったのも当然だと思います。

 

しかし実際には、ソビエト軍は、ポーランドの手前で停止してしまいます。

あてにしていたソビエト軍のパワーを得られなかったポーランドの有志は、

どんどんやられてしまいます。

ポーランドの町も壊滅状態になり、多くの市民も犠牲になります。

 

という状況を描いた映画です。

 

ものすごく恐ろしい映画です。

残酷な表現もものすごく多いので、見るためには覚悟が必要です。

しかし、この映画は、日本人がほとんど経験したことがない戦争を教えてくれます。

 

自分たちの暮らす町に、戦争が及ぶ。敵兵が及ぶ。

これを経験した日本人は、あんまりいません。

南方で生活をしていた人たちは、経験したけど、ほぼ全滅してしまいました。

あとは、沖縄と、満州や台湾や樺太、北方の島々で暮らしていた人達くらいしか、

敵兵が自分の町にやってくる、という経験をしていません。

なにせ、日本本土は敵による上陸作戦を経験していませんから。

 

家の一軒一軒を調べられ、全員が引っ張り出されてしまう。

あげくは、殺されてしまう。

逃げ場所もない、隠れ場所もない。

圧倒的な力による暴力。

映画からは、ものすごい絶望感が伝わってきます。

僕の家族は、みんな樺太でした。
しかも、逃げ遅れて、実際にソビエト軍に占領されています。

当時の日本人は、国民服を着ていましたが、それが軍服にそっくりです。

だから、ある町では、住民のほとんどが殺されてしまったりしています。

特に、占領初期はひどかったそうです。

最前線の兵隊は、略奪の限りを尽くしたそうです。

でも、上級将校がやってくるようになると、それが収まって、ほっとした、

ということを、ばあちゃんはよく言っていました。

 

人間は、自分が知っている事しか知りません。

判断も決断も、自分の知識の中でしか行えません。

だからこそ、僕らは、学び続けなければいけないのだと思います。

 

たとえば、いま、雪が降ったらチェーンを装着・・・なんて話が出てるのは、

自分で雪道を運転しない人の発案のように感じます。

また、たとえば、車の走行距離に対して課税する・・・なんて話が出るのは、

自分で運転もせず、ガソリンを入れたことのない人の発案のように感じます。

自転車は全部車道を走れ・・・というのも、子どもの頃から自転車に乗らなかった

ひとの発案のように感じます。

 

代表選挙制で選ばれる代表は、地域の人達の意見の代弁者です。

しかし、その代表が、地域の普通の暮らしを知らない、というようでは、

代表である意味がありません。

お抱え運転手の高級車に乗るのではなく、

もっと、普通の地域の暮らしを学ぶ努力が必要だと思います。
(そうやって頑張っている政治家もいます。)

 

戦争は恐ろしい。戦争はしてはならない。

これを、本当にそう思えるためには、戦争を経験するのが一番でしょうが、

そういう訳にもいきません。

だからせめて、本や映画などで、戦争のことを「知る」努力は必要だと思います。

 

ちなみに、僕はエアガンで撃ち合うサバイバルゲームも嗜みますが、

これを経験したら、戦争なんて本当にいやになります。

なんたって、見えないところからの弾で、ばんばん死ねます。

リアルなら、最初の一発目で終わりです。

そう考えたら、怖くて戦争なんて無理だと、本機で感じます。

エクスペンタブルズとかを見ると、相手の弾は自分には当たらないように思えちゃいます。

でも、そんなことないです。

弾は極めて平等にとんでいます。

 

リベリオンという映画でも、その恐怖が描かれます。

相手の姿が見えない状態で、バカスカ撃たれて、どんどん死にます。

よけるとか、かくれるとか、通用せずに、どんどん死にます。

もう、ほんといやになります。


でもね、もうすぐ年末。
そんなときには、こういう凹む映画は見ない方がいいと思います。

 

でも、たまには、覚悟を決めて、恐ろしい戦争を知ることも大事だと思います。