昭和のビジネス処世術は、現在では通用しません。 | 植松努のブログ

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講演でしゃべりきれないことを書きます。

僕が気を付けていることがあります。

それは

(1)余計なことをしたら損をする

(2)そこまでする必要あんの?

に負けない事です。

 

なぜかというと、僕は経験的に、

「奇跡はお人好しが起こす」

「奇跡は仕様書には書かれていない」

「奇跡は余計なことをしたら起きる」

という言葉を信じているからです。

 

言われたことを、言われたとおりにやってるだけでは、

指示をした相手が想定した範囲のことしかできません。

そこには奇跡はないです。

 

また、奇跡をあてにした開発や設計など、してはなりません。

だから、奇跡は仕様書には盛り込まれることがありません。

 

奇跡は、お人好しが、指示されていない余計なことをしたときに起きています。

 
たとえば、第二次世界大戦中の名機と言われるP−51マスタングという飛行機がいます。今もアメリカのエアレースで大活躍です。
この飛行機は、元々は、練習機しか作ったことがない会社が、
自分たちだったらどんな戦闘機を作るのかを、頼まれてもいないのに勝手に開発して設計していたものです。
そこに、戦争が厳しくなって、飛行機の増産が必要になり、
この会社にも「他者が設計したP40」という飛行機の製造の話が来ます。
そのときに、「自分たちならもっといい飛行機が作れる」と言い切って、「じゃあ、初号機を120日で飛ばせるなら試してやるよ。」という無茶な条件をクリアしてしまいます。
(本物の戦闘機を120日で製造して飛ばすなんて、いまの感覚では「不可能」です。)
クリアできたのは、すでに設計が終わっていたからです。

「だれかこれやりたいひと!」と言われたときに、
「じゃあ、いまからやります!」の人と、
「もうできてます!」の人がいたら、
後者が絶対に有利です。
 
だからこそ、自分で考えて、自分で試すが大事です。
指示を待っているようでは、奇跡など起きないし、
先にやった人に負けるだけです。
 
人口が増えていて、情報伝達が遅い時代には、
見える範囲内にしか競争相手はいませんでした。
その世界では、うまく調整すれば、無理に競争しなくても、共存することができました。
その時代には、
余計なことをしないとか、ほどほどに要領よく生きるってのは、ありだったのだと思います。
でも、それではこれからは、どんどん置いてけぼりを食らうだけになると思います。
なぜなら、人口が減り始めたからです。
そして、競争相手は世界です。

昭和のビジネス処世術は、現在では通用しません。
奇跡は、余計なことをしないと起きないのです。