人は、経験したことしかわからないから要注意。 | 植松努のブログ

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講演でしゃべりきれないことを書きます。

僕も昔は、ほんの一瞬だけ、小学校の頃に、

野球少年団に入っていました。

すぐに辞めさせられた記憶があるけど。

 

で、記憶にあるのは、試合の時かな、

選手も、見守る大人の人達も、監督も、

相手のチームを、からかい、罵倒していました。

僕はそれが、すごく嫌でした。

 

子どもが小さい頃、百人一首のカルタの試合がありました。

そのとき、相手のチームは、畳を叩き、大声を出し、

すごくうるさいです。全然集中できません。

その叩いたり、大声を出したりするのは、教える人の指導によるものだったそうです。相手を威圧するのが大事だそうです。

でも僕は、それがすごく嫌でした。

 

スポーツマンシップってなんだろう、とずっと思っています。

正々堂々と・・・と宣言をしておきながら、

やってることは、まるでちがってる気がします。

その原因は、指導する人の「常識」なのだと思います。

 

以前、ある飲み会で、体罰について議論になりました。

僕は、体罰は刑法では犯罪なのだから許されない、と思っていますが、昔、部活などで、罵倒され、ビンタされ、蹴飛ばされて練習してきた人達は、「子どもなんてのは、ガツンとやんなくちゃダメなんだ!愛の鞭なんだ!殴られて正しく育つんだ!」なんて、真剣に言っています。
それが、彼の経験したことです。彼の常識です。

じゃあ、自分の会社でそれやれよ!

いうこと聞かない上司を殴れよ!

自分より弱い相手選んで暴力行使してるんじゃねえよ!

酔っ払って、議論はしない方がいいね。

 

昔は、人口が増えていたから、仕事が増え続けました。
しかもロボットがいなかったので、人間の仕事の大半は、
「同じ事を繰り返す」でした。それが常識でした。
その環境では、「いわれたことを、いわれたとおりに、余計なこと考えないでやればいいんだ!」が重要でした。
その頃に、「素直・まじめ・勤勉」が日本人の美徳といわれるようになりましたが、こんなもん、支配者にとって都合がいいだけの奴隷の条件です。なにが美徳だ。
そのためには、命令と支配と管理がとても有効でした。
ピラミッド型の組織も効果的でした。
しかし、これからはちがいます。
人口が減り、マーケットは縮小し、ロボットが増えました。
これからは、素直とまじめと勤勉ではロボットに負けます。
これからは、思考がとても重要です。
 
だから、人口増加期を生きてきた人達は、気を付けるべきです。
僕らの教えられた奴隷としての常識を、これからの子ども達に押しつけない方がいいです。
大人は、「昔はよかった」なんていう、美化と自慢の過去の栄光にすがるのではなく、新しい時代の事を真剣に学ぶべきだと思います。