ワン・イン・ア・ハンドレッド | AFTER THE GOLD RUSH

AFTER THE GOLD RUSH

とおくまでゆくんだ ぼくらの好きな音楽よ――

Gene Clark/White Light(1971年作)

ロジャー・マッギン機長のザ・バーズ号が、ドラッグをキメながら「エイト・マイルズ・ハイ」をフライトしているまさにその折、逸早くパラシュートで離脱したのがジーン・クラーク副操縦士。地上に舞い降りた彼は、アメリカの土に接吻し、カントリー・ロックの荒野へと歩き始める。猟銃片手に、ルーツ音楽という獲物を捜し求めて。そして、気心の知れた仲間との猟で、大きな獲物を仕留めたのも事実。

 

1971年に発表した「ホワイト・ライト」は、悪友ジェシ・エド・デイヴィスとの最も偉大な猟の成果。
カントリー・ロックとLAスワンプが絶妙にブレンドされた楽曲からは、和やかで充実した狩の様子が伝わってくる。アルバム冒頭を飾る「The Virgin」、ザ・バンドの秀逸なカバー「Tears of Rage」、そして同曲が終わると切れ目なく始まる「1975」。クラークの枯れた味わいのヴォーカルにジェシ・エド・デイヴィスの泥臭いギターが絡み、どれも素晴らしい。

 

ボクは、「落ち込むなよ/悲しむなよ/決して手に入らないものを夢見ていたにしても」と歌われる「One in a Hundred」に惚れこんでいる。
この味わい深い名曲は、年代物のウイスキーのように冷え切ったボクの心と体を暖めてくれる。
今日もまた・・・。