バック・トゥ・ステイ | AFTER THE GOLD RUSH

AFTER THE GOLD RUSH

とおくまでゆくんだ ぼくらの好きな音楽よ――

John Martyn/London Conversation(1967年作)

寒い・・。この冬一番の強い寒波、らしい。クリスマスモードの新宿の夜は、すごく艶やかで、色っぽい流し目をボクに送ったりも するんだけど、財布がスカスカのボクにはただただ寒いだけで、結局、山手線に飛び乗って家に帰ってしまう。 ボクは時々、-仕事の帰りに-、品川で東海道線に乗り換えて静岡まで行ってしまおうかなんて誘惑に駆られたりもするのだが、結局、どこにも行かず家に帰っている。そして、今、ジョン・マーティンの歌を聴きながら、どこにも行けない自分を情けなく感じつつ、だけど、そんな自分に少し安心したりもしている。


 いくつもの寂しい夜を留守にしてきたけれど

 今日帰るよ 君の腕の中
 好きなように生きて 
経験も積んできたけれど

 君がいなけりゃ 何をやっても意味がない
 だから僕の可愛い娘よ もう泣かないで

 (Back To Stay)

 

ジョン・マーティンの優しくて繊細な弾き語りが、今日のような寒い夜には、実に心地良く響く。でも、マーティン先生、この頃まだ十代の少年だったというのに、どうしてこれほどまで表現力豊かなギターを弾き、心に染みる歌を歌えるんだろう?

 

1967年に発表された、彼のデビュー・アルバム「London Conversation」は、彼のギター伴奏(絶妙な味わいのフィンガー・ピッキング!)と歌以外「何も足さない」シンプル・イズ・ベストの名盤。英国フォークの月見草といった佇まいにグッとくる。

そういえば、ウッドストック一派を巻き込んで、奥さんと一緒に作った「Stormbringer」も信じられないような傑作だったなぁ・・・。