「リアリスティック不動産登記法」択一対策用テキストⅠとⅡをまだ読み始めたばかりなのですが、これ、かなりおススメしたいです。良いです。
例えば、これまで民法を勉強していて、第338条第1項(不動産工事の先取特権の登記)について学ぶと「不動産の工事の先取特権の効力を保存するためには、工事を始める前にその費用の予算額を登記しなければならない。」ということで
「この登記、工事を 始める前に登記しろ って・・具体的にはどうするのこれ??新築の一戸建てとか、なんにも登記が無い状態で、どうやって申請しろって言うんだろう・・現実にブツがないのに登記できるの??」
とふつう、考えますよね。
でもそういう制度があるのだから、手続きが出来るようになっているはずで「こうかな?」とイメージして、あるいは少し難しめの基本書を読んでみたりして、わかったつもりになって次に進むことになると思うのですが・・・この本があると、そういうところをちゃんと助けてくれそうです。
つまりですね
リアリスティック不動産登記法のテキスト、登記の流れを説明する本当に最初の方を勉強していると「ふつうの流れではない『流れ』もあります。今は『ふつうの流れではない流れ』があるんだなということだけ知っておいて、先に進みましょう」的な説明がされているのですが
でも、そう言いつつ、私のように細かいことが気になるとそれを解消・解決したい、調べてみたい、確認したいと、他の本とかネットとか、ひたすら探してしまう人のために、工夫がされているのです。
具体的には「先に進みましょう」という説明のそばに
そういうふつうの流れではない登記は「ここ」を見るとわかるよ、という指示がちゃんと出ていて「第2巻の第何章のどこどこを見よ」のように書かれているのです。
そしてその箇所を探していくと、不動産の工事の先取特権についての記述に出会ったわけです。
「おおおお・・・そうか、これかあ!」と、感動するわたし
もしかして、もしかすると、リアリスティックの「民法テキスト」を勉強していると、先取特権の不動産工事を説明する箇所にも、不動産登記法Ⅱのここを見よ、とか、指示があるのかな?
そうだとすると、素晴らしいですね。
民法で説明されている登記に関することで、ここがわからない、ということがあった時に、手元にある不動産登記法に関するテキストを開いてみることはあったのですが、「ということは?」に答えてくれるような記述には出会ったことがありませんでした。
まったく、役に立たない。役立たないどころか、ますます混迷が深まるばかりでストレスたまる、みたいな
でもこちらは
とても具体的に、簡潔に、しかし必要なことが全てちゃんとそこにある感じです。
松本先生の解説は「視覚的」なんですよね。情報が理解しやすいようにそこにある、という感じなのです。わかりやすい。
これはいい。
全ての情報が、目の前の問題解決のために、有機的に関わり合って、総動員されていく。
法律に限らず、人が身に着ける知識というものはそのためにあるのですが、松本先生の頭の中は常に「具体的な現実の問題を片付ける」ために動いているはずです。読んでいて、それがわかる。
なんと言いますか、この本は司法書士試験の勉強をする人あるいは司法書士として働く人の脳みそ内で意識が動く、その動きに従って書かれているというか、「ということは?」と生まれてくる疑問を放ったらかしにしない感じがあるんですよね。松本先生の脳みその動き方と私の脳みその動きと似ているのかな。快感と言ってもいいほどの満足感があります。
すごいな、この人、と思いながら、読んでいます。
もしかしたら、松本雅典さんは「アイコン」なのかもしれません。でもそれでもいいと思います。辰巳法律研究所が総がかりで仕上げたテキストなのかもしれない、と思うほど、この本は良いです。実務家になる人のための、テキストだと思います。
民法が現実の世界でどのように、手続きに生かされていくのか、それをまざまざと見せつけられるような、そんな印象を抱きながら今、このテキストを読んでいます。とても、楽しいです。
松本雅典という人は間違いなく、天才でしょう。