とまぁ、色々脱線してきたので、本題に(毎度スミマセン)。
この「カタストロフィの雨傘」、明菜ちゃんの「演じる」系歌手には、まさに真骨頂ではないですかね。
この歌詞の中の彼のためなら「いいことは何でも聞く」とか「嘘さえつける」とか、かなり尽くしてきた様に感じられます。
でも、振られちゃったんですね。
おそらく、お付き合いしていた間も、両想いなのに片想いのような、一方通行的な感じだったのではないかとエスパー。
そんな彼女の最後のお願いは目隠しをしたままで100まで数えている間に「幻でも見ていた様に消えて欲しい」なんて、もう号泣ものです(T_T)
切ないですねぇ…
このアルバムが出た時、僕は中学1年でしたが、この歌をうたう明菜ちゃんの哀愁漂う歌声に、何度泣かされたことか。
明菜ちゃんはロックも歌えちゃう人ですが、個人的にはバラードを歌わせたらピカイチ!の歌手だと思っています。当時もそう思ってました。
しかし、だんだん暗ーい路線になってきて、僕はついていけなくなって、彼女の歌を聴かなくなってしまうんですね。
でも、この曲が嫌いになるとか、そういうのはなかったですねぇ…てか、今も心にしみます。
僕はこの曲の歌詞も好きですが、メロディの良さが第一印象としてありました。
後年、和泉常寛さんだと知って、納得。
和泉さんといえば、1986オメガトライブの「君は1000%」を初めとする、殆どのシングル曲を手掛けた方として有名ですかね。
他にも、森川美穂さんなども手掛けていて、割と僕の好きなアーティストに関わっていたので、好きな作曲家さんでした。
ちなみに…僕が明菜ちゃんを聴くようになったキッカケですが、当時憧れていた高校野球の選手がいました。
その方と電話で話したり、年賀状を送り合ったりもしていたんですが、その人と好きなアイドルの話になったんですね。
で、その人が「明菜ちゃん好きだなー」なんて言ったので、真似してレコード買うようになった、という(笑)
青春時代の初め、あの頃の楽しかった思い出も、この歌の中に、いっぱい詰まっていたりします。
後でキョンキョンがいちばん好きだったと知って、愕然としましたけどね(笑)
暫く生明と格之進はバンシィノルンを見たまま動けなかった。
その止まった空気を動かしたのは、バンシィノルンだった。
「お前が…シンの妻か?」
「そうよ…。あなた…シンさんを知っているの?!」
「(それに応えず)、それならば頼みがある。オレは投獄コロニーから来た。どうか、助けてくれないか…?」
「投獄コロニー?!どうやって抜け出したというの?!」
投獄コロニーとは、凶悪犯罪を犯した人間が放り込まれる、地球外刑務所的な役割を果たしている宇宙コロニーのことだ。
その遺伝子を断つべく、投獄された犯人の子孫も、そこで産まれ、一生を終える運命を背負われるのだ。
「このようなモビルスーツを作る技術もある。コロニーから抜け出すのは、もう訳ないことだ。まぁ…時間はかかったがな」
「投獄された犯人を、あたしに救えとでも言うの?」
「気持ちはわかる。だが、その子供達はなんの罪もないのに、あの様な隔離された世界で生きていかねばならぬのだ。それでなくても息が詰まる牢獄のようなコロニーの中で、常に死の危険と隣り合わせの中での生活は…生きた心地なんてしない。せめて子供達だけでも…」
確かに生明も、その子孫まで罪を背負わなければ生らないのは、心を痛めていた。
そして…どうしても気になっていた事があった。
「考えさせて。少しだけ…1週間だけ」
驚いた格之進が生明を見た。
「分かった…ありがとう」
バンシィノルンの搭乗者は、姿を見せぬまま、その場を飛び立って行った…
「いいのかい?あんなこと言って!」
「投獄コロニー…気になる人がいるのよ」
「そうか…わかった。生明さんが決めたなら…僕も出来ることがあれば手伝わせてくれ」
「ありがとう。じゃ、テツヤとアラタ、りりのことを、頼んでいいかな?」
「…やはり、それしかないよな(笑)」
「なんか色々気にしてるみたいだけど…頼りにしてるのよ、あたしは格さんのこと?」
「えぇ…そうかなぁ…」
「適材適所っていうでしょ?それに、りりもいるから」
「生明さんは…?」
「あたし…?あたし、何が出来るのかな?あんなふうに頼まれたけど、何を期待されてるんかなぁ」
なんとなく、格之進は生明がオトボケ女に見えてきた。
それで、ここ最近気になっていたことをつい、聞いてしまった。
「話変わるけど…生明さん…どうしてあんなに頑なにマァルと戦わなかったの?」
「え…?だって怖いじゃない。格さんだって痛いの、嫌でしょ?」
「え?…まぁ、そ、そりゃまぁ、そうだけど…」
「明らかにあたしより強い相手に向かうのは、無謀でしょー、やっぱ。いかに逃げられるかしか考えてなかったよ」
「…い、意外だった。そうなんだ」
「意外?そう?だからね、格さんだってがんばり過ぎないで、逃げたい時は逃げていいんだからね?勝てない相手に立ち向かっていくのがカッコいいなんて、あたしは嘘だと思うんだよねー」
「で、でも…もし向こうが仕掛けてきたら、どうしてたの?」
「もちろん…逃げる(笑)」
「やっぱり逃げるんだ(笑)」
「だからね、戦うだけが偉いわけじゃないからね。子供の面倒も、大切…つーか、それがいちばん大切だ!」
「確かに…!」
と言って、ふたりで笑い合ったのだった。
(その2へつづく)