『蛇にピアス』金原ひとみ〜小説レビュー「スプリットタンって知ってる?君も身体改造してみない?」 | 『にゃんころがり新聞』

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writer/にゃんく
 

STORY 
 アマの舌はスプリットタン。スプリットタンとは、ヘビの舌のように、先端が、2つに分かれている舌のことです。
 アマは18歳の、ファンキーな男です。「アマデウス」のアマ。本人はそう言っています。この作品の主人公(ルイ)の彼氏が、アマです。アマは、顔中にピアスをしたり、体にイレズミを入れたりしています。
 一方のルイは、19歳の日本人の女の子です。いつも周りからは、両親がいないと見られがちなのですが、実際はそんなことはありません。家族とのつながりはある、とルイ本人が作中でも語っています。フランスの王族「ルイ」一族を彷彿とさせる名前ですが、実は本名。中沢ルイといいます。
 ルイは、アマと同棲をはじめてから、身体改造に魅せられてゆきます。まずは、スプリットタン。アマの手引きにより、彫り師のシバさんという男のもとに通い、舌に穴を開けたり、背中にキリンと龍のイレズミを入れてもらったりします。
(シバさんは、アマの友人です。アマのバイト先は、シバさんが紹介したものです。)

 けれど、ルイが、彫り師のシバさんとも肉体関係をむすぶようになってから、三人の関係は微妙に変化をはじめます。

 ある夜、さかり場で、ルイがアマとふたりで歩いていると、ヤクザのようなチンピラ2人に、ルイがちょっかいを出されます。
 逆上したアマが、チンピラを半殺しにします。
 後日、ルイは、そのさかり場で、男が殺されたニュースを耳にします。そして、犯人の風貌が、赤毛のアマに酷似していることを知ってから、ルイの人生は狂いはじめます……。

 

 

 

REVIEW

 

 言わずと知れた、すばる文学賞と芥川賞のダブル受賞作です。映画化もされました。
 集英社文庫の巻末の解説は、村上龍。
 村上龍も言っているように、これは若いときにしか書けない作品かもしれないと思いました(作者のすばる文学賞への応募時の年齢は、20歳。)。
 読んだ人はわかると思いますが、これが20歳の作者が書いた作品なのかとびっくりします。
 アマが殺されたときに登場する線香があります。この線香がひじょうにいい働きをしています。

 ストーリー性もバツグンです。とても面白いです。

 もうすぐお正月ですね。

 お正月休みに、ピリっと刺激の強い物語はいかがでしょう?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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こたつでまどろむにゃん五郎は、小林。様に描いていただきました!

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