コミック『ねこぢるうどん』のレビュー | 『にゃんころがり新聞』

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 『ねこぢるうどん』ねこぢる

 主人公というか、主要な登場人物はネコです。幼いネコの兄妹(?)が主人公です。彼らがしかし、見た目のかわいさとは裏腹に、実に無邪気に残酷なことをするんです。例えば、近所でキリギリスとかてんとう虫とか、昆虫たちのかわいそうな親子を集めて来て、裁判みたいなことを自宅の庭でやるわけです。そして、次々と、『お前は、虫ケラの罪で、死刑!』なんてことを言って、ガス室送りにするんですね。ガス室って言っても、ただダンボール箱で仕切った場所に閉じ込めて、キンチョールで殺しちゃうわけですけども。その次のコマでは、母ネコに、「おやつですよ」、なんて言われて家に戻ってカキ氷を食べています。なんというか、かわいらしい絵と残酷な内容がアンバランスな感じでおもしろい漫画です。
 私ははじめて読んだのですが、かわいいネコの絵なのに、ところどころ気持ちの悪い描写があり、話は必ず残酷な方向へ進みますね。

 この作品を読んで、「気持ち悪さ」を感じる方も多いと思います。その気持ち悪さを心地良いと感じてしまうのは、麻薬みたいなものが含まれているからなんでしょうかね。
 漫画で①~③巻まであります。
 ③まで読んでみて、ハマりました。
 すばらしいです。
 残酷な描写があるからすばらしいと言っているわけじゃなくて、この人の書く世界観がいい、としか言えませんけれど。
 各巻、読み切りの短いお話がつまっているのですが、作者は基本的に夢で見たことを作品に描いているようです。
 私のお気に入りの話は、自分のことをプリンセスと思っているおばさんの話と、天罰を与える神様の話、あとはラストの脳挫傷のトレモンド夫人を治療?している女性の話です。
 夢を作品化したのでは夏目漱石の『夢十夜』などがありますが、ねこぢるはもっと悪夢的な感じです。