『峠の春は』栗林佐知・・・76点 | 『にゃんころがり新聞』

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『峠の春は』栗林佐知・・・76点

(2006年太宰治賞受賞作)

 点数をつけるとすれば、76点くらいでしょうか。

 時代設定は徳川時代初期くらいです。
方言も強めで、地の文、セリフも全て方言で読みづらいです。

 ということもあり、若干、とっつきにくい小説ではあります。

 ラスト、マチへ出たはずのおくら姐さんがいきなり死んでしまうのは唐突な感じがしました。つまり、交際相手の作次が悪いということでしょうか。それとも、女が生きにくい社会だと言いたかったのでしょうか。あるいは、その両方でしょうか。


〈あらすじ〉ネタばれあり


 ある村で、親に捨てられたおきみさんは尼さんに拾われて育てられる。
 年頃になり、おきみさんの元にも足入婚(あしいれ)の話がくる。
 足入婚とは、嫁ぎ先でしばらくお手伝いのようなことをして、認められたら正式に結婚するという当時の制度らしい。

 しかし、おきみさんは、肝心の結婚相手が家の下女と抱き合っているところを目撃したばかりか、嫁ぐ予定の家のお爺さんから夜這いをかけられ、抵抗したことから騒ぎとなり、足入婚の話はなかったことになってしまう。

 村の一員として溶け込めるよう努力するおきみさんであるが、その努力はなかなか報われない。
 自分に歌を唄う才能があることを知ったおきみさんは、三味線を手に入れ、村を出る決心をする。