『苦役列車』西村賢太・・・87点 | 『にゃんころがり新聞』

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 『苦役列車』西村賢太・・・87点

 (あらすじ)

 貫多はもともと何不自由ない暮らしをしていたが、父親が性犯罪を犯したことによって両親は離婚し母と貧しい暮らしをすることを余儀なくされる。
 貫多は父親が犯罪者という引け目もあり学校生活でも周囲に打ち解けない陰気な性格の青年に成長する。
 中学を卒業後は日雇い労働に身をやつし、稼ぎは酒代と風俗通いに消える。手持ちの金がなくなれば日雇い労働に出掛けるという体たらくの毎日。
ところがある日、日雇い労働現場で珍しく友人になった同学年の日下部という男と知り合ってからは、心を入れ替えて毎日仕事に出掛けるようになる。そして日下部の彼女に女性を紹介してもらおうとするが・・・。


 語り口調が明るいので内容が暗いのですが面白く読めます。
文体も私小説の影響を受けているのか独特のものがありオリジナリティ溢れる感じです。

 本当にこの小説にあるような日雇い労働を続けながら小説を書いてきたのだとするとかなりの努力家だと思いました。

 偏見、(本人のせいでない学歴による)差別、貧困、孤独。文学のキーワード若しくはエッセンスがこの作品には詰まっているように思いました。

(第144回芥川賞受賞作 2011年)