『精霊の守り人』上橋菜穂子・・・75点 | 『にゃんころがり新聞』

『にゃんころがり新聞』

「にゃんころがりmagazine」https://nyankorogari.net/
に不具合が発生しました。修正するのに時間がかかるため、「にゃんころがり新聞」に一時的に記事をアップロードすることとしました。
ご迷惑をおかけして申し訳ございません。


『精霊の守り人』上橋菜穂子・・・75点


 ファンタジーです。
 はじめは期待大だったのですが。

 干ばつが予想されるから、聖導師が星読み博士に「今年は水が必要な田んぼを例年の5分の1に縮小し、日照りに強い作物を多く栽培するように」という触れを作らせようとしたのに、それでは税収が減ってしまうからといってこの指示をきちんと守らなかったりするところとか、王が建国の神話を壊すことになるから、息子のチャグムを殺そうとするところとか、人間臭くて良かったと私は思います。

 だけど、全体的に、あまり面白味がすくないというか、なんか説教くさいところや、女性が魅力的でないところが不満でした。
 あまりハラハラしなかったというか。

 バルサとタンダの恋愛にしても、情熱的なものがあまり感じられなかったような気がします。
 子供向けだから仕方ないのでしょうか。

 冒険ものということで、宮崎駿さんと比較すると、『風の谷のナウシカ』では人間のどうしようもない愚かさが強烈に描かれていたと私は思うのです。

 森を破壊し、やがては人間を滅ぼすことになるのに使ってはならない兵器の使用を止められない人間がいます。

 宮崎さんのアニメが皆に愛されている理由は、リアリティがあるからですよね。
 最近起こった宮城の地震でも、温暖化の影響であれだけの被害をもたらした津波が発生したのでしょう。

 そして人が便利さを求めるあまり、万一の事故が起こった場合、半永久的にその土地は使えなくなるというのに、私たちは原発をまだ止められずにいます。


 話がすこし脱線しましたが、そういう「毒」は何も書かれてなくて、ただ卵を狙う敵との戦いみたいなものに終始していたのは非常に物足りなかったです。


 サグ(こちら側)の世界とナユグ(あちら側の世界)を行ったり来たりするっていう話はすこしヒネリがありましたね。

<あらすじ>

 第二王子チャグムに精霊の卵が宿った。その後、チャグムは不審な事故に立て続けに見まわれる。チャグムが父親である王にその命を狙われていると感じとった妃は、女用心棒バルサにチャグムをたくす。
王の放った<狩人>を撃退するバルサ。だが、本当の敵が誰なのか、だんだん明らかになる。
聖導師が秘密の倉で石版に書かれた文章を解読させたところ、チャグムが宿した卵はニュンガロ・イムと言い、百年に一度卵を産んで、うまく孵れば、雲を吐き出す精霊となる。
 だが、卵を狙うラルンガという怪物がおり、卵が孵らなければ、大干ばつに見まわれる。
そして、チャグムの中で卵は成長し、バルサと狩人たちは協力して怪物ラルンガと対決する・・・