学習ノート 粟裕将軍の非凡な生涯を語る(18)渡江戦役  | 中島幼八

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中国残留孤児が語る

 

    粟裕将軍の非凡な生涯(18) 

            渡江戦役

 

渡江とは、江は揚子江のこと。北の淮海戦役が終了して、南へ下って揚子江を渡らなければならない。しかし、その前に蒋介石は共産党に平和会談を提案してきた。毛沢東は一応応じたが国民党側がのらりくらりと会談を延ばす。その間、揚子江沿岸に兵力を配置して、川を挟んで南北を分割支配しようと時間をかせぐねらいがあったらしい。それに対し、共産党側も渡江の準備を着々と進めた。まず船を大量に調達しなければならない。これまでの陸上の戦闘と違うので様々な演習しなければならない。兵士たちが水に慣れること、船酔いしないこと、等々。指揮者としての粟裕ら前線総委員会は作戦計画を作る。この作戦も中原と華東両野戦軍の共同作戦で進める。

国民党軍は総大将湯恩伯が指揮する45万人を上海から上流糊口までの800kmに配置。重点は上海南京付近。さらにその先の上流には別部隊の25万人を配置する。

それに対し、共産党側はこれまでの華東野戦軍を第三野戦軍と名称を変更した。陳毅が司令員、粟裕が副司令員、麾下に7〜10兵団を置く。全体として渡江戦役は上海の下流から東・中・西の3集団軍に分けて作戦を展開するという計画である。粟裕は東集団軍を主に担当する。つまり上海と南京の間である(赤い矢印の第一段階)。ここを突破して国民党軍の上海方面への退路を速く断たなければなならい。当ブログはとくに第10兵団が担当する江陰(江阴)部分を重点的に語りたい。

4月20日、粟裕副司令員が渡江戦役命令を読み上げる。彼の指揮所と寝室は泰州(蘇中戦役の場所)に移動。

 

東集団軍は江陰から渡るが、川幅が最も狭いところだ。それだけに国民党軍は江陰要塞を築き、万全の防備体制をとった。それに先駆けて共産党華東局ははやくも手を打ってあった。

 

4月21日夜間、渡江開始に相呼応して、要塞からの砲火も吹いた。しかし、渡江船舶の後方へ弾が落ちている。このとき、要塞内の共産党組織のメンバーが要所要所を全部押さえて、蜂起を宣言したのだ。その組織はかねてから唐氏兄弟(写真右)が中心に支部(写真左)ができていた。この日を心待ちしていたのである。

渡江部隊が上陸すると第二段階(地図の紫色)に入るが、ただちに粟裕の命令で上海へ向かう鉄道線に殺到する。完全に南京からの退路を断ち、そして太湖までの都市を占領して、上海へ接近してゆく。

一方、第三野戦軍第8兵団は4月23日夜、南京、鎮江を攻め落とし占領する。

譚震林が指揮する第7兵団がまっしぐらに杭州をめざし、そこを解放する(5月3日)。西・中の集団軍も一気に渡江して安徽省・江西省を席巻し、国民党軍の支配地域を東西に真二つに分断した。粟裕は回顧録でとくに強調したのは、この渡江戦役では全軍の上から下まで、「快」という一言に徹した。つまり「迅速に」ということである。揚子江を渡ってから、解放軍は一瀉千里の勢いで国民党軍を一掃したのである。

 

渡江戦役で私はとりわけ感動を受けたのはこれらの写真である。左上は「船工宣誓大会」の模様。「船工」とは船頭のこと。右下のは女性の船頭さんが船を動かしている。船は漁船が多い。しかも帆船。船頭さんはほとんど漁師であろう。渡江できたのはこの大勢いの船頭さんたちが支えた背景があったからだ。涙が出る。

 

回顧録によると、渡江戦役全体において、国民党軍を13万9000人殲滅したことだ。国民党の最後の防戦も総崩れし、揚子江の大河も共産党の支配下に入った。

 

        (次回(19)へ続く)

 

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