COCO KARAです。
この一年色々と楽しいことをしてきたよ。中でも一人でひっそりと楽しんで来たことがお気に入りのカフェで過ごすこと。
そして今日もカフェにいて、洋ナシのケーキをコーヒーと一緒に食べていた時にその感情は湧き上がってきたのでした。
「今あるものに感謝する」。
たぶんそれは洋ナシのケーキがものすごく美味しかったから。
それでふと、知っているある女性を思い出したのです。その女性は80歳を過ぎてから病気のために食べ物の味を感じなくなってしまいました。それまで料理上手だった彼女は味覚を無くしてからも今までのレシピ通りに料理を作ることが出来て、旦那様は変わらず彼女の料理を楽しむことが出来ました。
けれどその、旦那様が彼女の料理を美味しそうに食べることこそが、彼女の気に障ってしまったのです。それまで温厚だった彼女が、小言を言うようになり、ついには始終ガミガミと、旦那様のすること為すことに文句をつけるようになりました。
例えばこんな風に。
「ねえ、ジャック(旦那様の名前、仮名です)、どうしてここにモップがあるのかしら?モップを使ったらいつもの置き場に戻してと何度言ったらわかるの?」
「ねえジャック、コーヒー・メーカーにコーヒーが残っているけど電気が点いたままよ。しばらく飲まないなら電源を切っったらどう?」
「ジャック、このグラスは食洗器には入れないで手で洗うって言ったでしょ?繊細なグラスなのよ。前にも言ったのに私の言うことはまた無視するわけ?」
旦那様は以前は大きな会社の役員で今は引退して家にいました。初めのうちこそ彼女が病気のために味覚を失ったから怒りっぽくなったと理解していたけれど、ともかく家で奥さんと二人きりでいる間中、始終奥さんから小言を言われ、気の休まる暇がありません。
旦那様は教会の聖歌隊に入って、聖歌隊の練習でしょっちゅう家を空けるようになりました。
そしてある年の12月に旦那様はとうとう奥様にこう言いました。「今年のクリスマスは別々に過ごさないか?」
その年奥様のほうは、別の州で一人暮らしをしている娘の家でクリスマスを過ごし、旦那様は家に残って、友達の家へディナーをしに行きました。そして奥様はそれから娘の家に残ってそこで暮らし、その夫婦は今も別々に暮らしています。
今私は当たり前のように食べ物を食べ、味を感じることが出来る。
でもこれって当り前じゃない。
そしてたぶん今あるものに感謝しなければ、今持っているものまで失うことになるんじゃないかな。彼女にとってあることが当たり前だった旦那様との暮らしが無くなってしまったように。
洋ナシのケーキ、本当に美味しかった。そして美味しいと感じられることは奇跡。私がここにいることも奇跡だし、あなたが私の文章を読んでいることも奇跡だね。
私のところまで命を繋げて来てくれたご先祖様方、感謝しています。あなた方のお陰で私は健康に好きなことをして生きています。
そして私が今日まで生きてくるまでに関わってくれた全てに感謝しています。どうもありがとう。あなた方のお陰で私はとても幸せです。
では良いお年を!
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