2023年は可処分時間が大幅に減少か タイパに敏感な消費者 | 特選街情報 NX-Station Blog

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 経済学では収入のうち税金や社会保険料などを除いた所得で、自分で自由に使える手取り収入のことを可処分時間といいますが、この概念を時間に置き換えたものを可処分時間といいます。可処分時間は趣味や娯楽に使える自由な時間です。

 ここ数年は可処分時間はリモートワークによって500時間/年増えていたといわれています。学校・職場、移動に費やしていた時間が行動制限によって自宅時間になっていたのですが、経済再開(リオープン)・日常回帰で減少に転じています。そのためこの可処分時間の奪い合いが激しくなっています。平均的な人は平日は勤めが終わって帰宅後の寝るまでの2.6時間ほどが可処分時間です。時間は平等に1日24時間、可処分時間を増やそうとすると何かをやめるしかありません。

 

 日常生活の中で費やす時間が多いのが移動時間、次いで家事(特に食事の準備と片付け)、身支度や衣料の手入れ時間です。この時間を節約するには比較的大きな費用が掛かります。例えば職場の近くに引っ越すとか、家事代行サービスを利用するとかです。あまりお金をかけずにできるのが同時行動という時間節約の方法です。主目的の行動をしながら、副目的の行動を並行して行います。音楽を聴きながら移動する、動画を見ながら食事をするといった方法です。

 テレビやラジオはスイッチを入れれば流れ続けるので、家事、食事との同時行動と非常に相性がよく視聴習慣となっていた人が多かったのですがコンピュータの使用(PC、スマートフォン)が主になりつつあります。スマホでビデオ配信や音楽配信サービスを利用しながら、何かをするという習慣が浸透しています。

 

 

動画配信者
 

 

 マーケッター、クリエーターとしてどうすべきなのかを考える際の私の視点について述べます。
これからの可処分時間の奪い合いでポイントになるのが、接触機会を増やして獲得したユーザー持続させること、短時間で満足感が得られること、投下した時間に見合う期待値があることの3つです。

1.接触機会を増やして獲得したユーザー持続させること
 一定間隔で継続して投稿することで次回に期待させることでメンバーシップを獲得します。
接触機会はターゲット層に合わせて新作動画の投稿日時を合わせて最大化します。例えば、週末に合わせて金曜日、土曜日に投稿する。社会人の可処分時間帯(20時~23時)に新作動画を投稿するといった具合です。時事的なテーマや内容の場合には投稿は早いほどよいです。そのキーワードで再生回数が上位になれば膨大な視聴を狙えます。新作ゲームの先行プレイや発売日の実況です。


2.短時間で満足感が得られること
 隙間時間のユーザーが多い場合には短尺動画で中身が詰まった内容にするとか、コミカルな動きで何度も再生してもらうとか、そういう手法で再生回数を増加させることができます。

3.投下した時間に見合う期待値があること
 タイパ(タイムパフォーマンス)が良く感じられるかということです。1時間も2時間も観て何も無かったというのではタイパが悪いです。出演者の1日を10分で追体験できるとか、長期間かけてしっかり作りこんだ見ごたえのあるシーンが連続しているような動画はタイパがいいです。

 コアなファンを獲得しているクリエーターなら視聴者の期待値MAXなのでどんな内容でも一緒の時間を共有したいというニーズがあるのでのんびりお話でも成立するのですが、キャラが認知されていない駆け出しクリエーターでは分かりやすいタイトルとサムネイル画像で尺は短い方がいいです。歌や演奏、ソロキャンプとか釣りとか、○○をやってみたのような同じ題材でも演者次第で再生回数が伸びるかどうかは万~億単位に変わってきます。
 再生回数を増やすためにはオープニングやエンディングを凝った作りにする必要はほとんどないようです。途中の長すぎる間合いは視聴者の離脱につながるので尺稼ぎのために無駄に風景などを差し込んではいけません。ただし次回に続く動画の場合には終了時に決まったフレーズを言ったら直ぐに切ってしまうのではなく余韻を持たせておくと連続再生の視聴者に効きます。後日に動画をシリーズごとにリスト化して一気見を誘うときにも有効です。

 

 

 折しも動画サービス『GYAO!』3月31日にサービス終了、LINEのライブ動画配信「LINE LIVE」3月にサービス終了、ドコモ「dゲーム」2023年9月27日終了 「dコイン」の販売も3月27日に終了という発表がありました。GYAO!はコンテンツがテレビや映画用に作られたもので、広告付きの無料動画とGYAO!ストアはレンタルビデオの体系の課金システムでした。テレビ番組だったコンテンツについては1話目を期間限定の無料配信し、続編を有料にするような形態です。映画だったコンテンツはトレーラー(予告編)をお試し視聴し、本編視聴時に支払いが発生しました。旧作中心なのに有料なので同時行動の暇つぶしには使われなかったのではないでしょうか。
 有料動画配信は定額型サービスのHulu、ネットフリックス、アマゾンプライムビデオなどが台頭しています。定額サービスで見放題の状態になった人は別のサービスにある有料動画に課金しようとは思わないでしょう。
 

 

 

令和3年社会生活基本調査 詳細行動分類による生活時間に関する結果のリンク

社会生活基本調査を実施 令和3年10月20日 総務省統計局
https://www.stat.go.jp/data/shakai/2021/index.html


令和4年12月14日 調査票B 詳細行動分類による生活時間に関する結果を公表
https://www.stat.go.jp/data/shakai/2021/kekka.html

 行動の場所
 別生活時間(2016 年、2021 年)-週全体
 自宅にいた時間は50 分の増加。特に、25~29 歳では増加幅が最も大きく1時間58 分の増加