ビジネスにおける成功につながる手法を正解とするならば、間違えないことは成功を意味しません。言い換えると過去に失敗したことを繰り返さないことを「間違えない」というならば、間違えなければ正解なのかというと、そうではないことも無数にあります。
社としてはA事業、B事業、C事業の3大事業が根幹となっているときに、新規事業のD、E、・・・を始めるのかA~C事業をさらに伸長するのか、その判断は難しいものになります。機会と競合が影響するため、全部にリソース配分するのか、重点配分をするのか、その結果はかなり先にならないと分かりません。特に新規事業については決算期内に売り上げや利益といった成果が表れずに失敗とされてしまうこともあります。
前期に新規事業へ投資して失敗すると今度は既存のA~C事業へ投資しようというのは下策です。新規事業への投資の失敗原因が時期や投入リソース不足だった場合には士気の高いうちに再挑戦すべきです。それで成功したら、間違えないことは正解ではなく、失敗を克服するための成功への道のりであったわけで、遠回りの正解と言えるのではないでしょうか。
こうした考え方も上場企業や投資を受け入れている企業では、外部の利害関係者がいるためにトップですら自ら投資判断も結果判定時期も結果の成否も決められません。こうした状況下では結果の見えにくい長期的な取り組みが不利で、短期的な利潤を追求しがちです。こういう企業では基礎研究や人材育成がないがしろにされるのは直ちに売り上げにつながらないからです。
失敗体験から、失敗ではない方法を選べば成功だという思い込みはしてはいけません。
仕事術 間違えない≠正解のお話でした。