あっという間に今年も10月。ついに11月3日のアメリカ議会中間選挙まで1ヶ月を切りました。

 

中間選挙は、トランプ政権2期目に対する事実上の国民投票になります。上下両院で共和党を追い落とせるかどうか、民主党にとって正念場です。そんな中、政策や情勢だけでなく、若くて見た目にも惹かれる候補者が何人もいるのは、ゲイとしてはちょっとした楽しみでもあります。ソーシャルメディアによる選挙活動が隆盛な昨今の選挙戦、彼らをフォローしなくても、リベラルでゲイである私の属性をアルゴリズムが勝手に判断して、日を追うごとに目の保養のような映像が飛び込んできます。私が市民権を持っていなく投票権がないことは関係ないようです。

 

今回は特に注目のイケメン候補、アブドゥル・エルサイード(Abdul El-Sayed)、クリストファー・ギャラント(Christopher Gallant)、ユージン・ヴィンドマン(Eugene Vindman)の3人をご紹介したいと思います。

 

まずは激戦州ミシガンの上院議員候補のアブドゥル・エルサイード氏。ミシガン州ロチェスター・ヒルズでエジプト移民の両親のもとに生まれた41歳です。アナーバーに妻サラさんと2人の娘と暮らしているので既婚のストレート男性ですが、その端正な顔立ちと知的な佇まいは選挙戦を通してよく話題になっています。トランプや共和党は、彼に極左の「社会主義者」と活動家のようなレッテルを貼ろうとしていますが、本職は実績のある医者です。ミシガン大学を卒業後、コロンビア大学で医学博士号、オックスフォード大学でも博士号を取得した公衆衛生のエキスパートで、デトロイト市とウェイン郡で保健局長を務めた実績を持っています。

 

 

包容力がありそうな堂々とした体躯のアブドル氏

 

政治信条は民主党内でも左寄りで、「メディケア・フォー・オール(国民皆保険)」の実現、政治とカネの関係を断つことを訴え、企業献金を一切受け取らない姿勢を貫いています。民主党内でも左寄りのサンダース議員やオカシオコルテス議員が応援に入り、民主党上院候補指名予備選では中道派のヘイリー・スティーブンス下院議員を破って勝利しました。本選の相手は共和党のマイク・ロジャーズ元下院議員で、ミシガンは2024年大統領選でトランプが勝った州における唯一の民主党現職オープンシートという、まさに全米が注目する激戦区です。ルックスで言ったら断然勝利です。当選すれば米上院史上初のムスリム議員になります。ただ、ムスリムとは言っても、ニューヨーク市長のマムダニ氏と同様、かなりリベラルで当然ゲイにも寛容です。アラビア語訛りも全くなく、完全なアメリカンアクセントで、喋りは快活、典型的な今風のアメリカンです。アメリカで育ったのアメリカ人なので当然ですが。

 

 

分厚い胸板。カッコいいです。映画スターみたい。

 

アジア系住民にも積極的にアウトリーチ

 

次にユージン・ヴィンドマン氏(51歳)です。旧ソ連ウクライナ・キーウ生まれで、本名はイェヴゲニー・セミョノヴィチ・ヴィンドマンという、難民としてアメリカに渡ってきた背景を持っています。陸軍で軍法務官として1998年から2022年まで勤務しイラク戦争にも従軍しました。妻シンディ・グロフさんとの間に2人の子供がいる既婚者です。双子の兄アレクサンダー・ヴィンドマン氏は、トランプ政権1期目のウクライナ疑惑証言で一躍有名になった人物で、兄弟そろって「元軍人にしてトランプ政権の説明責任を追及する闘士」というイメージが強いです。

 

 

この雰囲気は、万人ウケする白人男性

 

がっしりとした体格と軍人らしい引き締まった雰囲気に惹かれるファンも多いようです。現在はバージニア州第7選挙区選出の下院議員として2025年から在職中で、スパンバーガー知事が13ポイント差で制した地盤の強い民主党区であり、520万ドルの豊富な資金力を背景に「確実な民主党区」として再選を目指しています。バージニアは今回の中間選挙で民主党が下院の議席をさらに積み増せるかを占う州の一つでもあります。去年、私の「推し」のイケオジ政治家を紹介したブログでも紹介しています。

 

高齢者に受け入れられるかがカギなのは日本と同じ

 

そして今回いちばんわかりやすくゲイコミュニティの注目を集めているのが、ニューヨーク州第1選挙区のクリストファー・ギャラント氏(37歳)です。上の候補者2人が外国にルーツを持つのに対して、生粋のアメリカ人(と言っても歴史を遡れば先祖は移民んんでしょうけど)で元軍人。2006年から陸軍州兵のブラックホーク・ヘリコプターパイロットを務め、ボランティア消防士、元航空管制官、地元組合の支部長も経験している叩き上げの経歴の持ち主です。6月の民主党予備選では対戦相手に約63%の得票率で圧勝し、本選では共和党現職議員に挑む構図です。メディケアやメディケイドの保護、処方薬価格の引き下げ、SALT控除の拡大などを軸にした、生活コストに焦点を当てた穏健めの政策を掲げています。政治的にはあくまで「地元密着・生活重視」路線で、前述のエルサイード氏ほど左派色は強くありません。そして何より、彼自身がオープンリー・ゲイであることを公表している数少ない候補者の一人です。

 

 

白いTシャツが映えるのはいい男な証拠

 

最近、政界入り前にボンデージ・ギア(拘束具)のゲイ・モデルをしていた過去の写真が流出し、共和党から激しい攻撃を受けました。しかし、本格的なポルノ映画に出演したとか、不倫したとか、犯罪を犯したと言うわけではないので、本人は「自分自身を誇りに思う」と毅然とした態度で応じ、恥じる姿勢を見せなかったことで、かえってコミュニティ内での支持と共感を集めています。選挙区の評価は「共和党優勢」から競争的な方向に動いており、決して楽な戦いではありませんが、彼の自然体な強さそのものが最大の武器になっています。まあ、仮に落選しても、彼のように確固たる信念と華のあるルックスを持っていると、世の中に影響力のある仕事がまわってくるような気がします。ゲイだろうがストレートだろうが、有権者には見た目麗しく、逞しい男を信頼したい本能があるのかもしれません

 

右上は彼がゲイモデル時代の写真。ライバル陣営にばら撒かれた

 

3人に共通しているのは、単に容姿がいいだけでなく、それぞれの人生経験——公共サービスの最前線、難民から連邦議会議員へ、そして自分らしさを隠さずに戦う姿勢——が、そのまま政治家としての説得力につながっている点だと思います。イケメンだからといって政策を後回しにするつもりは毛頭ありませんが、正直、応援したくなる理由が一つでも多いのは悪いことではないと思います。

 

11月3日、彼らがそれぞれの激戦区でどんな結果を出すのか、今から楽しみでなりません。

 

ところで余談で日本の私の実家の選挙区の自民党の候補者の話。件の裏金疑惑で大きく支持を落とした選挙戦の時、スーパー銭湯で有権者と裸の付き合いと称したドブ板選挙を展開していたことがありました。アメリカでも激戦州では、候補者が地元の盛場で集会を開いたり、有権者の家を一軒一軒まわったりして投票を依頼するスタイルが見られます。下の写真、サウナで集会なんてスタイルもあるのか、AIのフェイクなのか、、、アルゴリズムでうちの旦那のインスタグラムに出てきた「再選を目指す政治家と(投票率が低いと言われる)若い男性たちとのサウナでの対話」。今日取り上げた3人の候補者の誰かが、主催するなら、行ってみたいです。