昨年のクリスマス前からだんだんと弱ってきて、要介護状態になった義父。基本的な日常生活は専門の介護士さんに頼っていますが、イレギュラーなことや休暇の時期には、義兄夫妻と交代で旦那Dと私も介護に参画しています。
感謝祭の休みは義兄夫婦が担当してくれたので、クリスマスはうちの担当。ということで、片道12時間かけて南部の実家までやってきました。できれば飛行機使いたいのですが、今回は色々持って帰ってくるものがあり、車の方が便利、ということでドライブ。変わらない景色が延々と続く退屈な道中ですが、今年はニューヨークとアトランタのちょうど中間地点のヴァージニア州にドライブインのチェーン店「Buc-ees」の店舗がオープンしていて、旅の楽しみができました。
「Buc-ees」はテキサスが発祥の地で、ヒューストンに住んでいた時には、ダラスやサンアントニオなど周辺の都市を訪問するときなどに必ず寄っていた私にとって懐かしのドライブインです。南部発祥のチェーンで、我々が住むNYなど北東部には進出していません。立地に関する環境問題、LGBTなどマイノリティー保護などの従業員の権利などのイシューで、アメリカ北東部とは政治的に何かと相容れないからと聞いたことがあります。新しくできた店舗があるヴァージニア州は、4−5年前に知事が共和党出身者になった時に免許がおりたとか聞きました。最近の選挙ではまた民主党の知事が返り咲いてリベラル路線に戻りつつあるので、ヴァージニアでさらなる展開があるかどうかは不明です。
そんな政治的なトリビアは置いといて、この新しい「Buc-ees」、テキサスでお世話になってたと同じアメリカ的なゴージャスさには、全く期待を裏切られることはありません。むしろ、しばらく行ってない間に進化してます。
懐かしいBuc-eesのサインが見えてきた
車2000台くらい停められそうな広大な敷地
見た目はスーパーマーケットみたいです
楽しみにしていたのは、テキサスバーベキューコーナーです。ビーフ、ポーク、チキンとなんでも揃っています。この新店舗では、でかい塊の肉を目の前でさばいてくれるオープンキッチンが目玉。ノリノリのカウボーイ風お兄さんたちが、大きな掛け声をかけながら次々とグリルした肉の塊を切り分けて行く姿が壮観で、常にギャラリーができています。しかも、ものすごいボリュームです。クリスマス前の週末なので、アメリカ東部を南北に貫く国道81号線は結構な交通量で、このドライブインも大混雑です。南部に帰省する人たちにとっては、懐かしの味。各種バーベキューサンドイッチは飛ぶように売れてました。
ライブキッチンの中のお兄さんも絵になる
グリルしたての肉でサンドイッチ
プルドポーク(豚肉をほぐしたもの)サンドイッチ。でかい。
出来立てが次々に並びます
また、嬉しいのは、パン生地の中にソーセージやらチーズ、卵などが詰まった「コラチ(Kolache)」というテキサス名物が売っていることです。ヒューストンなどテキサスの大都市にはコラチのお店があちこちにあって、朝食やランチによく食べていました。いつも行ってたお店のコラチはもう少し丸かった気がしますが、ここのはコッペパンみたいで巨大です。なのに値段は1個約3ドルと格安。ニューヨークでは6ドルくらいしそうです。
テキサスにいた時から進化した点といえば、食べ物以外にも様々なグッズが販売されていて、「Buc-ees」自体がブランド化しているのが明らか。なんとなくチープな感じがしたあの頃とは隔世の感です。もしかしたらヴァージニアでは珍しいだけなのかもしれませんが。
クリスマスの時期、アメリカでは家族や職場の集まりで「アグリーセーター(醜いセーター)」を着る習慣があって、奇抜なデザインを競います。それで、どこに行っても派手なデザインのセーターやトレーナーが売っています。Buc-eesのアグリーセーターは飛ぶように売れていて、きっとこれで家族の集まりで披露するんだろうなと微笑ましく観察しました。
さらには、ワインまで豊富に取り扱っています。アメリカ人がバンバン買ってて、飲酒運転などを誘発しないのかなと不安になります。
このトレーナーが飛ぶように売れてた
ドライブインなのにこんなにワインコーナー充実
難点は、イートインスペースのような食べる場所がない点です。バーベキューサンドイッチとかフライドポテトは、車の中で食べるとソースがこぼれたり、揚げ物の匂いが充満してしまいます。できれば、買ったものをそのままドライブイン内で食べ終えたい。テキサスは年中温暖なので、大体みんな駐車場やその辺で食べてましたが、ここヴァージニアは緯度的に東北地方くらいなので、この時期とても寒いのです。それでも、薄着で外で食べてるアメリカンはたくさんいましたが、寒がりな私たちは仕方なく車の中で食べました。ビーフのブリスケットサンドイッチはテキサスで過ごした頃の懐かしの味。まだあの頃私はは30代前半で、このサンドイッチはボリュームが足りないくらいでしたが、今こうして食べると半分でお腹いっぱいで、脂肪分で胸焼けして自分の加齢を実感。
電柱の土台をテーブルがわりにする男たち
懐かしの味「ブリスケット・サンドイッチ」
久々なジャンクフードの食事でした
ここはフレンドリーなスタッフも気持ちいいです。入店する時、スタッフが「Welcome to Buc-ees!」と客に声かけをします。だからか店の中がとても活気があります。体育会系と言ったらいいのか日本で居酒屋に入る時に「いらっしゃいませ〜」みたいな威勢。以前テキサスに住んでた時に聞いた話だと、Buc-eesは金払いのいい、優良な雇用者のようです。基本的にドライブインという施設の性質上、立地は田舎町にあります。田舎には雇用の受け皿が少ないのはアメリカも同じ。新店舗なので、新しいスタッフを鋭意リクルート中のようで、求人広告があちこちに貼られていました。一番時給の低い倉庫係でも時給20ドル(3100円)休日勤務だと24ドル(3700円)。店長は年俸制で175,000ドルから250,000ドル。日本円で2000万円超えです。この地域の物価水準でこの給料は破格です。24時間365日営業なのでちゃんとした人材がいないと店がビジネスが回っていかないんだろうけど、こういうところにアメリカ経済のダイナミクスを感じます。
と、懐かしの味との再会から、地域経済への貢献といった硬派な観察まで、色々と興味深いBuc-ees訪問でした。今まで退屈だと思っていた旦那の実家へのドライブ。帰り道も楽しみになりました。
田舎でこの給料は破格。優良な雇用者でもあるようです
































































