最近ニュージャージー州に出張してきました。一人の出張の時のお楽しみは出張先の地元の日本料理を探索すること。今回もあらかじめ何件か目星をつけていきました。最近アメリカでは「え、こんなところにも、」というような町にも意外に美味しい日本食レストランを見かけるようになりました。

 

日本人シェフがやってるので味も鮮度もしっかりしてた

 

日本人がやっているところは基本的にハズレはありません。最初の夜は、この街の中心街にある日本食レストランに行くつもりでした。ただ火曜の夜はデリバリーか持ち帰りのみということで、アプリで持ち帰り用オーダーしました。マンハッタンで活躍してた日本人職人さんがオープンしたお店ということでネタもシャリもクオリティが高く、税金チップ込みで約25ドル(3700円)。これは良心的な値段です。アメリカの巻物というと「裏巻き」と言って海苔が内側に巻かれていることが多いのですが、ここは海苔巻きの海苔が日本で食べる寿司のように外側に巻いてあったので、プリッとした食感を味わえました。

 

しかし、その翌日以降の経験から、寿司や刺身といった日本の魚の生食文化をアメリカのあちこちで継承していくのはまだまだ難しいのかな〜という思いを持ちました。2泊目の夜はこの地方では初めてという本格的日本食を扱うスーパーに日本から直輸入の鮮魚を扱うという店があると聞いたので行ってみました。ここの売りである鮮魚コーナーでは、その場で寿司や刺身を好きなようにパックしてくれる方式の持ち帰りカウンターがありました。期待を胸に膨らませて行ったのですが、ショーケースを見て一気に買う気分は失せました。豊洲直送という本マグロが入荷したばかりとアピールしていたので、それで「鉄火丼」を作ってもらおうと思ったのですが、マグロの塊がまな板に無人のまま放置してありました。そしてそのまな板の上にスマホが2台、充電中で小汚い光景。暇な時はスマホいじりながら魚捌いてるんでしょうか。

 

このスーパーの売りは、さばきたての魚で刺身や寿司を提供

 

マグロの横にスマホ2台。スマホいじった手でマグロ触る。

 

私が待っている間に、この持ち帰りカウンター内にいるはずの職人は現れませんでした。出来合いの持ち帰り用の寿司詰め合わせやチラシ寿司がカウンターの横に並んでいましたが、もうここで買う気はなくなりました。去り際にやっと職人が持ち場に戻ってきましたが、早速手袋はめたままスマホ一通りいじって、さらにその後その手袋のまま魚切ってました。アメリカの多くの都市では、食べ物を扱う者は手袋をつけなければならない、という法律ができて、寿司職人でさえ透明のビニール手袋はめて握っています。でも、結局、手をこまめに洗うという根本的な衛生感覚が醸成されていないところでは、この店のように手袋はめた手でスマホ触ったり、支払い対応したりしてます。こんな光景を目撃すると素手より手袋の方が色々雑菌がついていて汚いと思ってしまいます。この「手袋法案」がマンハッタンで施行された時に、当地の日本人の寿司職人さん達は「逆に不衛生になる」と反対したそうですが、こういう光景を見るとまさにその不安通りになっていると思ってしまいました。手袋をしても、スマホいじった手で刺身扱われたのでは意味なし。やはり、寿司や刺身を消費する食文化がアメリカの地方にも広がって行っても、衛生観念までは追いついて行っていないようです。

 

結局この夜は、泊まってたマリオット系のホテルにあるアメリカン・フュージョン・レストランで「Spicy Tuna Avocado Bowl」をオーダーしました。メニューに「Sashimi grade」のマグロとあったので期待して出てきたのが下の写真。玄米の上にマグロとアボガドの細切れ、そして枝豆がのって、スパイシーマヨネーズと胡麻がふりかけてあるサラダ風でした。マグロは、つなぎ合わせたら刺身せいぜい2切れくらいの量。味は、まあまあでしたが、税金とチップ含めて45ドル(約6700円)。ホテル内だから結構なお値段。出張の日当が出るのでお財布には痛くありませんが、プライベートではこれに45ドルは高いかな。それとマグロを食べてたら今度は刺身と醤油、ワサビの風味を舌が求める感覚が出てきて、スパイシーマヨの味ではあまり満足することはできませんでした。

 

ツナアボカド玄米丼。チップ込みで45ドル(およそ6700円)

 

 

そして、その翌日の昼はスーパー・チェーンであるWegmansに行って、また寿司を求めました。握りセットもありましたが、なんとなく新鮮じゃない気がして、ツナ・ボルケーノ巻とスパイシー・キングサーモン巻。結局これに烏龍茶を足して合計25.5ドル。日本だったらスーパーのお惣菜コーナーやコンビニで千円以内で買えそうな感じですが、Wegmansは魚コーナー、充実しているのでまあまあ味は良かったです。もちろん、日本の本格的な寿司とは違いますが、少なくともマグロやサーモンの食感を醤油とワサビで味わうことができました。日本のスーパーマーケットでお惣菜を買うと上底でまるでボリュームがあるかのように見せることがありますが、この寿司は、3分の1くらいがシールで覆われていて、その部分は寿司が入っていなくて損した気分です。

 

 

 

ツナボルケーノロール($11.99)。噴火という身ですが、名前の由来は不明

 

スパイシー・サーモン巻き($8.99)。シールの下には寿司は入っていない

 

 

 

 

出張なのに、遊びに行ったのかと見まごうばかりの寿司レポですが、出張先の寿司を色々試して見たものの、寿司を求める味覚は収まるどころか、ますますきちんとした寿司が食べたくなってしまいました。結局マンハッタンに戻ったら行きつけの「Sushi Ryusei」に直行してしまいました。まさに寿司を求めて100マイル。夕食で混むちょっと前の時間にカウンターでつまむ程度ですが、やはり新鮮なお魚で知識のある職人さんが握る寿司は別格でした。

 

対してオチも何もないブログでしたが、寿司がメジャー化しているというアメリカでも、マンハッタンを離れるときちんとした寿司や刺身にありつくことは難しいというお話でした。


最後に、私のお気に入り「Sushi Ryusei」の記事をリブログし、今回の写真をアップします。日本食通な感じのシングルイケメンがカウンターに二人。一人は日本語でオーダーしてた。こういうのもマンハッタンならではの光景だと思いながら、計4日間の出張を終えました。

 

 

刺身5種盛り。ここで必ずオーダーするお気に入り

 

日本酒とペアリング。美味しゅうございました