からくり!? | SFショートショート集

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SFショート作品それぞれのエピソードに関連性はありません。未来社会に対するブラックユーモア、警告と解釈していただいたりと、読者の皆さんがエピソードから想像を自由に広げていただければ幸いです。長編小説にも挑戦しています。その他のテーマもよろしく!!

本編は「ルーキー」・・・続編です。

 

 

 

 突然カーラの瞳が大きく見開いた。

「ラクサム人の居場所が分かったわ、中国にある核ミサイル基地よ」

一同がカーラに注目した。ウィン博士の推察通りのことが起こったのである。

 

 カーラが見たイメージは次に示した中の一ヶ所であった。

 

 中国は北西部の砂漠地帯に大陸間弾道ミサイル(ICBM)の地下格納庫とみられる施設を建設していた。中国は200年前から核戦力の大幅な増強を続けていた。甘粛省玉門市の北西にある砂漠地帯で、核弾頭を搭載した弾道ミサイル用の発射施設が138カ所建設されていた。中国は核兵器300~500発を保有しているのである。

 

 ウィン博士はメンバーに指示した。

「サリーム全員、サイモンとリリーも現地に急行だ。核の転送を食い止めてくれ」

 

 ルスラン博士はすでにサイモンとリリーに変身パワーを施すことに成功していた。サイボーグボディにはその他のヒュームテクノロジーも搭載されている。

 

 サイモン、リリーも加わりサリームメンバーは現地に飛んだ。

 

 クリスチーヌが変身した偽のスーパーツインズを見つけた。現地は夜の時間帯。

「核は転送させないわよ」

驚いたのはラクサム人だ。いきなりスカイ・フォーが目の前に現れたのだから無理もない。どうして自分たちの居場所がバレたのか分からないでいた。

「あなたたちの行動はすべてお見通しよ。核を盗んで何をしようとしているの?」

「うるさいね、お前たちに我々の気持ちを分かってもらうつもりはないよ」

「マリコフに伝えて・・・憎むべきは”核”のはずよ。その核を悪用することは絶対にやめなさい」

「お前たちの指図はうけないよ」

 

 周囲にはすでにラクサム人の仲間7人がスカイ・フォーと本物のスーパーツインズを囲んでいた。

そして、彼らは一斉にスカイ・フォーとスーパーツインズめがけて攻撃してきた。接近戦でお互いにパンチを繰り出し、蹴りを入れて攻撃、そして反撃していた。弾丸銃や光線銃の類は、サリームに対して大きな効果がないことも知っているからだ。そこへラウロも加わった。ラウロはラクサム人の仲間ひとりを捕まえた。腕が異常に長く伸びて、相手に巻き付いた。その腕は蛇のように身体を締め上げていた。さらにサイモンとリリーがスーパーツインズに変身して登場だ。

 

「どっちが本物だ?」

サラとニナはサイモンとリリーが変身していることは知らなかった。

カーラに変身したサイモンが

「私たちのことはスーパーツインズと呼んでほしいね」

カーラに化けたサイモンはテレキネシスを使って、ラクサム人カーラをぶっ飛ばした。メグに化けたリリーはラクサム人メグにマインドコントロールで脳に負荷をかけた。彼女は頭を抱えてのたうっていたがすぐに反撃してきた。おなじマインドコントロールで応酬してきた。”リリー=メグ”も頭を抱えて苦しんでいたがほどなく回復できた。

 

 本物と偽物のスーパーツインズ2組だ。見ていると頭が混乱してくる。

 

 ”リリー=メグ”は脳への単発負荷では効果がないことをメグに伝えた。

メグが、

「二人同時に負荷をかけるわよ」

 ”リリー=メグ”とメグはタッグを組んでラクサム人メグの脳に二重負荷をかけた。ラクサム人メグはまたもや頭を抱えてのたうち回った。今度はそのまま意識を失ったように動かなくなった。次の瞬間、元のラクサム人に戻っていた。ついにラクサム人メグの変身を解くことができたのである。

 

 次はラクサム人カーラがターゲットだ。カーラとラクサム人カーラはテレキネシスの応酬をしていた。

リリー=メグ”が

「どっちが本物?」

サイモン=カーラ”がカーラに

「転送して、後はメグたちに任せて」

カーラはすぐさまテレポートしてその場から消えた。

すかさずメグと”リリー=メグ”が、二重にラクサム人カーラめがけてマインドコントロールをかけた。これで、ラクサム人スーパーツインズは遂に元のラクサム人サラとニナに戻ってしまった。

 それを見ていた仲間たちも戦意を喪失してしまい、ラクサム人の一行は突然、全員が忽然と消えてしまったのである。彼らはあっさりと引き上げていった。スカイ・フォーのフラッシュリングを警戒して、彼らを監視していたマリコフが母船に呼び戻したのだろう、捕まる前に。

 

 核の転送を阻止することはできた。だが、捕らえることはできなかった。マリコフはいつしか次の手を打ってくるだろう。

 

 

 ラクサム人の居場所を割り出したからくりは・・・

 

 テクノスーツを纏った偽りのスーパーツインズは本物と同じパワーを発揮できる。テレパシーも例外ではない。ラクサム人が犯行の現場では変身するだろうことは容易に推察できた。その際、二人の間でテレパシーによる意思疎通が行われるに違いないとウィン博士は考えた。活動の現場では、一瞬のタイムラグが成否に大きくかかわることも少なくない。だからスーパーツインズは現場ではテレパシーによる意思疎通を頻繁に行っていた。テレパシーは疎通相手を思い浮かべるのであるが、本物と偽物の相手を区別できない。放たれたテレパシーに距離は関係ないので、本物のスーパーツインズにも届くだろう。受け取ったイメージから彼らの居場所は割り出せると推察したわけである。

 

 ウィン博士はスーパーツインズに、常にテクノスーツを纏っているように指示を出したのは、いつでも変身したラクサム人からのテレパシーを感知できる態勢でいてほしかったからである。それと、脳にマインドコントロールで負荷を加えることで変身を解くという可能性は当たっていた。ただし二重負荷が必要だった。脳への二重負荷は”リリー=メグ”が加担してくれたことで実現できたのだ。

 

 サイモンとリリー、それにラウロは予想通りの役割を果たしてくれた。

 

 サラとニナは確かに”どっちが本物?”と、言っていた。

ラクサム人はまさか変身できるルーキーがサリームに加わっているとは思っていなかっただろう。

 ラウロに関しても、サリームメンバーも驚く能力を披露してくれた。実はサイモンとリリーに装備した変身パワーを、ラウロの手足に限定したバージョンを試作して装備していたのである。

 

 ルスラン博士は、サイモンとリリー、そしてラウロの3人をまとめて”ファンタスティック・スリー”と呼ぶことを提案した。

 

 

 …続く