今治〜尾道 同行二人旅 | /// H A I H A I S M ///

/// H A I H A I S M ///

あわてない、あわてない。赤ちゃんが「はいはい」するように、のんびりゆっくり進みましょう。

この2週間の旅行中に、ボクは自然の中ではあんまり落ち着いて物事を考えられないんだなって気がついた。やっぱり都会の中の居心地のいい場所じゃないとだめなんだな。
でも、今治から尾道まで「しまなみ海道」を自転車で移動したのだけは、自然の中にいることを楽しめた気がした。

しまなみ海道」ってのは、尾道と今治を、その間にあるざっくりと6つの島とざっくりと7つの橋で結んだルートで、本四架橋のいちばん西のルートなんだ。この橋は、徒歩や自転車でも渡ることができるようにデザインされている。


今治駅前でレンタサイクルを借りようとすると、ここにはママチャリしかないと言われ、ママチャリで80キロを走るのはさすがに疲れるだろうと思い、一番今治側のサイクリングステーション(自転車の貸し出しを行っている拠点で、しまなみ海道沿いの要所要所に用意されている)で、スポーツタイプの自転車を借りた。
担当のおじさんが持って来た自転車の、一応ブレーキがちゃんと効くのを確認して、これから数日間こいつと一緒に旅をするんだな、だったら愛着を持てる名前を付けてあげなくちゃならないな、と思って「空海号」と名付けた。
もちろん、弘法大師様の空海だよ。何かを考えるために出かけたお遍路の旅の道連れには「同行二人」のお大師さまがいちばん相応しいって思ってね。

///   H A I H A I S M   ///-空海号
↑ 空海号勇姿 渡し賃は10円

まぁ、ボクは物に名前を付けることが多い。愛着を持つためにね。
前も記事に書いたかなぁ。我が家には革製の大きなサイの置物があるんだけれど(犬で言えばセントバーナードくらい)こいつの名前は「カバ」って言う。そして、旅行中一番豪華だったホテルのベッドの上には抱き枕があったんだけど、こいつがどうも通常の太さより細かったものだから「南極1.5号」って名前を付けた。

*****

さて「空海号」なんだけど、走り出してみるとなんともポンコツなんだ。特にポンコツ感にあふれているのがギアまわりの整備不良のところで、ボクに自転車の知識があれば調整できる範囲だったのかもしれないけれど、ギアのチェンジが上手くできない。
坂道の勾配に会わせてギアを変えようとすると、その旅にギシギシと音を立て、ガラガラとチェーンとギアとが噛み合ずに滑る音がして、で結局もとのギアに戻したりしてた。

まぁたまには上手くギアチェンジができることがあるんだけど、もっとイライラするのがペダルを3漕ぎ、4漕ぎするとその度にチェーンがギアから外れて空回する。この頻度で空回りされると、爽快なサイクリングというワケには行かないんだな。

それでも坂道をくだり降りる時なんかは、風が爽快で、青空に光る海や島々や、白い橋梁の姿が美しいって感じて、なんともハイな気分になった。こんな多くの小さな島々がバラバラと海に浮かんでる風景を見たのは初めてだな。波は静かで、海なのだか、大河なのかわからないくらい。

登り坂では空回りするギアにイライラしながらも一生懸命漕ぎ、下り坂では風と風景を堪能しながら、ポンコツ「空海号」と一緒に、ある島のある集落まで到着した。
久しぶりに長距離ののサイクリングを、そサドルの柔らかいママチャリじゃない、それなり仕様の「空海号」でしたものだから、サドルがあたる尻の部分が痛い。激しく痛い。しまったな。サイクリング用のパンツを買っておけばよかった。いや、明日はパンツを3枚重ねではいて「空海号」に乗ろうかな。

その宿には大浴場があることを聞いていて、大きな浴槽で身体をたっぷりと伸ばせば、ひさしぶりのサイクリングで疲れた身体もきっとリラックスするだろう。サドルにあたって痛い(おそらくアザになっている)尻も、きっと喜ぶだろう。
宿に着いてチェックインをする時に、宿の女将に「お風呂は4階のを使って下さいね。当館のお風呂は24時間風呂になってますんで、午後の4時からお入りになれます」と言われた。 ← ん?

部屋に入ってみると宿の案内に、大浴場は1階と4階にあり、午後4時から夜の9時までは1階が男性用、4階が女性用だと書いてあった。午後9時に男女が入れ替わって、翌朝の9時まで入浴できるというシステムなんだ。温泉宿に良くあるシステムだよね。

でも、宿の女将は4階の風呂に行けって言ってたよな。まさか女だと思われたのか?こりゃ確認が必要だ。下手に4階に入って行ったら女性の先客が居て、痴漢扱いされたらたまらない。しばらく旅に出て色々と人生について考えて来ると言って出かけたボクが、瀬戸内の小さな島で女風呂に入ろうとして警察につかまったなんて知った家族は、きっとガッカリする。まぁたぶん。あの人ならやりかねないわ、とは思わないと思う。

そこで、帳場に言って確認した。4階に風呂で良いんですよね。すると女将は、あらごめんなさいね。今日は4階しか風呂は開けてないんですよ、と ← ん?

ということは、今日の宿泊客は男性だけですか? それとも混浴ですか? と確認するのがためらわれて、ならそうすればいいやと4階の風呂でリラックスした。

風呂上がりに、宿の近くの、客がボクだけの中華料理屋に行って軽くビールを2杯飲んだ。コップ2杯じゃないよ。ジョッキで2杯。ところがそのジョッキが1リットルは入りそうなでかいジョッキだった。こんなでかいジョッキを見るのは、ほぼ20数年振りだ。20数年前、吾妻橋のたもとにあったアサヒビールのビアホールで生大を頼んだら、このくらいのジョッキだったっけ。

///   H A I H A I S M   ///-デカビール
↑ デカイ大生 600円

で、気持ちよくなって宿に戻ってみると、宿の客室の灯りは一部屋も灯っていない。
宿泊客が他には居ないんだ。ボクだけなんだ。だから大浴場も1つしか開けていなかったんだ。

ボクのためだけに夜中の間もずっとお湯を流し続ける大浴場になんか申し訳ない思いで、こりゃ夜中も数回風呂に入ってやらなくちゃいけないかな、とも思ったけれど、客がボクしか泊まってない宿で、夜中を廊下を歩くのはちょっと怖いよ。
結局その夜は部屋から出ずに、どうか怖い思いをしないで朝を迎えられますようにって、願いながらおとなしく寝た。

それにしても、24時間風呂ってのはどういう意味なんだろうな。夕方の4時から朝の9時までは17時間なんだけどね。

*****

特に恐ろしい思いをしないで済んで迎えた翌朝8時。昨日より痛みを増した尻を「空海号」のサドルに載せて尾道に向かった。

健脚ならば1日で走破する「しまなみ海道サイクリングコース」を、ボクはいろいろと寄り道しながら3泊4日くらいで行こうって思ってたんだけど、「空海号」はポンコツだし、尻は痛いし、もういい!って思って必死にこいで、1日半で尾道まで着いた。

まぁレンタサイクルなんてそんなもんさ、と思うことにした。「空海号」は絶好調とはいかなかったけど、この旅の中でいちばん想い出に残ったのが、この「しまなみ海道」サイクリングの旅だったんからさ。


ブログランキング・にほんブログ村へ  click me!

とは言え、このサイクリングの途中で○○銀行やらママリンから携帯に電話がかかってきたワケだ。 ●ここ
全てが上手く行くってことは世の中には無いんだ。たとえ「空海号」の調子が悪くても、尻が痛くても、オレオレ詐欺騒動があったとしても、このしまなみ海道の旅は面白かった。

全てが上手くいかなくても、十分楽しむ事ができる。

これは、当たり前のことかもしれないけれど、ボクにとっては目から鱗。