統一鉄道乗車記(その4:終着駅ハノイまで) | /// H A I H A I S M ///

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あわてない、あわてない。赤ちゃんが「はいはい」するように、のんびりゆっくり進みましょう。

前日の夕方5時にフエを出発した統一鉄道SE4列車は、定刻通り朝の5時、薄明かりのハノイに到着した。

普段のボクだったら、出発する列車の車窓から夕暮れ時の景色を眺めたり、同じコンパートメントの乗客の行動を面白がったり、途中駅の物売りをからかったりするのに、今回の列車でな何にもなしだ。ハノイに到着するのすら直前まで気がつかずにいて、コンパートメントがザワツキ始めてようやく目が覚めた程なんだ。

ワクワク楽しむはずの夜行列車で、なぜ? それは……

*****

話は前日に戻るけど、フエの宿で朝目が覚めた時、なんとなく気力がダウンいるような気がした。
あ、これはそんなに珍しいことじゃないのね。一人で旅行していると気力のアップダウンが結構あるもので、それにはそれなりの対処法が身に付いている。

まずは朝食を工夫することが大切でさ。
地元の人たちで賑わっている食堂に入って彼らに交じってローカルな朝食を取ったりすると、経験値も気力アップするんだな。でも、うっかりすると腹を壊したりするかもしれない。気力が落ちている時に慣れないものを食べると胃腸の調子に変調をきたしちゃうことが多いし、胃腸の調子がイマヒトツだとそれがまた気力ダウンにつながるんだ。負のスパイラルに陥っちゃう。

だからといって欧米風のこぎれいなカフェを探して、ジュースとパンとコーヒーなんかで済ませると、確かに胃への負担は少ないんだけれど、なんだか戦う前に逃げ出しちゃったみたいな気分になる。
自分が不調なのを自分で認めちゃったみたいな敗北感。

この辺のバランスについて考えながら、ベッドの上で作戦を立てていた。ガイドブックに、地元で人気の「しじみ粥(コム・ヘン)」の店があるって書いてあった。フエの街を貫くようにフオン川という川がが流れていて、その川中島のあたりではしじみ漁がさかんらしい。

地元民に人気の朝食で、その上粥なら胃に優しいし、ホテルからは歩いて5分程。
さっそく行ったさ。


田舎の駄菓子屋みたいな風情の建物には、幼稚園児用くらいの高さの、プラスッチックのストールとテーブルが並べてあって、どのテーブルも満席だった。
壁にはメニューの様なものが書いてあるけど、なにがなんだかわからない。OL3人組が席を立ったのを見つけて、店頭でしゃがみこんでいる店の主人風の男性に座っていいかと指と目で確認して、とにかく席を確保した。
さてどうやって注文しようか…… と考えている内にもう「しじみ粥」が出された。
きっと朝のメニューはこれだけなんだ。

///   H A I H A I S M   ///-コムヘン屋

「しじみ粥」は美味かった。
ナッツや、香草や、日本の粥には入っていないようなものも色々入っていたけれど、基本的には粥のやさしさがあって、しじみの出汁もとてもよく出ていた。量も少なめでさっぱり。

///   H A I H A I S M   ///-コムヘン
↑ 小皿は、唐辛子となにやらわからんものの塩辛

もちろん、気力がアップした。

店はお世辞にも清潔とは言いかねる。
ボクの座ったテーブルは、上も下も、前の客の食べ残しが散乱していたし、食べる前に、どんぶりの縁もスプーンもボクはティッシュでぬぐった。

でも大丈夫さ!
今まで海外で腹を壊したことは数える程しかない。
それも、地元の人も飲まない水道水をうっかり飲んじゃったりしたんだから、自分の不注意だ。
今回は注意深く行った。

*****

昼過ぎ、なんとも言えない疲労案に襲われた。急激にね。
なんて表現したら適切なんだろう。30メートル先の店に入ってお茶でも飲みながら休憩しようと思っついても、その30メートルを歩く事すらしんどい。

店に入って休んでいてもなかなか疲労感が抜けない。それどころか、だんだんとお腹の調子がおかしい。店の女の子にトイレを貸してくれと頼むと奥の厨房に連れて行かれ、その奥の、厨房との間を布のカーテンで仕切っただけのトイレを貸してくれた。

落ち着かないよ。出るものも出ないよ。

しかたがないから、納まらない腹をかかえながら、フエで一番の高級ホテル「インペリアル」に駆け込んだんだ。そこで2時間、調子が悪くなるとキレイに清掃されているトイレを借りて、小康状態の時はロビーの座り心地の良いソファーで休憩だよ。

時々腕時計を覗き込んでみたりしてた。これ、人待ちであることをアピールするためね。

*****

結局、夕刻の列車の出発まで、ほとんどこんな風に過ごすことになった。

フエの駅に着いてみると、SE4列車に乗り込む客で待合室は一杯だった。
ボクの体調は夕方になるにつれて回復し、体調が回復するにつれて気力もだんだんアップして来て、待合室で楽しそうに騒いでいるシンガポールからの学生の団体のことを、微笑ましいと思いながら眺められるほど気分は良くなっていた。

彼らはみんなすごく荷物を持っている。きっと旅行ももう終盤で、ハノイから母国に帰るところなんだろうな。スーツケースの中には家族や友人へのお土産がたくさん入っていて、そして旅行の想い出は、これから何十年もの間、彼らの糧になるんだろうな…… そんな風に考えていた。


列車の到着時刻が近づいて改札が始まり、みなそれぞれ自分の乗るコンパートメントが停車する位置に移動し始めてみると、彼らもまたボクの乗る第10車両の乗客であることがわかった。

列車が到着し乗り込み始めたものの、彼らは荷物が多いものだからなかなか乗り込めない。他の車両の乗客が全て乗り込んだ後も、まだ15人くらい乗り込めずにプラットホームに残っていた。
見かねた駅の係員が、学生団体の後ろに並んでいたボクを含めた数人の外国人客に対して、こちらの入り口から入れとジェスチャーで指示している。急げ、走れ、と。

小走りに急いだ。
前の客が乗り込むのを待って、自分の荷物を車両に持ち上げた。
ちょっとした力のかけ具合がいつもと違ったんだと思う。荷物は持ち上がりきれずにこちらの方に転がり落ちてきた。
それをあわてて手で受け止めようとして、たぶん、車両に小指を叩き付けた。

自分のコンパートメントに入り、あの叩き付けた指はどうなっているんだろうと見てみると、あらぬ角度で曲がっていて、自分の力では伸ばすことができなかった。

こんな感じ。

///   H A I H A I S M   ///-負傷直後
↑ そこそこ衝撃映像なんで小さくしておいた。興味がある人はクリックしてみてね。

驚いたな。
最初は突き指だと思ったんだけど、痛みは全然ないし腫れもない。
そっか脱臼したんだって思って、脱臼なら指をひっぱっておこうとぐいぐいと引っ張ってみたけど、引っ張るのを止めるとまたダランと指は下を向く。

いったいどうしたんだろう。ボクの指は。
もう列車は動き始めていて、明日ハノイに着くまではどうしようもないな。
でも、なんか気持ち悪いな。まっすぐにして置いた方がいいのかな。

そう思って、ショルダーバッグに入っている紙テープ(マスキングテープ)で応急処置をした。
ま、隣の薬指にくくりつけただけだけどね。

こんな感じ。

///   H A I H A I S M   ///-応急手当
↑ そんな衝撃映像じゃないけど小さくしておいた。興味がある人はクリックしてみてね。

可愛いテープでしょ?
我が家ではこの柄のテープがボクの持ち物を表すってルールになっているんでね。どこに行くにも連れていってるワケ。

さて、この指がどうなっちゃうかは、次回に続く!

COMING SOON !


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