なんてね。
ラーメン屋のオヤジに説教されながら食べるラーメンは、さぞかし不味い、いや不味いを通り越して不愉快なんだろうなって想像してた。
でもさぁ、こんなラーメン屋って本当にあったんだろうか? 一種の「都市伝説」みたいなもの?
美味しい物は大好き。美味しさが味わい分けられる人はすごいって思う。
でも、半可通のグルメには虫酸が走る。「なつむぎ」です。
っていきなり不平モードなのは、先日のある店での出来事を思い出しちゃったからでね……
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----- これこれ、こういうのを探していたんだけど、これ、もっと安くならないの? これじゃ高すぎだよ。
「トレンディドラマ」って言葉が今もまだ生きているならばそんなドラマに出て来そうな、いかにもな服装と自意識過剰感を身にまとった男が、店に入って来るなりそう店の主人に話しかけていた。
場所は都内にひっそりとあるギャラリーでね。
置いてある品物の趣味の良さと店の主人の誠実さで、ボクが時々顔を出す店なんだよ。ほとんど買うことは出来ないけれど。
店の主人はもう70代、声の男はその息子くらいの年代だった。
商品の仕入れ値やそれに費やす労力やらなんやらを考えると、なかなか安くならないんですよ。
と丁寧に説明する店の主人に対してその男は、
----- そういうのってさ、売り手側の事情なんじゃないの。こっちにしてみればさ、この金額でこれだけもの物を用意して欲しいってそういう話だから。ってクライアントにはそう言われちゃうワケよ。ボクの仕事は、売り手側の事情なんて通用しないシビアな世界だからさ。
とそう言うと連れの女性に、「な? ボクってすごいだろ?」ってなオーラを送ってたりして。
ボクは隣で聞いていただけだけどさ、
彼がどんなにシビアな世界に居るんだか知らないけどさ、
たまにいい女風の女を連れていたりするとイイかっこしたいって気持ちも、100歩譲って分からなくもないけどさ。
それこそアンタの事情でしょ。って突っ込みたい気分で一杯だった。
そして、いつもは下請けイジメの好きな横柄なクライアントにいい様にあしらわれてるんだろうな。そうこうしている内に、華やかなだと思って入った業界のイヤな部分に馴染んじゃったんだろうな。
そんな風にも思ったりしたな。
売り手には売り手の事情、買い手には買い手の事情があって、折り合ったところで商談が成立するってもんじゃないの? って、なんだか店の主人に代わって説明してあげたい気分になったりしたけど、
でも老齢の主人は慣れたものでね、ボクが心配する必要もなく、うまくその客をいなしていた。
ボクだったら「お客様にお買い求めいただくのが相応しいような商品は、残念ながら当店には置いてございません」って、慇懃無礼に言っちゃいそうだよ。
ご主人立派なもんだな。見習いたいな。そう思って店を後にしたんだよね。
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でもその後もずっと、後味の悪い客だったなって心にひっかかっていてね。
あぁ、記事にしてスッキリした。

本当は彼がどの会社の人だか(だからどの業界の人なのだか)、店のご主人との会話の中で聞いちゃったんだけどね。
なんか名指しするのも大人げないかなって思った次第です。