●Orquesta Aragón
ハバナの街はどうだった?
そう聞かれたらどう描写しようかと考えると、かなり難しい。
オールド・ハバナ(Old Havana)、スペイン語でラ・アバナ・ビエハ(La Habana Vieja)の観光スポットや、ホテルやレストランの並ぶエリアは、まるで花と光にあふれたテーマパークのようだ。
どのレストランにも、どのカフェにも、どのバーにも生の音楽が流れていて、街を歩いていても自然と音楽が耳に入ってくる。まるで街全体にBGMが流れているみたいだ。
観光客との記念撮影用に着飾った女性達や、
街に流れる音楽に合わせてステップを踏む老紳士や、
通りで涼みながら化粧品のプラスチックのビンを叩いてクラベスのリズムを刻む少女やらは、
みんなテーマパークのキャストなんじゃないかな。
古いアメ車のタクシーはアトラクションだな。
ところが、ツーリストが歩くエリアから一歩外れると、そこには壊れかけの街が広がっている。
壊れかけた建物の中で、人が生活している。
このコントラストは、ちょっと刺激的だった。
普通、壊れかけの街には壊れかけた人間達が集まっていて、ちょっと近寄りがたいものなのだけど、でもハバナの街にはそんな危険を感じることがなかった。
これも不思議だったな。
もしこの街で生活することができたら、きっともっと多くの刺激と不思議を体験できるに違いない。なんかそんな風に感じた。
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壊れかけの街で、どんな生活が営まれているかのレポートはちょっと難しいよ。ボクは単なるツーリストだからさ。
でも、ちゃんと食べるとしっかりとした値段を取られる観光客向けのレストランのことならレポートできる。
ランチの時間でもディナーの時間でも、たいていミュージシャンが生で演奏していて、そして演奏が一区切りつくと彼らはテーブルにまわってくる。そして、アーティストの活動のために少しだけ協力して欲しいと。
ある時、小銭を持っていなかったボクは、相場の3倍くらいのチップをはずんだことがあった。
----- セニョール、どこからいらっしゃいました? そうですか、日本からですか。キューバは初めてなんですね。 なるほどキューバ音楽が好きで、一度は来てみたかった。 では何かリクエストに応えましょう。 はい、では何かチャチャチャの曲をこの日本のセニョールのために1つ。
こんな感じで、相場の3倍に相当するサービスを受けちゃった。
♪ Poco pelo, poco pelo, poco pelo ¿para qué quieres barbero?
Poco pelo, poco pelo, poco pelo ¿para qué quieres barbero?
Si tu tienes poco pelo, ¿para qué vas a gastar tu dinero?
Si tu tienes poco pelo, ¿para qué tú nesesitas el barbero?
知ってる! 知ってる! チャチャチャのスタンダードだね。
ハバナに来て、リクエストに応えてもらって、食事をしながらチャチャチャを聴く。
なんて幸福なんだろうってね。
●Orquesta Hermanos Castro
●Orquesta America

この曲の題名は「Poco Pelo(ポコペロ)」 意味は、ちょっとしか毛がない。
こんな風に歌ってるんだよ。
♪ 毛がない。毛がない。毛がちょっとしかないのに、どうして床屋に行きたいんだい?
毛がない。毛がない。毛がちょっとしかないのに、どうして床屋に行きたいんだい?
お前さん、毛がないんだったら、なんで金を無駄遣いするのさ。
お前さん、毛がないんだったら、どうして床屋が必要なんだい?
悪いけどさ。ボクには毛があるからさ。