夜行列車のイギリス人青年のこと とか | /// H A I H A I S M ///

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あわてない、あわてない。赤ちゃんが「はいはい」するように、のんびりゆっくり進みましょう。

パリのオーステルリッツ駅からバルセロナのフランサ駅までを、およそ12時間で結ぶスペイン国鉄自慢の夜行寝台特急「ジョアン・ミロ号」は、フランスとスペインの軌間(レールとレールの間の距離)の違いも物ともせず走る優れものです。

その上個室を取れば、なんと専用のシャワーも付いていて、豪華なディナーも付いていて……

だけどね。
ボクは4人部屋のツーリストクラスだったから、そんな豪華さとは無縁。まぁ、ネットの前売りの激安チケットで74ユーロだったからさ。文句はないよ。
パリからバルセロナまでが74ユーロ、パリのホテルから列車の出るオーステルリッツ駅までのタクシーが30ユーロ、これって価格のバランス悪くないのかなぁ?

でね。その4人部屋はネット予約のときに性別を聞かれていて、男女が一緒にならないようになってるんだよね。女性の皆さんは安心でしょ? ボクの同室は、きれいなフランス語を話す黒人の紳士だけ。4人部屋だけど2人だけ、のんびり過ごせるなって思ったら、出発間際に背の高い白人青年が入ってきた。でかい荷物2つと自転車と一緒に。

彼は、イギリスを出てこれから1年間かけてスペインを自転車で旅するんだそうで、その自転車とでかい2つの荷物を4人用のコンパートメントに収納しようとするものだから、そりゃ大騒ぎになったんだ。
彼はしきりに、「ロシエント」「ロシエント」って繰り返してたな。

あ、「ロシエント」ってのはスペイン語ですみませんって意味なんだけど、彼はイギリス人なのに不思議とスペイン語しか話さない。いや、スペイン語のネイティブって感じじゃなくて、むしろスペイン語を勉強し始めて1週間って感じなんだけど、それでもずっとスペイン語。ボクが日本人だってわかってもスペイン語しか話さないんだよね。

これから1年間、スペインを旅行するから、って意気込みなんだろうなぁ。えらいなって思っちゃった。

「ボクは、バルセロナに友達がいて、そこで2ヶ月暮らす予定なんだ」

「へ~。うらやましいね。で、2ヶ月たったらイギリスに帰るの?」

「いえ。それから1年かけて自転車でスペインを旅行するつもりなんだ」

「そりゃすごい。1年たったらスペイン語ぺらぺらだね」

って、こんな簡単な会話をするのに、15分くらいかけるものだから、本当にいい暇つぶしになった。まぁ、フランス語でボクとこういう会話をしようと思ったら、辞書を使いながら3日はかかると思うから、それに比べたら超特急とも言えるけど。

実のところボクはって言えば、
「お前、そこ、無理しないで英語の単語で言えや!」って思ってたし、
彼だって、
「おい日本人。そこは察して、英語ではなんて言うのって聞けや!」って思ってたかもしれないけどね。
でもさ、若い頃のボクに彼みたいなバイタリティがあったら、もっと旅行が楽しくなってたんだろうなって思ったら彼の努力を無にしたくなくて、2人の間では英語はご法度みたいな感じで楽しいひと時を過ごしました。

会話の密度は低かったけど。

*****

ってな感じで無事到着しましたバルセロナ。

空は青い上にも青くて、ボクは時差ぼけも取れたし、夜行列車ではぐっすりと眠れて疲れも取れたし、その上、髪の毛も瞳も黒い、気の強そうなセニョリータも居たりして…… ふふふ。

さぁ、がんばって絵をさがさなくちゃ!


そういう気分で1日を始めたんだよ。ほんとに。


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