ベト飯とドクダミ --- Ho Chi Minh 滞在記(息子編) | /// H A I H A I S M ///

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あわてない、あわてない。赤ちゃんが「はいはい」するように、のんびりゆっくり進みましょう。

みなさま、ご無沙汰しておりました。
遅い夏休みを、家族とホーチミン市で過ごしてた「なつむぎ」です。

家族4人での海外旅行は初めてでしてね。
今年は色々と、家族的に区切りの年だって事で、
日数と予算、家族の興味と予算、そしてさらに予算などなど、いろいろと検討して、
思い切っちゃったってワケです。
近めのところで。

これからしばらくホーチミン市の想い出など、ポツポツと書くかもですが、
どうぞよろしく。

*****

初日、ホテルに着いた直後の突然のスコールがやむのを待って、
市内で一番大きな市場「ベンタイン市場」と、ホテル近くの観光の中心「ドンコイ通り」を、
歩いて」まわろうってことになりました。

そう。「歩いて」です。
ボクと一緒に海外に行くと、たいてい翌日足がだるくなるくらいに歩かされます。
バスで観光すると、街の構造が全然理解できなくなっちゃうんだよね。
だから観光バスでの市内観光が苦手でね。

でも歩いた後には、たいてい美味しい料理と、美味しいビールがたらふく飲めますよ。

*****

さて、ベンタイン市場は、
アジアの市場はこんな感じだろう、という期待を裏切ることなく、
雑然としていて、蒸し暑くて、様々な食材の臭いが充満してました。

海産物の臭いと、それが発酵した臭いと、床に落ちたそれらが腐敗した臭いが、鼻腔を貫きます。

そんな臭気の市場の中、食事を提供するお店が集まった一角があります。
ガイドブックなどには「フードコート」と書かれているけれど、
素直にフードコートを想像しちゃだめですよ。

街はずれの、カウンターだけの汚いラーメン屋が、
雑然として、蒸し暑くて、臭いのきつい市場の中に、十数件寄り添ってる。
そんな感じを想像してもらえるといいかもね。
明るさや清潔感とは対極にあります。

女房や娘は明らかにドン引きでした。
「ここでは絶対に食べられない」って思っているのが、
けわしい表情から、ありありでした。

その時、タイミングを狙い定めた様に、
「お腹がすいたよね」
と言ったのは、息子です。


彼は、何でも食べます。好き嫌いがない。
どんなものでも、その国で食べ物のカテゴリーに入っているものであれば、
普通の日本人ならゲテモノのカテゴリーに入っているものでも、とりあえず食べてみる。

そして、ほとんどが美味しく感じるらしい。

2年前、出張の際の荷物運び要員として彼をバンコクに連れて行った時も、
気がつくと屋台の「虫屋」さんに視線が釘付けになっちゃっていたりして。
ボクは彼が「食べたい」と言い出さない内にと、足早にそこを立ち去った程なのだ。

その彼は密かに、市場のあたりでホビロンを食べることを狙ってたらしくって。

あ、ホビロン(hột vịt lộn)ってのは、アヒルの有精卵を孵化する直前にゆでたもので、
殻を割ると、中から形の出来かかったアヒルのヒナが出てくるのね。グロい!

でも、一説によると、肉と卵の組み合わせは「親子丼」の具の味に近いとか。
ヒナの育ち具合によって、いろんな味覚が楽しめるのだとか。

$///   H A I H A I S M   ///-ホビロン
↑ホビロン 比較的、見た目のよろしい写真を選びました。


ホビロンを食べるのに比べたら、ここで軽く何か食べるのなんてハードルが低いよ。
大丈夫きっと大丈夫。
そう考えることとして、”フードコート” 内の「ブン」のお店のカウンターに座りましたよ。
思い切ってね。

///   H A I H A I S M   ///-ブン看板
↑ブンの店の看板 何が書いてあるかは分からない...

ブン(Bún)ってのは米を原料にして作られる麺で、
まぁ一口で言ってしまえばビーフンの仲間なんだけど、
数日、水に漬け「発酵させた」米を原料としているらしい。

だから、同じく米を原料とするタイの麺クイティアオ(ก๋วยเตี๋ยว)なんかとは違う、
風味と歯ごたえがある。


カウンターの中のおばさんが、片手に手袋、でももう片方は素手で、
大まかに肉をちぎり、麺をゆで、香草をぶち込んで出てきたドンブリからは、とても良い香りがした。

///   H A I H A I S M   ///-ブン
↑こんな感じだよ。

一口スープをすすると、ボクには少し甘過ぎにも感じたけれど、出汁がとても美味い。
「ほほぉ、ここは正解だったな。
 なんだかいろんな香草が入っているけれど、そのくらいで怖じ気づくなつむぎ様ではないしな」

とばかりに、次には麺に香草をからめて大口でほおばる。

スープは美味い。すごくね。
でも、ひと噛み、ひと噛み毎に、なにか違和感が増大するのを感じる。

当初は意識するのすらためらわれたものの、はっきりと言葉にするならば「臭い」
食べてはいけないものを噛みしめているような気分になる。

たとえるならば...
自転車に乗っていてあくびをしてたら、突然口の中に飛び込んできた虫を、
うっかり噛んじゃったような?

1口目はなんとか飲み込むものの、2口目へと進まない。

「ね、なんか強烈に臭くない? 1つだけ、苦手な葉っぱが入ってるんだよな」

「あ、これじゃないかな? ドクダミだね」


本の知識で、ベトナム料理にはハーブとして「ドクダミ」が使われることは知っていたけれど、
ほんのちょっとだけを、薬味的に使うんだろうなって勝手に思っていた。

ところが、葉っぱが丸のまま入っているんだもの。

ドクダミは臭い消しのために使われるって書いてあったけど、
他の臭いを消しているんじゃなくて、お前が臭すぎるんだろ!
と心の中で突っ込んだ。

「だめだわ。ドクダミは無理だよ」

と、麺と肉と無難なハーブだけを食べて、残そうとすると、

「あ、じゃぁボク、食べてもいい?」

と息子が、ボクの残りのスープと葉っぱを平らげた。

「お前、平気なのか?」

「ん? てか、徐々に慣れるんじゃない?」
なんて言って、女房の残りと、娘の残りも食べてたっけ。

そして、
「あ~っ! やっぱりアジアはボクに合ってるわ~」
なんて、大きく感動していたりして。

*****

その後、夜は、
レセプションのアオザイ美女も嬉しい、オープンエアのレストランで無事美味しいベト飯を食べ、
南国のビールを堪能しました。

でもね。その店でも、どかんと盛り付けられているハーブの中に「ドクダミ」はあって、
こりゃベトナムに居る内は、食事の度に「ドクダミ」につきまとわれるんだな、
なんて覚悟を決めたりもした。


翌朝は、ホテルのレストランでビュッフェスタイルの朝食です。
リーズナブルな価格設定のホテルだったんだけど、
朝食は、西洋料理もベトナム料理も、なんだかとっても洗練されていて美味しい。

まぁ、前日の衝撃の「ドクダミ」初体験の後なら、どんな料理にも洗練を感じるだろうけどね。

「昨日のドクダミには参ったよ。パクチーが臭いって嫌う人は多いけど、
 ドクダミに比べたら何てこと無いね」


なんてボクが朝食のフォー(phở)に入っているパクチーを食べながら感想を言っていると、

「そう? ボクはそんなにイヤじゃなかったよ」

なんて息子は平気な顔で言う。
そして、チャーハンのグリーンピースを一つ一つ丁寧によけている。
彼は子供の頃から、そして今でもグリーンピースだけは食べられないのだ。

ドクダミは喰えるのに、グリーンピースはNG...

どして?

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