

カリフォルニアと言えば、ディズニーランドだな。
ディズニーランドは、子供の頃からのあこがれだった。 ●ここ
だから、大人になってアメリカのディズニーランドに行けそうだってことになった時は、
ちょっとワクワクしたりしたな。
いや、ちょっとじゃなくて、かなり。
『カ(彼)の国で 幼き頃の 夢かなえ』
「カ(彼)の国」ってのは、
「カリフォルニア」の「カ」と、「あの国」をかけたんですけど...
どうもお粗末でございました。
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昔、日本のあるお城をCGで復元するプロジェクトに携わっていてね。
そのCG作品が、アメリカの某団体の賞をとったんだ。
ロスアンジェルス近郊の町アナハイムで開催される上映会と授賞式への出席を兼ねて、
クライアントと制作スタッフでアメリカ旅行しようってことになった。
半分(以上)観光旅行みたいな旅だったな。
アナハイム→ロスアンジェルス→ラスベガス→サンフランシスコってコースで2週間。
アナハイムでも1日フリータイムがある。
そ!
ロスアンジェルスのディズニーランドはアナハイムにある。
東京ディズニーランドが浦安市にあるようにね。
みんながゴルフに行く予定のフリータイムには、
ボクはディズニーランドに行ってやろうって考えてた。
もちろん男一人で。
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さて、フリータイムの前日の夜の食事の席でのこと...
「なつむぎさんも、ゴルフに一緒に行きますよね?」 とクライアントからのお誘いです。
「いやぁ、申し訳ない。ボクはゴルフはできないんですよぉ。ほんとに残念です」
なんて、ちっとも残念じゃないのに言ってみたりして。
すると、
「そうかぁ、S子。明日はなつむぎさんに、ディズニーランドに連れて行ってもらいなさい。
ご迷惑ですか。なつむぎさん」
って「ご迷惑」なんて言えるワケない。だって相手はクライアントだよ。
S子さんと言うのは、ツアーに一緒に参加してたクライアントの愛人さんの名前なの。
もちろん、制作スタッフはみんな単身で参加だったんだけど、
クライアントは特別だからさ。
当時ボクは30代前半で、S子さんはボクより5歳くらい若い感じ。
参考までに、クライアントはボクより15歳くらい上な感じ。
彼女は、なんと言うか、妙な色気が漂う女性で、
言葉は少ないけれど、表情でなんか相手のシンパシーを引き出すタイプで、
決して苦手ってわけじゃないんだけど、
いきなり、ディズニーランドでデートってのもな。
それになんたって、クライアントの愛人さんだし。
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でも、これも仕事の内か...と納得して、
翌日は、二人でディズニーランドに行きましたとも。
ボクはボクなりに楽しんだよ。子供のころからのあこがれだったからね。
でも、彼女にいろいろ気をつかっちゃった。
次、どこに行きたい?
食事は、何が食べたい?
メニュー説明してあげようか?
なんてね。
で、あれやこれやアトラクションを楽しんでいる内に、
スプラッシュマウンテンに乗ろうってことになった。
スプラッシュマウンテンってさ、日本のディズニーランドでは横に2人掛けでしょ?
ところが、カ(彼)の国のディズニーランドでは縦に2人掛け。
長いシートに2人がくっついて乗る。
どっちが後ろに乗るかって言ったら、やっぱり男のボクじゃないとさまにならないから、
クライアントの愛人さんを後ろから抱っこするような形で、乗車完了!
滝を落下する瞬間の写真も、ちゃんと撮られちゃってたり。
この写真に彼女が気がつかないでくれたらいいな、って思っていたのに、
彼女は目ざとく見つけちゃって、
というより、必ず目につくようにディスプレイしてあるワケだけど。
「なつむぎさぁん。この写真、買いましょうよ」って。
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まぁ、そんなこんながあって、
夕方彼女と一緒にロスアンジェルスのホテルまでタクシーを飛ばして、
ホテルのロビーで待つクライアントに彼女を無事引き渡して、ミッション完了です。
ロビーで待っていたクライアントにビールをご馳走になりながら、
「いやぁ、なつむぎさん、S子がお世話になりました。
彼女が、なつむぎさんだったら良いって言うから、ついお願いしちゃいました」
ってさ。
「ほら、この写真見て。スプラッシュマウンテンに乗ったのよ。
なつむぎさんにぴったりくっついちゃったぁ」
って、クライアントにゴロニャンしながら、写真を見せてたりして。
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『ほろにがき 大人の事情 夢の国』
