前に勤めていた会社の同僚と、ちょっと変わった酒を飲みに行きます。
と、昨日の記事で書いた「ちょと変わった酒」は、
虫が漬け込んである焼酎とか、唐辛子の入ったビールとかじゃなくて、
島の住民が歓迎のために、タロ芋を口で噛んで吐き出し発酵させた酒でもなくて、
普通のビールと日本酒でした。
じゃあ、何が「変わってる」のかって言うと...
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ここ数年どっぷりと「落語」にはまっている元同僚の友人から、
「近くで、若手一押しの落語家が落語会をやるから、一緒に聞きに行こう。」
と誘われて、
で、
東京のとある街の、15人も入れば一杯になっちゃうような小さなバーに、30人くらいがすし詰めになって、
落語を聴いて、その後、落語家さんと一杯やろうという集まりに参加したわけです。
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演目は、最初が「浮世床」
床屋で若いもんが無駄話をしてると、中に昼寝をしているやつがいる。
おいおい、皆で話をしているところ寝てるとはなんだぃ。ってことで彼に声をかけて起こした。
起きた彼が語り始めた話は、歌舞伎見物で色っぽいネェさんとお知り合いになったってこと。
升席に相席で歌舞伎見物を終えた後、ネェさんから茶屋に誘われて、
さしつ、さされつ、酒を飲む内に気分が良くなっちゃう。
すると次の間には布団が用意してあって、
彼が先に布団に入っていると、
ネェさんが「あたしも入ってよろしいでしょうか」と。
で、スルスルっと帯を解いてネェさんが布団に入ろうとしたその時、
「その時?」
「誰だい、その時にオレをたたき起こしやがったやつは。」
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ここで、師匠は一度、高座(といっても、カウンターに板を渡して座布団を敷いただけ)を降りて、
続いて「東京ガールズ」のお姉さん方の登場です。
あ、東京ガールズコレクションのモデルの子が来たわけじゃないよ。
’09年のTGCからだったら、ボク的には香里奈、クリスティーナ、ローラ・チャンがいいけど...
いやいや、いらっしゃったのは柳家小糸、柳家小夏の両お姉さんで、
三味線を弾きながら、都都逸なんかを聞かせてくれました。
そして、中入り。
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師匠の2番目の題目は、「寝床」 床つながりですね。
ある大家の旦那は、義太夫を習っているのだけどこれがめっぽう下手。
ところが人に聞かせたくてたまらない。
ある日、義太夫を披露しようと店のものに長屋を回らせて店子を呼ぶのだけれど、
店子はみんな仮病を使ったり、急な用事に追われていたりで、誰も聞きに来ようとしない。
店の使用人すら誰も聞きに来ないのに怒った旦那は、
長屋の店子には全員出て行ってもらう、店の使用人は全員クビだと、へそを曲げてしまう。
それは困ると長屋の者や使用人がなんとかすねた旦那をなだめて、義太夫を聞くことになったのだが、
本気になって聞くには耐えられない。
そこで、酔って神経を麻痺させてしまえば大丈夫と、酒盛りを始め...
義太夫が終わって旦那が周りを見渡してみると、みんな酔って寝てしまってるが、
その中で丁稚の定吉だけが泣いている。
「定吉は偉いね。私の義太夫がわかるんだ。え、いったい何処に感動したのかい?」
と、語った演目を次々と挙げてみるが、定吉は「ちがう、ちがう」と言うばかり。
「じゃぁ、どうして泣いているんだい?」
(定吉は、旦那が義太夫を演じていた場所を指し)
「そこが自分の寝床なんです。」
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いやぁ、30分と40分の話を要約するのって難しいね。
定席で落語を聞いたことはあるけど、こんな近距離でじっくりと聞くなんて初めてだった。
噺家さんの名前は、古今亭菊之丞師匠。
友人が「一押し」と言うだけあって、久しぶりに日本の話芸に感激しました。
って、この記事はこれで終わっちゃうけど、これじゃ、落語のあらすじを書いただけじゃん。
本当に書きたかったことは、落語の後の飲み会にあるのだ!
その件は、(その2)で。
