はいっ!
相変わらず世をすねている「なつむぎ」です。
放浪の詩人になれる日は、いつなんだろう。
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と、ちょっと愚痴ったところで、こんにちは。
今日、ご紹介するのは、
ご存知クロード・ドビュッシーの中でも、
特に有名な作品、
1888年作曲のピアノ曲、「2つのアラベスク(Deux Arabesques)」です。
ラテン・ブラジルを紹介しようと思ってブログを始めた割には、どうも寄り道が多いです。
特にクラシック通でもないボクの、クラシック音楽の記事...
やっぱり、迷惑ですか?
いや、むしろ今日は、もう一つのボクの興味であるスペインがらみの記事なんだ、
って思って読んでやって下さい。
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ボクは学生の頃、
イスラム建築史という、マイナーな上にもマイナー、
そんなことを研究してもどうやって生活できるの?
ってなジャンルの勉強をしてました。
ま、それじゃ食えないってことで、結局会社勤めしちゃったけどさ。
スペインに1年間暮らしていたのは、
スペインが800年間イスラムの国だったってことで、
イスラム由来のデザインが豊富に残ってるから。
(あ、あと、酒が安くて、お姉ちゃんが可愛いから。)
特に、南の方はね。
●モロッコ、フェズのアラベスク
さて、さて、
アラベスク(arabesque)ってのは、文字通りには「アラブ風」って意味なんだろうけど、
イスラム美術におけるデザインの様式の1つだって、考えてもらえばいい。
モスクの壁面なんかを飾る、幾何学的なデザインをイメージしてもらえば良いかな。
イスラム教では偶像崇拝が禁止されているから、
キリスト教の建物みたいに、神々の彫刻や絵画で聖堂を装飾することができない。
だもんで、幾何学文様を巧みに配列することで、
イスラムの世界観を表現してる、って言われてます。
ムスリム(イスラム教徒)にとって、アラベスクの幾何学模様は、
いつまでも、どこまでも広がる無限のパターンを意味していて、
無限の神アラーを象徴しています。
ボクは、このアラベスクが大好き。
イスラム建築の魅力はたくさんあるんだけど、その1つは、確かにアラベスクです。
●スペイン、グラナダの「アルハンブラ宮殿」内のアラベスク
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さて、話題を「2つのアラベスク(Deux Arabesques)」に戻すと...
この時の「アラベスク」は、アラブ風という意味ではないです。
技巧的で小規模の作品のことを、このころは「アラベスク」と称していたようです。
そして、題名の通り、2曲から成ってます。あたりまえです。
第1番 ホ長調 アンダンティーノ・コン・モト
第2番 ト長調 アレグレット・スケルツァンド
なんか、こう書くと、すっごく教養あふれる記事みたいだな。
You Tube は ●ここ
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で、ドビュッシーのアラベスクと、モスクの模様のアラベスク、
「どこが共通するところなんだろ?」
ってのが、ボクの興味なんだけど...
1番では、左手の分散和音とか、左手と右手のリズムがずれていくところとか、
2番では、はねるような3連符の使い方と、その連続のしかたとか、
幾何学模様と同様の、無限の連続を感じさせる「技巧的」な部分なんじゃないかってね。
そして、程よくエキゾチックなところ。
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「すべての芸術は音楽の状態にあこがれる」 って言葉があります。
それは、音楽は、抽象度が高い芸術だから。
そして、いろいろな模様の中で、当然抽象度が高いのは、
幾何学模様。
ボクは、抽象性に対する憧れを、ロマン主義の音楽に感じます。