
前回、イタリア映画「ライフ・イズ・ビューティフル」から、1曲を紹介したので、
今度は、スペイン映画から1曲、ご紹介しますね。
映画は、ビクトル・エリセ監督の「エル・スール(南部)」。
曲は、グラナドスのスペイン舞曲第5番「アンダルーサ」。
さてさて、「エル・スール」の年代設定は1957年なんですが、
前回の「ライフ・イズ・ビューティフル」が、第2次世界大戦前夜という時代の、
ファシズムの台頭とユダヤ系イタリア人の家族との問題がテーマだったので、
理解しやすかったと思うけど、
この「エル・スール」の時代設定は、ちょっと説明が必要かもしれません。
スペインは、第2次世界大戦には参加してませんでした。
でも、1939年から1975年のフランコ総統の死まで、ファシズム国家として存続していたのです。
フランコ総統がスペイン全土を掌握するまでの間、自由主義的な考えを持つ人々は、
弾圧を恐れてフランコ支配下の南部(エル・スール)から北部へ移住したようです。
映画「エル・スール」では、北部へ移った自由主義的な父親と娘の心の交流を描いています。
「南」で別れた忘れえられない女性のことを苦悩する父親,そんな父親を子どもの頃から見つめる娘。
全編に流れるグラナドスの「アンダルーサ」は、少女の南へ(エル・スール)の憧れの象徴として
流れているんですね。
「アンダルーサ」とは、「アンダルシア地方の」という意味。
アンダルシア地方は、グラナダとか、セビリアとか、コルドバとかのある、スペインの南の地方のことです。
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さて、世界史や地理のおさらいはこのくらいにして、
「アンダルーサ」です。
今日の You Tube は、ピアノ版と、ギターデュオ版をお聴きくださいね。
いいですねぇ。
スペイン好きのボクですが、むりむりスペインのフラメンコを聴くより、
こういう曲の方が、じわ~っとスペインのことを思い出したりするなぁ。
なんでだろ???
実はボク、映画「エル・スール」を見た日、渋谷のヤマハでスペイン舞曲の楽譜を買ったんだ~
小学校5年生のときに、「ピアノを練習するぐらいなら、勉強する方がずっとましだ!」
との捨て台詞を残してピアノの先生の元を去って○十年。
独学でなんとか弾けるようになった数少ないレパートリーのひとつです。
でも、デロデロに酔ったときにしか弾きません。下手だから~
で、何回弾いても違った曲になる。
100回弾いても飽きない曲 です。
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あ、そうそう。
スペインで暮らしていたときの下宿のセニョーラ。実はフランコ総統の崇拝者だったんだな。
ボクが住んでいたのは、1982年で、総統の死から7年も経っていたけれど、
食堂の一角には、総統の写真が飾られていた。
彼女は毎週日曜日に、黒いマフラーをつけて、フランコ派の政治集会に出席してたっけ。
ふとっちょで、おおらかで、豪快で愛すべき肝っ玉母さんだったけど、
政治の話しだけは、こわくてできなかったボクです。
