以前、日本ポップスの3大作曲家の1人として、服部良一を紹介したことがあります。
その時の曲は「胸の振子」でしたが、●ここ 今日は「蘇州夜曲」を紹介しますね。
蘇州夜曲は、西條八十の作詞、服部良一の作曲。
昭和15年の映画「支那の夜」の中で、李香蘭が歌いました。
君がみ胸に 抱かれて聞くは
夢の船唄 鳥の唄
水の蘇州の 花散る春を
惜しむか柳が すすり泣く
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中国は、子供の頃からのボクの憧れでした。
国家としての中国のことを言っているのではないですよ。
中国の文化のことをです。
当時は、小学生にとって「外国」という言葉が「アメリカ」を意味するくらいに、
アメリカの文化がどんどんと流入して来た時代だったのだけど、
それでも、中国文化に対する漠然とした親和感だけは、ずっと持ち続けていたんだよね。
そして大人になって、蘇州には2度旅したことがあります。
もちろん、憧れの中国と現実の中国とには、相違があって、
だからなのかな... 不思議と他の国の旅に比べて、はっきりとした記憶が少ない。
勝手に期待をふくらませて、そして勝手に失望するとは失礼なことだな。
つまり、子供の頃からの憧れってのは、それだけ強いってことなんじゃないだろか。
今、ボクの携帯電話のストラップには、好きな国の国旗が3つ付けられていてね。
近い内に、この中に中国の国旗が付けられるようになるといいな。
そしていつかきっと、もっと冷静に中国を旅することが出来ればいいな。
そう思う。

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中国に対する憧れは、別にボクに限ったことじゃないと思う。
長い間、教養として漢詩を学んで来た日本人の心の中には、
この島国から、遠く大陸の「江南」の景色を心に思い描く習慣が、
知らず知らずの内に身に付いてしまっていたんだと思う。
そして、子供の心にも。
蘇州夜曲の曲想、歌詞には、
日本人の中国に対するこの想いが良く表現されていると思う。
現実の中国と比べたら、ロマンチック過ぎるくらい。
で、気がついたんだよ。
これは、中国をうたった歌ではなく、中国を恋うる歌なんだ。
ってね。
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いろいろな歌手がカヴァーしているよ。それだけ美しい曲だってこと。
今日は3組。そして、オリジナルの李香蘭。
●平原綾香
●一青窈/ 松浦亜弥
●夏川りみ
●李香蘭
