チャチャチャで薀蓄を語りまくり | /// H A I H A I S M ///

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あわてない、あわてない。赤ちゃんが「はいはい」するように、のんびりゆっくり進みましょう。

Shall we dance?


あはは。

ボクは学生時代に、ダンス部の部長をしている友人にさそわれて「社交ダンス」を数回習ったことがあります。

そんな昔のことじゃないですよ。でも、古い話に聞こえるなぁ。

「ソシアルダンス」とか、いや、「ボールルームダンス」とか言えば、今風ですか?


で、当時感じたことなんですが、社交ダンスでいう「ラテン」を踊るときの音楽が、これがどうもラテンに感じない。確かに名前は、ルンバとか、タンゴとか、サンバとかなんだけど、なんか違うなぁ...


駅前商店街の古びた喫茶店で出されるナポリタンを、これがイタリア料理って言われたような、


安手の温泉旅館のくたびれた浴衣を、これが和服だよって言われたような、


赤ムケの猿のような生き物を差し出されて、「お嬢様でした」って言われたような。


あ、これは本当に娘でした。



そんな中で、一番ラテンらしく聞こえたのがチャチャチャでした。

チャチャチャはいい。みんな、上手にリズムにのってるぞ、こりゃあ何故だ?


やっぱ、日本人にはチャチャチャだな。

「ニッポン・チャチャチャ」

だな、と...


*****


さて、キューバ音楽はヨーロッパとアフリカの融合だと良く言われるけれど、チャチャチャには特にヨーロッパの香りが強く残っているように感じます。


ちょっと歴史をひもといて見たりすると...

19世紀の初頭、ヨーロッパからキューバに、コントラダンサ(contradanza)というダンス音楽が伝えられます。

これが徐々にキューバ化して、つまりアフリカ音楽の影響を受けて変化していったのですが、こうして生まれた音楽の1つがアバネラ(habanera ハバネラのことですよ、ビゼーのカルメンなんかで有名です。辛いやつではありません)で、もう1つがダンソン(danzón)なのだそうです。

19世紀の終わりの頃のことでした。


20世紀の初めには、ダンソンを演奏する楽器に変化が生じました。

フルートやバイオリンを加えるようになったのです。

優雅で、ヨーロッパ的、白人的な方向に向かったのですね。


この、新しい楽器構成をチャランガ編成と呼びます。

チャランガ編成は、一般的には、ピアノにベースにティンバレスにグィロ、それに、フルート1、バイオリン3を入れたもので、チャランガ・フランセサ(charanga francesa:フランスのダンスパーティ)とも呼ばれていたようです。


その後、チャランガ編成で演奏されていたダンソンをもとに、テンポを少しスローに、そしてリズムを歯切れ良く洗練させて、チャチャチャと呼ばれる音楽が成立したのです。

50年代の初めのことです。


なるほど。それでチャチャチャにはヨーロッパの香りがするんだぁ。


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Cubanísima/Orquesta Aragón
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Orquesta Arag?n

チャランガ編成のチャチャチャを聴きたい人にお勧めが、オルケスタ・アラゴンです。

オルケスタという名がついているもののオーケストラではなくてチャランガ・バンドで、チャチャチャを演奏して、キューバ1の人気バンドへと成長しました。

そのベストアルバムが、邦題もずばり「オルケスタ・アラゴーン ベスト」。

元のタイトル「LA CUBANÍSIMA ORQUESTA ARAGÓN」は、日本語にすれば「ちょーキューバなオルケスタ・アラゴン」。こっちの方が良いですね。


日本語のタイトルだと、なんだか日本で編集した企画物のベスト盤みたいですが、違います。

オルケスタ・アラゴンの2枚看板の1人、フルート奏者で作曲家でアレンジャーのリチャード・エグエスが自ら選んだ17曲に、70年の日本公演の時の演奏を1曲加えた18曲なのです。


チャランガ編成のチャチャチャ。いいですよ~




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CHA CHA CHA AT THE PALLADIUM / MACHITO & HIS ORQUESTRA Machito and His Orchestra - Cha Cha Cha At the Palladium


さてさて、キューバでは大ブームになったチャチャチャは、ニューヨークにもやって来ます。

でも、当時はマンボの時代。その陰に隠れて、マンボほどは人気を得ることが出来ませんでした。

それでも、味のある、なかなかのチャチャチャの演奏が残っています。

その1つが、「CHA CHA CHA AT THE PALLADIUM」です。


パラディアムは、ニューヨークを代表する、ダンスホールで、ディスコで、今風に言えばクラブで、そこで、アフロ・キューバン・ジャズの創始者で、ルンバの王様、マチート率いる楽団がチャチャチャを演奏したのです。


すばらしい!


オルケスタ・アラゴンのチャチャチャに慣れた耳には、このマチートのチャチャチャはちょっと違って聞こえます。


というのは、ニューヨークのチャチャチャは、チャランガ編成で演奏されることは少なく、ホーン・セクションを加えたバンドの形式、これを当時はマンボ・セクションと呼んだのですが、この形式で演奏されたからです。


チャランガ編成でのチャチャチャが、キューバの品の良い邸宅のサロンで演奏される音楽、ってな、室内楽的な感じだったのに比べて、ほら、ボールルームで演奏される、ちょっと大人のつき合い的な音楽になっているでしょ。

カッコ良くて、優しくて、ちょっとワクワクしちゃうような。


チャチャチャを聴くときに欠かせない、キューバのチャチャチャとニューヨークのチャチャチャ。チャランガ編成のチャチャチャとマンボ・セクションのチャチャチャ。

聞き比べも楽しいところです。



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