最近、スペイン語がらみの内容を書いてないな、って考えている内に、ドミニカの歌手を紹介したくなりました。
ドミニカは、カリブ海に浮かぶ島国なんですが、
ドミニカって名前の国が、カリブ海に2つあるのご存知ですか?
1つは、ドミニカ国
で、フランス領のマルチニーク島の隣の佐渡島程度の小さな島。
そしてもう1つがドミニカ共和国
で、イスパニョーラ島でハイチと隣り合わせの国です。
今日、ボクが紹介したいのは、共和国の方ね。
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さて、ボクはラテン音楽好きなのだけど、
ラテンポップの中には、どうにも好きになれない一群がある。
男性歌手で、甘い声で、男の色気を前面に出して、
ちょっと杉良太郎状態になっちゃたみたいの(例えが古いけど)があるでしょ。
歌い方も、突っ込んでいく感覚じゃなくて、妙に「タメ」のある歌い方をしちゃうようなやつ。
それが苦手で、どうも甘い声で恋を歌う男性歌手は敬遠しがちだった。
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で、紹介するアルバムは、フアン・ルイス・ゲーラ と 4.40 の「薔薇のバチャータ」。
フアン・ルイス・ゲーラは、ドミニカ共和国の産んだ、カリブ世界の大スターです。
いや、ラテン世界の大スターといっていいかもしれません。
彼の90年の大ヒットが、薔薇のバチャータ(BACHATA ROSA)です。
バチャータっていうのは、ドミニカの大衆歌謡のこと。
ゲーラがそれを発掘して、洗練させて、世に知らしめたのです。
4.40の方は、江頭2:50みたいなネーミングですが、
全身タイツで危ないギャグをやる人じゃないですよ。
4649って書いてヨロシクって読むんじゃないですよ。326と書いてみつる、じゃないですよ。
クアトロ・クアレンタて読んで、ゲーラ率いるグループの名前。
BACHATA ROSA はゲーラの代表作でもあり、紹介するのもいまさらだけど、
一通り彼のアルバムを聞き返してみて、やっぱり一番良かったのがこのアルバムだった。
(2番目は、FOGARATE!)
甘い声で恋を歌う男性歌手に対するボクの先入観をなくしてくれたっていう意味で、画期的なアルバムだった。
2曲目の、「巣に帰る蜂のように(COMO ABEJA AL PANAL)」なんて、
バチャータで始まって、後半モントゥーノに移行するんだけど、
ブルブルって来ちゃうほど、かっこいい。
彼の声は甘い。でも澄んでいる。それにコーラスがきれい。
メロディーラインは柔らかい。でもリズムがシャープ。
だから、杉サマ状態の身も蓋もない色気ではなくて、上品な色気が漂う。
ラテン男の上品な色気、これって、めずらしいでしょ。
マッチョの国に見るデリカシー、って言うんでしょうか?
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ところで、このアルバムの5曲目に、
「プロポーズ(A PEDIR SU MANO)」ってメレンゲの曲があるんですが、
これだけがゲーラの書いた曲ではないのです。
レア・リグナンジ(LEA LIGNANZI)の曲とクレジットされているですが、
ずーっとこの曲のことが気になっていたんですね。
近い音程のハーモニーが並行的に上下するアフリカ的なムードのコーラスを、
どこかで聞いたことがあると。
そこで、持っているLPを片っ端から聞き直しました。
ありました。
「デデ・プリシラ(DEDE PRISCILA)」っていう本歌が。
レア・リグナンジは、中央アフリカのミュージシャンでした。なるほど、納得。
SOUND D'AFRIQUE VOLII 'SOUKUOUS' というアルバムの中の1曲目です。
聞き比べると、とてもおもしろいですよ。
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