10年近く前、かなり集中してラテン音楽やブラジル音楽を聴いていたときがあって、メールマガジンでCD評をしていました。その頃にはユニコードとか無かったから、スペイン語やポルトガルのアルファベットにあって英語にない文字とか、アクセント記号とかが使えなくて苦労したなあ。
そのメールマガジンのタイトルは「¡ Viva la Música !」。ほら、びっくりマークが逆立ちした記号とか、「u」の上のアクセントとか、今はちゃんと表示されている。
最近マックを新しくして十分な容量のハードディスクを手に入れたものだから、手持ちのCDを全て iTunes にいれて、昔のCDを聴き直しているところで、そんなことをするうちに、昔良いなって思ったCDは今聞いてもやっぱり良く、以前メルマガで紹介したCDをまた紹介しようと考えたわけです。
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ボサノバは、誕生からもう50年。
日本ではずっと愛されてますが、本国では「ナツメロ」の1ジャンルになってしまっているようです。今や、日本がボサノバの中心地かもしれない。
当時、ブラジルから一人の青年が我が家にホームステイに来ていたのだけど、ボサノバの話をしても「知らないな」の一言で済まされてしまったくらいだった。シュラスコご馳走したのになぁ。
ボサノバの名曲はジャズの世界でもスタンダードになっていて、けっこう多くのミュージシャンが演奏してますよね。でも当然の事ながら、ボサノバらしさは、つまりブラジルっぽさは、オリジナルからだんだん薄れて来てしまっている。
ちょっと淋しい思いをしてる人、いませんか?
ボサノバっていうと、テーブルクロスの上の焼きたてパンとフルーツに午前中の陽の光が差し込んでいてってな感じで、「お洒落で小粋」なイメージで解釈されることが多いのだけど、そんなんじゃなくて「いかにも的」なボサノバ、プリーズ。しかも新しい曲で。
そんなリクエストは、ありませんか?
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演歌で言えば「ど・演歌」と呼ばれるような「ど・ボサノバ」が聞きたい。真正のボサノバ好きにはたまらない、直球ど真ん中なアルバムってなんだろう。
なつむぎ的には、「ど・ボサノバ」には夜の街の色気が欲しい。
洗練さの中に、ちょっとした土着的なものが混じっていなくちゃ。
熟れ過ぎの果実の香りがしなくちゃ。
ホーチミンのコロニアル式のホテルとか、ニューヨークで出会ったポルトガル語訛の少女とかの「エキゾチック」がなくちゃ。 行ったことも、会ったこともないけど。
と、そんなことを考えた結果お薦めしたいのが、ホーザ・パソスです。
ホーザの歌の魅力は、消毒された洗練さや、健康一辺倒の元気の良さじゃないよ。エキゾチックと洗練さとの見事なバランスだと思う。ボサノバの真骨頂でしょ、これ。
ボサノバの神様と呼ばれるジョアン・ジルベルトが、「私の後継者はホーザだ」と言ったのだそうです。
だからホーザは、「女ジョアン」とも「スカートをはいたジョアン」とも呼ばれているんだけど、ボクは彼女を「ど・ボッサの薔薇(ホーザ)」と呼びたいね。
●アルバム1曲目の「Dunas」は、絶品です。
