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今回は、非ヘム鉄の中でも特異な「アミノ酸キレート鉄」について解説していきます。
まず、アミノ酸キレート鉄とは、別名「ビスグリシン酸第一鉄」や「フェロケル」とも言い、二価の鉄(Fe2+)を「グリシン」というアミノ酸で挟んだ鉄のことです。
このような有機酸などで鉄を挟み込んだものを「キレート鉄」といい、アミノ酸キレート鉄はグリシンというアミノ酸でキレートしていることから「アミノ酸キレート鉄」と呼ばれています。
「アミノ酸キレート鉄」という呼び名は「アミノ酸」で鉄をキレートしているキレート鉄の総称、「ビスグリシン酸第一鉄」はアミノ酸キレート鉄のうちの「成分名」、「フェロケル」は米アルビオン社の登録商標です。
現時点ではアミノ酸キレート鉄はビスグリシン酸第一鉄の1種類しか無く、ビスグリシン酸第一鉄は米アルビオン社が特許製法で開発したものです。
よって、
アミノ酸キレート鉄 = ビスグリシン酸第一鉄 = フェロケル
ということになり、全部同じ意味になります。
キレートという名前の由来は、クエン酸やアミノ酸などの有機物と金属イオンが結合している様子が、カニが物を挟むのに似ていることから、「キレート」という名前がつけられました。キレートの語源はギリシャ語の「Chele(カニのはさみ)」です。
鉄は本来水に溶けにくく、とても吸収しにくいという特性がありますが、このクエン酸やアミノ酸などとキレートさせることで水に溶けるようになり、吸収率が上がります。
そのため、アミノ酸キレート鉄を始め、病院の鉄剤などでもクエン酸などでキレート加工が行われたものが多く使用されています。
このあたりの詳しい事については以前に解説していますのでこちらをご覧下さい。
続いて、アミノ酸キレート鉄の吸収の仕組みです。
アミノ酸キレート鉄は、二価の鉄(Fe2+)がグリシンというアミノ酸でサンドイッチされた構造をしています。
このアミノ酸キレート鉄を摂取すると、まず胃でアミノ酸のグリシンと鉄の結合が加水分解され、グリシンと二価鉄(Fe2+)に分かれます。
その後、非ヘム鉄の吸収経路である「DMT-1」と呼ばれる吸収経路から吸収されます。
このアミノ酸キレート鉄は、二価鉄をアミノ酸でキレートしている構造から、水に非常に溶けやすく、その安定度からタンニンやフィチン酸などの吸収阻害による影響を受けにくいというメリットがあります。
さらに、二価鉄分子がアミノ酸でキレートされている事から、鉄分子が胃粘膜に直接触れないため、胃痛やムカつきなどの胃腸症状も起きにくくなっています。
そのため、通常の非ヘム鉄に比べ、非常に吸収率が高いことが特徴です。
ですが、実際には良いことばかりではありません。
アミノ酸キレート鉄は、その吸収において二価鉄とグリシンに加水分解する必要があるため、胃や胃酸の状態に大きく影響を受けます。
胃酸の分泌が少ない方や胃腸の調子が悪い方、胃を切除した方等は、アミノ酸キレート鉄の加水分解がうまく出来なくなるため、大きく吸収率が低下することが分かっています。*1
そのため、ストレスなどで胃腸の働きが低下している方、ピロリ菌に感染している方、胃酸の分泌が不十分の方、胃薬など制酸剤を服用している方等は不向きです。
アミノ酸キレート鉄を摂取しても十分に吸収されない場合の例
- 胃酸分泌の低下している方
- 制酸剤を服用している方
- ピロリ菌に感染している方
- 萎縮性胃炎など胃腸機能が低下している方
- 胃を切除した方
- 機能性ディスペプシアなど消化吸収能に問題がある方
- カルシウムなど制酸作用のある成分の大量摂取
- 起立性調節障害などにおける自律神経系の乱れを抱えている方
- 発達障害などで極度の貧血状態による自律神経の乱れを抱えている方
- 低血糖などによる自律神経系の乱れを抱えている方
- 副腎疲労などによる自律神経系の乱れを抱えている方
- アトピーアレルギーなどによる自律神経系の乱れを抱えている方
非ヘム鉄の大量摂取で吸収が阻害されてしまう二価ミネラル *3
- 銅
- 亜鉛
- マンガン
これらミネラルは、血液の造血や鉄の利用にも欠かせない栄養素達です。
例えば、銅は体内に存在する二価の鉄(Fe2+)を三価の鉄に酸化するための酵素(ヘファスチン・フェロキシダーゼ)の材料として必要で、鉄を利用するためには欠かせません。
DMT1から小腸上皮粘膜細胞に吸収された二価の鉄は、「フェロポーチン」と呼ばれる鉄の排出輸送体によって、血管内に排出(吸収)されます。この排出された鉄は、そのままでは鉄を運ぶタンパク質である「トランスフェリン」に乗れないため、二価の鉄から三価の鉄に変換する必要があります。
この、二価の鉄から三価の鉄に酸化するために必要な酵素が、ヘファスチンやフェロキシダーゼと呼ばれる酵素です。この酵素は銅含有酵素なので、銅が無ければ働くことが出来ません。
このように、銅は鉄の利用や運搬に深く関わっている栄養素です。
また、亜鉛はミトコンドリア内で「ヘム鉄」を合成するために必要な「アミノレブリン酸」の合成に関わっているほか、鉄と共にコラーゲンの三重らせん構造の合成にも関わっています。
亜鉛が不足すると、体内でのヘム合成が抑制されたり、赤血球の分化分裂がうまくいかなくなって「亜鉛欠乏性貧血」になったり、コラーゲンの三重らせん構造がもろくなって皮膚が乾燥したりアトピーになったりします。
鉄欠乏性貧血を抱えている方は同時に亜鉛欠乏も抱えている方が多いので、亜鉛不足には特に注意が必要です。
マンガンは、鉄と共にミトコンドリア内でのエネルギー代謝に関わっている酵素に欠かせないミネラルです。
鉄はミトコンドリア内でATPを生み出す補酵素として利用されていますが、このエネルギー代謝にはマンガンも関わっています。
また、ミトコンドリア内でATPを産生すると、同時に活性酸素も大量に発生してしまいます。この活性酸素を無毒化する酵素の補酵素としてマンガンが必要になり、活性酸素から細胞を守るために欠かせない働きをしています。
「鉄を摂れば貧血が改善出来る」と思われていることが多いですが、鉄だけを大量に摂っても貧血の改善や鉄の利用は十分に行えません。
体内で鉄を利用したり血液を作るためには、鉄以外のミネラルや栄養も重要です。そこで問題となるのが、先ほどあげた非ヘム鉄の大量摂取による二価ミネラルの吸収阻害です。
アミノ酸キレート鉄など非ヘム鉄を大量に摂取すると、主にDMT-1から吸収されるため、二価ミネラルである銅や亜鉛、マンガンやコバルトなどの吸収が阻害されてしまいます。
その結果、体内で利用出来ない鉄が多くなり、鉄の利用効率が低下します。
鉄は積極的な排泄経路が無いため、利用出来ない鉄が多くなると体内で鉄がドンドン溜まって鉄過剰を引き起こしてしまいます。
そのため、高容量のアミノ酸キレート鉄を漠然と摂取し続けるのは非常に危険です。
実際に、アミノ酸キレート鉄による鉄過剰の事例が報告されています。*4
特にアミノ酸キレート鉄は吸収率が高い分、鉄の過剰摂取には注意が必要です。
また、アミノ酸キレート鉄を摂取して便が黒くなる方、下痢・便秘、腹痛が起こる方も注意して下さい。
このような消化管副作用は、非ヘム鉄を大量摂取したことによるフェントン反応による消化管へのダメージが引き起こされている可能性があると考えられます。
大量のアミノ酸キレート鉄の摂取は、鉄の利用に必要なミネラルの吸収を阻害したり、大量の吸収されなかった鉄が小腸や大腸に流れ、鉄を餌にする悪玉菌の餌になってお腹の調子を崩してしまうことに繋がります。
アミノ酸キレート鉄は、良いことばかりではありません。
無闇に摂取したり漠然と摂取し続けたりせず、必ずご自身の状態やフェリチンの状態などを血液検査などで定期的に調べるようにして下さい。
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*1
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0899900708001640
*2
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0002916523059361
*3
https://www.sigmaaldrich.com/JP/ja/product/mm/abs983
*4
















