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フィリップの看護のブログ-看護雑誌と書籍を批評

通りすがりの管理人フィリップが
看護の本と雑誌の読みかたや選びかたを
真剣レビューします

急変対応力10倍アップ

臨床実践フィジカルアセスメント

発行:南江堂(2012年4月)

定価:2,520円(税込)

本のしくみ:B5判・172頁・オールカラー

著者:佐藤憲明


フィリップの看護のブログ-看護雑誌と書籍を批評

【本の評価】

いや~、驚いたよ。

いい本見つけたよ、フィジカルアセスメントの。

この間紹介した南江堂のナースビギンズってシリーズ。

「気管吸引の本」がいいなって思ったから期待して見たけど、

予想以上でした。


解説とか細かい内容はもちろんわかりやすいけど、

何よりいいのがそのコンセプトというか、

切り口というか、実にいい!


今までのフィジカル本は

フィジカルアセスメントっていう

「技術」の習得をゴールにしている気がしていたんだけど、


この本はフィジカルアセスメントにより、

「患者の状態を見抜き、患者を救う!」

ってところをゴールに置いている!

当たり前のようで今までなかった本だよ。


医者のまねごとでもなければ、

身体検査でもないんだよね。フィジカルアセスメントって。

患者の異変に気づくってのが目的だよね。

形式でも何でもなくて。そんなことを教えてくれる!


肝心の内容は

第1章で「患者を救う」ための方法論として

循環、呼吸、腹部、脳神経に絞り、

そのアセスメント方法を

写真やイラストを用いて解説。


非常によくわかるし、

だらだらと全身を診る方法を解説するのではなく、

的を絞って解説してくれている。


そしてメインは第2章。

ここでも今までにない解説方法がとられている。

それはずばり「時間」!


聴診したり、打診したりって方法論ではない。

患者の急変をいかに短時間で見抜くか!

これに重点を置いた解説で、

10秒で見抜く!3分で見抜く!って感じで、

時間軸に沿って

何を診るべきか?何を行うべきか?

を知ることができる!


心肺停止してからの3分を

いかに有効に用い、命をつなぐか!

この1点を目標に作られた本!


オールカラーで写真をふんだんに用いているし、

その写真も

「ゴミ箱をまず確認!」とか、

「頭を片手で押さえているのか、両手なのかにより重症度が違う」とか、

本当に現場目線で見せてくれる!


ちょっと緊迫感のない笑顔っぽい写真があったのはご愛敬。

(切羽詰まっていても医療者は落ち着いて対処しなきゃねっ!)

あと看護者目線というか、俯瞰的な絵柄もあれば

なんて思ったけど、たいした問題ではないです。


新人からベテランまで、オススメの内容。

この間紹介した医学書院のフィジカルアセスメント本に比べ、

対極をなすような超実践の本です!!


【総合評価】

10点満点中9点

★★★★★★★★★☆




正しくうまく安全に

気管吸引・排痰法


フィリップの看護のブログ-看護雑誌と書籍を批評

発行:南江堂(20124月)

定価:2,205円(税込)

本のしくみ:B5判・126


【本の評価】

タイトル的には「細かいところ狙ったね」

と思ったけど、まあすべてのナースが知るべき基本だよね。

当たり前に行う技術で、

新人でもちょっと慣れればって技術に思われがちだけど、


「その考えが間違いだってこと」

「基本がいかに大事かってこと」


を改めて教えてくれる本!


1章、第2章を読んだ感想…

非常によくわかる!納得できる!


この手の本って、

・手順を見ながらポイントポイントで根拠を示す本

・最初に解剖やら何やらの基礎知識をふんだんに学ばせる本

が多いけど、この本は違う!


「なぜか?」ってことをひとつひとつ考えさせながら、

それについて少しずつ答をひも解いてくれているから、

解説に矛盾も疑問もわかないんだよね。

自然に読んでいける!


日常で行っていることを

振り返りながら読み進んでいくことができる!


そしてそれらを「納得」した上で

3章でカラー写真を用いて

気管吸引の手技について詳しく解説。


理解度が違うよ、はっきり言うと。


フィリップがいいなと思ったのは、

この解説の流れ。


非常にすんなりと頭に入り、

納得できる解説はこの本の1番のポイント!

だと思う…。


本にも書いてある通り、

気管吸引ってなんか基本の基本みたく思われているし、

学生でもできた気になってしまうし、

なんか「処置してる」って感じもなるし…。


でもこの本に書いてあることは本当に大事ですよ。

ナースビギンズっていう新しいシリーズみたいだけど、

新人だけじゃないね、この本。

ベテランや指導者がもう一度振り返るのにも最適な1冊!



【本の評価】

10点満点中9

★★★★★★★★★☆

フィジカルアセスメントをケアにつなげる

12事例で学ぶ看護の視点

発行:医学書院(20124月)

定価:2,310円(税込)

本のしくみ:B5判・144


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【本の評価】

12の事例に沿って、

エキスパートナースたちが行う

フィジカルアセスメントのコツを学んでしまおうって本。


いわゆる「手順書」ではなく、

「何を見て」「どう生かすか」を考える本。


例えば、

「弛緩性便秘に悩む白内障患者のフィジカルアセスメント」

とか、

「急な発熱を来した高齢者のフィジカルアセスメント」

なんていう事例について、

解剖生理学的、病理学視点も含め、

詳しく解説している。


ベテランナースの思考過程が見える1冊ではあるかな。


ただフィリップが引っかかるのは、

「フィジカルアセスメントをケアにつなげる」

ってタイトル。


身体を観察し、患者の情報を集め、

そして、異変に気付く!

ってのがフィジカルアセスメントの目的だと思うけど、

それをケアに生かすって何だろう?


「看護師こそが異変に気付く!」

だからフィジカルアセスメントをしっかりやろう!

っていうのはわかるんだけど、

看護ケアにつなげるっていうのが

どうも違和感を覚えるね。

というか、意味がよく理解できない。

(すみません、フィリップあまり理解力ないので…)


たぶん、フィジカルアセスメントで得た情報を

看護師としてしっかり生かそうってことなんだろうね。


フィジカルアセスメント自体が

患者の身体を調べる技術の1つ、

そして実践しながら看護師として患者を観察する、

異変があれば適切な処置につなげるっていう

「看護ケア」の1つでいいんじゃないかな?


看護機能形態学とか、

看護ケアにつなげるとか、

何でも看護につなげたがる本が多いような気が…。


まあ、この本に関しては、

フィジカルアセスメントの手順書ではなく、

方法論を学習する本だからね。


「収集した情報をどう看護に生かすか?」

それについてベテランナースの考え方を参考にしよう!

って本と言った方がいいかな。


特に実習がだいぶ進み行き詰った学生さんには参考になるかも。

補足だけど、

カラーではなく(赤と黒の2色です)、

ケアに生かすための情報をどう収集するか、

っていうことをまとめた本、ちょっとお堅い本です。


何を目的に本を選ぶかによって違うけど、

買うなら同じ医学書院から出た

「山内豊明先生のフィジカルアセスメントガイドブックの改訂版」

かな。フィリップ的には。

視点が違う本だけど、

改訂したことで、

フィジカルアセスメントの基本書としては完成された本

に近づいたんじゃないかな?

そのうち取り上げます…。

【総合評価】

10点満点中5

★★★★★☆☆☆☆☆

フィジカルアセスメントの実践書的なタイトルにちょっと違和感かな…。

クリニカルスタディ20126月号

発行:メヂカルフレンド社(2012年5月)

定価:1,050円(税込)


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【6月号評価】

いやあ、これはないなあ、クリニカルスタディ。

4月号の解剖生理特集辺りは

まあまあかなと思っていたけど、

6月号はちょっとオススメできないかな。


まずは今月号の「ノートの取り方」特集―

要するに、「できる看護学生のノートの取り方」を

実物のノートの写真を見せながら紹介して、

そのコツやポイントを解き明かすって特集。


内容自体は使い古しのもので、特に目新しさもない。

頁数自体は十数頁と結構長いけど、

それほどの内容ではないね。

同じ6月号のプチナースでは、

3特集くらいで同じようにノートの取り方を

かるくまとめているけど、

こっちの方が簡潔だし、これで十分な気がする。


まあ、この特集自体の内容が悪いというより、

今月号はこれだけがメインであとは連載。

(一応コミュニケーションの第2特集みたいのがあるけど)

なんか内容も見た目もあっさりしていて薄っぺら。

非常にお買い得感の無い号に仕上がっている。


それにっ!!!

5月号と6月号では、

これから1年間(20124月号から20133月号までだね)

誌上で毎月扱う疾患別看護過程に対応した「病態関連図」を

2号に分けて別冊付録としてつけている!


なんてお得な!!ってちょっと待て!

看護過程の連載には、その号、その号で、

その疾患の病態関連図付ければいいじゃん!

そうしてなかった?頼むよ!

なんで関連図だけ別冊にしちゃうのよ!?


つまりはだ、今買っておかないと

1年分取り逃しちゃうぜえ!」

「別冊2号そろえちゃったらあと1年分購読しないともったいないぜえ?」

ということでしょ…。全然ワイルドじゃないぜえ?


冗談はさておき、結局読者目線じゃないよね。

フィリップ的にはそんな感じがしますよ…。

1年間購読させたい気持ちはわかるけどさ。

なんか違うんじゃない?


総合評価

10点満点中3点

★★★☆☆☆☆☆☆☆

プチナース20126月号

発行:照林社(2012年5月)

定価:1,050円(税込)
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テーマは、なかなかいいんじゃないですか、6月号。

特集タイトルは

「ムダなく!早く終わらせる!看護過程のコツ」

(もう「眠れない」なんて言わせない!)


確かに看護過程って大変だよね。

特に学生のうちは、考えたことまで

すべて書いて提出しないとならないから。

慣れないうちは、膨大な作業だよ。


特集にも書いてあるし、

タイトルにも表れているように、

「徹夜したくない」「早く終わらせて楽したい」よね。

そんなコツはないかなと思っている学生さんは

この特集を開いてみるといい。


早く終わらせればいいってものではないけど、

早く終わらせるため、

ムダな手間をかけないための

先輩たちのコツは参考になると思う。


ただフィリップ的には今一つかな。

大きくカラー頁を使った割には、

なんかもったいないというか、

凝縮すれば半分くらいでまとまったのでは?

「短時間でまとめるコツ・ポイント」なんかを

誌面いっぱいに紹介しているけど、

それほど「バーン!」って出すほどかなと…。

まあ、これは「見せ方」の問題かな。

贅沢なつくりってことで…。


むしろ第2特集

「実習がうまくいく!ナースへの報告のしかた」

のほうがちょっとだけ参考になったかな。


学生のうちは確かに忙しそうなナースに

いろいろと質問したり、報告したりしづらいよねえ。

あれって、臨床側からすると「洗礼」というか、

ちょっといじわるしたくなるのも正直なところ。

だから、「気を遣って言いたいけど言えない学生」なんか見ると、

あえて放っておきたくなるんだよね。

(もちろんフィリップはしないよっ)


あまりに気を遣わないのは論外だけど、

目上の人に気を使うのは学生生活の時も一緒ですよ。

あまり構えすぎないで。

先輩方もそれを潜り抜けて来たからね。

患者のことを第一に考えたら行動できるはず!


まあここでフィリップがアドバイスしてもしょうがないので、

本誌を見て、いろいろとコツをつかんでみて。


1特集も第2特集ももう一歩だけ、

学生の事例を掘り下げてほしかったなというのが感想。


3特集では「使えるノートのつくりかた」特集。

特集というかちょっとした記事に近いけど、

コンパクトにまとまっていて参考になる。

関連図を効率的に描くコツなど、

ちょっと見てみると良いかもね。


今月号は、

看護過程の書き方から

実習でのナースへの報告方法、

そしてノートの取り方と、

一貫して実習期間を効率的に乗り切る方法を

紹介しているという点で一貫性があってよかった。

連続付録の解剖ポスター[内臓編]もついて、

なかなか満足度の高い号でした。


総合評価

10点満点中7点

★★★★★★★☆☆☆