ホームレス | nurseredcatのブログ

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物価が上がったせいか、ホームレスの患者さんが増えました。ホームレスの人が入院すると緊急でないかぎり、まず最初にシャワールームに連れて行って上から下まできれいに洗い、シラミなど用の薬を使って髪を洗い、髭をそってもらいます。患者さんによっては髭をそるのを嫌がる人がいますが大体はしぶしぶ了解してくれます。ナースたちはフル装備で対応するのですが、ノミなどがぴょんぴょん跳ねているのを見るとこっちまでかゆいです。。。洋服や荷物もめちゃくちゃ臭くて、意識不明で運ばれてきた患者さんの服などは貴重品以外捨てられます。その貴重品を探すのはナースの役目。(涙)汚い洋服のポケットをさぐってお財布などをとりだして袋に入れて警備員のオフィスに保管します。意識がある患者さんの場合は勝手に私物を捨ててはいけませんがビニール袋2重にしばって押し入れにしまっておくことにしています。いつ人に盗まれてもいい生活をしてきているせいか財布などは身に着けていたいらしく靴や靴下に入れて隠している患者さんが多いです。

 

そんなこんなで最初と最後は大変ですが、患者さんとしては楽な患者さんが多いです。エアコンが効いた清潔なベッド、シャワーや3食付き。ずっといたいんでしょうね。大体の患者さんは文句も言わずに素直にケアを受けてくれます。お金がないのでもちろん医療費は病院持ち(州)。ホームレスの人は精神病を持っている人も多いですが、医療保険が高いアメリカでは一般の普通に暮らしていた人が家族や自分が病気になって医療費を払えずホームレスになることもあります。いろいろ話を聞いていると色々な大変な経験をしてきたんだなって思いました。次は我が身と思うと怖い。。。老後は日本に帰った方がいいかもしれません。

 

ホームレスの人が意識不明でも名前がわかっている場合は家族に連絡をとるように試みます。さすがソーシャルワーカー、なんとか連絡先を調べる方法があるらしく大体は連絡がつながりますが、疎遠や離縁している家族も多く、もう関わりたくないって言ってくる家族がほとんどです。稀に親などが会いに来ますが、他人を見るような態度。一人寂しく亡くなっていくことになります。遺体は引き取ってくれる人がいないので公共の墓地に送られます。名無しの権兵衛さんの場合は検死課に回されて歯や指紋から身分を調べますが、それでも見つからない場合はそのまま公共のお墓にいれられます。それらの人たちの似顔絵は州のウェブに載せられて誰かが連絡をしてくるのを待っている状態です。ついこの間私がケアした名無しの権兵衛の患者さんがそのウェブにでてないってことは身分がわかったのかもしれないですね。。。

 

そして退院するとき。ソーシャルワーカーが一応ホームレスシェルターを紹介しますが行くか行かないかは本人の自由。警備員さんが病院の外までエスコートして歩いて退院させます。バス券を無料であげることもあります。一度ホームレスの患者さんを退院させたとき警備員さんがバス停まで送っていったけど、その患者さんはバスに乗らずにまたERにもどってきてしまいました。ERは患者さんを診るのを拒否してはいけないのでその患者さんをまた退院することに。今度はバスに乗るまでいるようにと警備員さんは指導されていました。

 

ちなみに各州ではホームレスの押し付け合いをしてて、ホームレスを集めてバスや飛行機に乗せて他の州に送ったりすることがアメリカではよくあります。