臓器移植 | nurseredcatのブログ

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一人の臓器提供者から8人の命が助かります。それだけではなく、骨や角膜などのいろいろな組織を合わせると75人の人を助けることができます。宗教や文化の理由がないのなら、そして、もう助かる見込みがないのなら、せめて75人の人たちに最高のプレゼントをあげたいですよね。アメリカでは107,000人の人が臓器移植を待っています。そして1日17人の人が臓器が間に合わなくて亡くなっています。

 

アメリカは臓器移植の最先端。私が働く病院では臓器移植が年に2-3回行われています。大切なのは時間。少しでも死の可能性が出てきたらすぐに臓器移植センターに連絡をします。例えば心停止で運ばれてきた患者さんが集中治療室に運ばれてきたら1時間以内に連絡をしないといけません。他には緩和ケアになる患者さん、脳死に向かっている患者さんなど。電話をすると、係の人がすぐにその患者さんのチャートを見て、もし万が一この患者さんが亡くなった場合、臓器移植の提供者になれるかどうかを調べます。以前はHIV、C型肝炎やコロナの患者さんはダメでしたが、今では特定の人に臓器をあげることができることから、除外されなくなりました。その代わり、癌、80歳以上の老人、複数臓器不全などの患者さんは除外されます。そして死が確実とみなされて、家族が死を認めたときに臓器移植センターの人が臓器移植の話をしに病院にきます。以前は脳死の患者さんしか臓器移植は提供できませんでした。今は脳死をしてなくても、呼吸器を外してから45分-1時間以内に亡くなる患者さんは臓器移植をできるようになりました。

 

家族が移植に賛成した時点で病院などのすべての費用はセンターが持ちます。ナースは1対1のケアになり、臓器摘出するまで患者さんの臓器を最適な状態に保つケアを始めます。その間、センターは全米のマッチする受信者をさがします。家族には髪の毛のしおりや手形づくり、また心電図の紙が入った入れ物などを作って思い出作りをします。

 

摘出手術の当日、Honor Walkがアナウンスされます。病院内で手が空いている人はみんな廊下の両脇に立って手術室に向かう患者さんに敬意をしめして見送るものです。元軍隊の人にはアメリカの国旗、ほかの患者さんもお気に入りのブランケットや帽子などで飾ってあげ、家族とベッドに寝ている患者さんがパレードのように手術室に向かいます。音楽にあわせて何も知らない5-6歳の娘さんが踊っているのを見て泣いてしまったことがありました。その間手術室では抽出する臓器の数によって1-3人の手術医と一人の麻酔医が待機しています。手術室に入ったら脳死ではない患者さんは呼吸器を外して45分ー1時間待ちます。その間に呼吸が止まったらすぐに摘出手術。1時間たっても亡くならなかったらまた私たちの病棟に戻ってきて緩和ケアになります。そういう時は家族はがっかりしてしまうことが多いです。そして臓器を取り出したらそれぞれアメリカ各地にすぐに運輸されます。今は肺や心臓などもそのまま活動を止めないで臓器を長く持たせる機械があるのがすごいです。肺はサイズの問題があるらしく20%の確率しかマッチングしないそうです。今は3Dや豚の臓器を使う方法を研究しているので、それができたらもっとたくさんの人が助かりますね。

 

術後もセンターは患者さんの家族の精神的なサポートを続けます。臓器受信者と会いたい人は会わせてあげたり。どの臓器や組織がどういう人にいったかも全部報告します。不思議な話があります。東部で20代の男性が暴行されて脳死になり臓器提供者になりました。彼の心臓は西海岸のある20代の男性に移植されました。センターのサポートもあり、受信者は提供者の家族に会いに行きました。お互いに行ったり来たりしているうちに家族ぐるみの付き合いに。そして提供者の妹と恋が芽生え、なんと結婚。不思議な縁ですよね。お兄さんが見守っていてあげたような。。。

 

余談ですが2年ほど前に脳移植をヨーロッパで行ったようですがあの後話が出てきてないってことは失敗したのでしょうか。それができたらすごいですがちょっと怖い。。