その2
1試合空きですぐ次の試合がある。
クーラーボックスに氷を入れて、フル出場の選手は膝から下を一度冷やして、疲労を取る。普段はやらないことだが、うわー軽くなったーと言う子もいた。次の試合も走り回ってくれ。
相手チームは、ここまで7戦7勝、得点36 失点0 固い守備、圧倒的な得点力、個レベルも皆高い。
2年ぶりの対戦。前回はハトマーク フェアプレーの公式戦。ブロック3位決定戦。勝てば中央大会。そこで0-5と完敗した。初めての公式戦。とてもよく覚えている。
あの時と先発メンバーは大きく変わっている。退団した選手もいる。でも残ったメンバーと、新たに加入してきてくれたメンバーでまたチームを作ってきた。
足元のうまいチームには、しっかり寄せないと自由に回されてしまう。そのこともずっとフォーカスしてやってきた。プレス、インターセプト、プレスバック、オーバーラップ。走り負けてはいけない。
先発は全員6年だ。今ここでもらんごが先発に選んだのは全員が6年生。信じて送り出す。
相手のエースくんは、すばしっこくて抜け目がない。中途半端なこぼれ球は大好物な嫌なストライカーだ。
うちの先発のトップ君が開始早々、ボールを受けると、相手を抜き切らずに離れてからの一振りがキーパー正面ながらもナイスシュート。このプレーはとても大きかった。相手DFが要警戒とばかりに張り付くことになったからだ。しかし相手の守りは固い。得点チャンスは生まれない。
一方相手のエースも、うちのDFがしっかり対応。見ていてもエースのイライラが伝わってくる。
緊迫したゲームの前半はスコアレスで折り返す。
疲れの見えてきた選手を入れ替える。
大胆に変えてきたのは、相手だった。
フィジカルに恵まれたDF陣を3枚から2枚に。170センチ越えの一番大きな選手をトップに、エースをトップ下に。チャンスメークの起点となるテクニシャン君を左から右に。
結果からいうと、相手の采配がズバリ的中してしまった。
大きなトップにボールが入り、CBが体を寄せているのに、反転して振り抜いたシュートはネットを突き刺す。
サイドが変わったテクニシャン君は、水を得た魚のようにスピードに乗って躍動し、再三切り込みゴールを演出。
こぼれ球からのミドルシュートは、強烈な弾道でネットを突き刺す。
実力差以上に点を取られてしまったようだ。出だしの足も鈍くなってしまった。
とても大きな敗戦だが、これで終わりではない。
秋の後期リーグも残っている。
公式戦はあと半年で終わってしまうのだな。その短さを知り、少し悲しい気持ちが芽生えるのを感じた。同時にまたもらんごの気持ちに火をつける。