福島第1原発 情報発信 -7ページ目

これからの「原発」の話をしよう


「原発」は一体どこで間違えたのか? 原発は本当にすべてが間違いなのか? 安全でクリーンな「原発」はありえないのか? 原子炉工学の専門家を招き、原発の開発史の闇に消え去った「ありえたかも知れない原発」の可能性を検証したトークイヴェントの内容をご紹介。

イベントの様子が分かる写真入りの記事はこちらからご覧ください




3月10日に発売された雑誌『WIRED』VOL.3では、「ワインバーグ博士とありえたかもしれないもうひとつの原発の話」と題した記事を掲載し、原子力発電の開発史をさかのぼって現在の「原発」の問題点を浮き彫りにし、かつ「ありえたかもしれない」原発の可能性を検証している。「WIRED」では、この記事を取材&執筆した若林恵『WIRED』編集長と、福島第一原発3、5号機の設計者でもあり、現在は「もうひとつの原発」のひとつ「トリウム熔融塩炉」を推進する吉岡律夫先生による、これからの「原発」について語り合うトークイヴェントを、2012年3月10日にTSUTAYA TOKYO ROPPONGIにて開催した。この1年間ほとんど語られることのなかった「原発の未来」を新たな視点で問い直す対話となった、その内容の一部をご紹介しよう。

若林恵(以下:若林) 3.11以降、原発の話は、どうも脱原発と推進派の二項対立になってしまいがちで、すべてがそうだとは言いませんが、脱原発を唱える人たちは、東電の問題と原発というテクノロジーの問題を一緒くたにして感情的になることが多いように感じられますし、一方で推進派は「電気はなくて生きていけるのか!」という感じで反論するわけですが、これもなんだか恫喝に近い感じで、基本平行線だなあという印象をもっています。『WIRED』としては、そのどちらにも汲みしないかたちで何かしらの記事をつくりたいな、と思っていたんです。

そもそもの前提として、東電を批判したりするのは、雑誌としてのぼくらの任ではないだろうとぼくは思っていますので、じゃあどうしようかというところで、まずは次世代原発の可能性について調べてみようと思ったわけです。そのなかで「トリウム熔融塩炉」というものに出くわしたわけなんですが、ぼくがこれを面白いと思ったのは、それが過去にあって埋もれたままになっていた技術だという点だったんですね。

そこで思ったのは、原発には過去にいろんな可能性があったにもかかわらず、さまざまな理由から採用されなかった技術がたくさんあって、そうしたものの上に「軽水炉」を中心とするいまの原発産業があるんだな、ということでした。しかも、それらが採用されなかった理由というのは、必ずしもその技術が劣っていたからとかいうことでもなく、結局、ある種の恣意性のなかで特定の技術が選ばれていったわけです。ですから、歴史のなかに消え去った技術の可能性を考えることで、現在の「原発」のあり方を一度相対化して考えることができるのではないかと思い、それを『WIRED』 VOL.3のなかの記事「ATOMIC DREAM ワインバーグ博士とありえたかもしれないもうひとつの原発の話」としてまとめたわけです。

今回お招きした吉岡律夫さんにはその記事の監修をお願いしたのですが、吉岡さんは、過去に東芝にいらして、福島第一原発の3号機と5号機の設計に携わられた経歴をおもちです。で、2004年に東芝を辞められて、トリウム熔融塩炉を推進するNPOに参加されたので、そういう意味では、現在の原発のあり方を相対化する視点をおもちの方ですから、ぼくらの記事を監修していただくのにもふさわしいなと思えたのです。前置きが長くなってしまいましたが、今日はまず、その吉岡さんの経歴をお伺いすることからはじめたいと思います。そうすることで、ある意味、現状の原発をめぐる「条件」をあぶり出せるとも思いますので。

若林 まず、吉岡さんが最初東芝に入社されて、軽水炉の設計に携わることになったころの時代背景をご説明いただけますか。

吉岡律夫(以下:吉岡) わたしが東芝に入社したのは1970年のことですが、当時すでに軽水炉は確立された技術で、次は「夢の原子炉」である高速増殖炉が世界中を席巻するという期待があった時代でした。しかし、90年代になっても夢の原子炉は実現しない、それどころか、95年には「もんじゅ」の事故が起きて、実用化の見通しが立たないことがわかり「これは、どこかおかしいのではないか?」と思うようになりました。つまり、軽水炉でプルトニウムを作り続けるといずれ破綻してしまう、という結論になったわけです。高速増殖炉は軽水炉から生成されたプルトニウムを使って運転する予定だったわけですから、それができないとなるとプルトニウムの処分をどうするか、という問題が未解決のまま残ることになるわけですが、これが、いまの原子力における最大の問題であるわけです。これが解決できないとなると、原子力に未来はなく、大量のエネルギーを供給する道もない、ということになってしまうわけです。

若林 それで原子力に疑問を感じ始めたと。

吉岡 いえ、原子力自体に、というよりは「軽水炉/高速増殖炉」を軸とした「ウラン/プルトニウムサイクル」に疑問をもつようになったということですね。そのころ、ある国際会議で発表した際に、東海大学の古川和男先生らのグループがトリウムを利用した原子炉の研究を発表され、そこで、「トリウムサイクル」というものがあることを知りました。このトリウムサイクルでは、プルトニウムがほとんどできません。さらに、軽水炉からできるプルトニウムを消滅させることができることもわかりました。また、安全性が非常に高いこともわかり、それ以来、トリウム熔融塩炉の研究を20年近く、続けております。

若林 原子力に疑問を感じたときに、太陽光や風力などに目を向けた方がいいとは思わなかったのですか。

吉岡 プルトニウムの問題を解決することができさえすれば原子力はやはりひとつの有力な選択肢となりえますし、もしそれを解決できなければ原子力はやめるべきだということになってしまうだろう、というのが当時考えていたことでした。そこで、まずは原子力として第3の道があるのかどうか、いろいろと過去の研究などを調べてみたところ、最適なソリューションが運よく見つかったということです。欧州では、太陽電池や風力に力を入れていましたが、経済情勢から見直されているのが現状と理解しています。もちろん、技術革新を期待してこの分野にも投資すべきですが、最近、米国の太陽電池メーカーが相次いで倒産したのをみても、技術革新の困難さがわかります。

若林 そうやっていろいろと検証してみた数多くのソリューションのなかでも、やはりトリウム熔融塩炉は可能性の大きいシステムだったわけですね。

吉岡 ええ、わたし自身もそう思いましたし、当時世界中の研究者や学者が同じように、第3の道を探していたのですが、結局トリウム熔融塩炉以外に解決の道がみつかりませんでした。これが「最後の希望の星」だろうと、わたしはそう思っています。

若林 吉岡さんは設計者として、福島第一原発の事故についてはどう思われていますか。

吉岡 わたしが原子力に携わるようになった1970年というのは、ちょうど福島の第3号機の建設が始まったときでした。その後、全部で12基の原発の設計に携わりましたが、それは12人の子どもがいるようなもので、東芝を辞めた後もずっと気にかけていました。今回このようなことになって、設計者としてすごく申し訳ないと思うとともに、会社にいる間にもっと安全な原子炉のことをもっと強く主張しておけばよかったと反省もしています。

若林 いま世界で約500基ある原子力発電所のうち、400基ぐらいが軽水炉です。福島第一原発もそうですね。軽水炉は燃料のウランからプルトニウムが生成されるものですが、そもそもどうしてこの軽水炉がここまで世界を席巻するようになってしまったのでしょうか。

吉岡 『WIRED』の記事で若林さんも書かれたように、軽水炉は1946年にアルヴィン・ワインバーグという人が発明したものです。その後、アメリカはそれを世界中に売りたいと思うようになりました。軽水炉は濃縮ウランが必要となりますが、ちょうどアメリカは原爆用のウラン濃縮工場をもっていました。軽水炉とその原爆用の工場で作った濃縮ウランをセットで売ることにより、世界中で原子力を使う国を、ある意味支配下におくことができると考えたわけです。一方で、買う方としても、ウランの原発からはプルトニウムができるので、万が一のときにこれを原爆に使おうと目論んでいたのでしょう。つまり、売る側と買う側の双方の政治的な意向が、ちょうど合致したことで、軽水炉がここまで普及することになったと考えています。

若林 核拡散の問題も、これまた大きい問題ですね。同時に、プルトニウムの廃棄の問題も残ります。これらふたつの問題に対して、トリウム熔融塩炉はソリューションが提供できるということなんだろうと思いますが、軽水炉と比べて、熔融塩炉のどのようなところにメリットがあるのでしょう。

吉岡 軽水炉は固体の燃料を使っているのに比べて、熔融塩炉は液体の燃料を使っているというのが大きな特徴です。まず、固体の燃料は水で冷却していないと壊れてしまう危険性があります。でも、液体なら(すでに溶けているわけですから)壊れるという危険性自体がありません。また、熔融塩炉は温度が上昇しても圧力が上がることはありません。これは、ある意味「魔法の液体」ともいえるものを使用しているためです。一方で、水を使う軽水炉は、温度が上がるに従って圧力が高くなってしまいます。福島の事故では、圧力が上昇したことから、漏れや爆発が発生してしまいました。水から水素ができて水素爆発も起こりました。熔融塩炉はそもそも圧力が上がらないことから、これらの危険性はないため、軽水炉より安全な原子炉といえるわけです。万一、燃料塩が漏れたとしても、原子炉の下に安全に保管され、最終的に固体となります。放射性物質が放出される危険性がないということです。また、経済性については、原子炉は単純な構造で、発電効率は軽水炉より3割程度優れています。

若林 燃料としてトリウムを使用することのメリットについてはどうでしょう?

吉岡 トリウムのいいところは、まず、トリウムを使った原発からはプルトニウムがほとんど生成されない、ということです。また、軽水炉から出てくるプルトニウムを消滅させることもできます。さらに、偏在するウランに比べて、トリウムは世界中ほとんどの国で採掘することができます。残念ながら日本では採れないのですが……。また、トリウムはレアアースと一緒に採れます。採掘されるレアアースの1割くらいがトリウムだといわれています。レアアースは昨年、世界中で年間約10万トン採掘されました。つまり、トリウムは昨年だけですでに1万トンも採掘されている計算になりますが、その処分に世界中のレアアース業者は実は困っているわけです。この1万トンのトリウムを使うと、計算上は100万キロワットの原発を1万基も稼働することができます。レアアース問題からの発想は不純な動機ですが、トリウムを取り巻く世界情勢はそのような現状にあるわけです。

若林 トリウム熔融塩炉はアメリカのテネシー州にあるオークリッジ国立研究所というところで1960年代に実験炉が造られて、2万6,000時間くらい稼働していて、特に大きな問題はなかったということなんですね。机上の空論、つまり理論上のものではなく実際に稼働していたという点は注目すべきことですね。

吉岡 軽水炉の発明者であるワインバーグ博士は、自著のなかで、「軽水炉の燃料は水で冷却できないと破損して、プラント全体を汚染し、修復が極めて困難になる」と書き、今回の福島の事故をある意味予言していました。彼は軽水炉の発明者でありましたが、軽水炉の問題点を認識して、もっと上のものを目指さなければならない、と考えていました。だからこそ、彼は「トリウム熔融塩炉」という技術に注目して、オークリッジ国立研究所の所長として、それを推進したわけです。

若林 軽水炉の特許をもっているのはワインバーグ博士なのですが、その人が、発明した当初から問題点があることを率直に認めていたことは興味深い点です。さらに同じ人物が軽水炉の問題を乗り越えるソリューションとして熔融塩炉を開発したというのは、かなり説得力のあるストーリーだと思うんですね。また、オークリッジで初期段階の原発の開発に功績のあった人々、ワインバーグをはじめノーベル賞受賞者のユージン・ウィグナーなどは、かなり初期の段階から「原発」を工学装置ではなく、一種の「化学プラント」として認識しようとしていたんですね。ここは面白いですね。ウィグナーはそういう視点から高速増殖炉を、それが造られる以前からあまり評価していなかったといいます。ちなみに原子力産業の父と呼ばれ、現在の「軽水炉」路線の下地を敷いたリッコーヴァー提督っていう人は、海軍で電子工学を学んだ人でした。

吉岡 1950~60年代のオークリッジの連中は「新しい技術である原発というものはどういうものであるべきか?」という議論を繰り返し「複雑な機械装置ではなく、単純な化学装置がいい」との結論に達したのでしょう。ワインバーグは「液体燃料なら、タンクとポンプと配管だけでできるからいい」と言っています。しかし、液体燃料といってもいろいろな種類があり、当初は変な原子炉も建設していましたが、ついに弗化物熔融塩という理想の液体を発見し、それと共存できる金属材料を開発したんです。そして65年に実験炉を建設し、4年間、事故や大きなトラブルもなく、順調に運転したというわけです。

若林 そうやって考えていくと、原発の歴史というのは、間違ったとは言わないまでも、必ずしもいろいろなことが精査・検証されたうえで発展してきたわけではない、ということになりますね。

吉岡 歴史の分かれ目というか、技術的に正しい方向でも、人間社会である以上、正しい判断が常にできるとは限らないということでしょう。それでも、われわれ科学者・技術者の使命は、判断に必要なデータや情報を提供することだけです。最終的な判断は、市民や社会がするべきと、わたしは考えていました。専門家と称する人たちに任せてしまった結果が、福島の事故を生んだわけですから、なおさら、そう思います。

若林 いま、トリウム熔融塩炉については、昨年1月に中国が開発計画を発表して話題になりましたが、そういう意味では、原発についても、これまでの反省を生かして新しい時代に入りつつあるのかな、とも思いますが、いかがでしょう?

吉岡 中国の科学院は昨年1月にトリウム熔融塩炉の開発計画を公表し、いま研究員が約400名くらいいて、トリウム原発の実験炉を2基、2015年の稼働を目指して開発しています。中国ではレアアースが採れるので、トリウムはあるのですが、ウランは採れません。今後、電気を使う人が大幅に増える見込みであり、発電は切実な問題であるので、そういった意味においてトリウム原発に期待しているところがあるようです。国家のエネルギー安全保障の観点から、トリウム原発の開発は国家使命ということでしょう。去年の秋に中国の科学院を訪問し、彼らの熱気を感じてきました。

若林 逆に日本の今後を考えたときに、原子力発電所というのは、もしかしたら必要でないかもしれないという話はありますよね。

吉岡 そうですね、日本はまた違った考え方があって当然だと思います。これから人口が減っていきますし、製造業も衰退していっているので、エネルギー需要はどんどん減っていくわけですから。そういった、日本の原子力をどうするかという話とは別に、日本の技術によって世界に貢献するうえで、原子力には第3のソリューションがあるということをわたしは示したいのです。日本の原子力関係のメーカーが輸出を考えるようになったのはここ2~3年のことで、それまではずっと日本のなかだけで商売になっていたわけです。世界のために何かをしようという発想はなかったのです。今後は世界のために日本がどう貢献できるか、がわれわれに課されたもうひとつの課題だろうと思います。ちなみに熔融塩炉に関して言いますと、基盤となる要素は4つありまして、それは、熔融塩、黒鉛、金属材料、そして、高温液体技術なんでですが、これらすべての技術を日本はもっているわけです。これらを活用して、世界に貢献できる位置に日本はあるのです。中国をはじめ、アメリカ、ロシア、欧州各国などが研究を始めていますが、世界的な協力体制になれば、そこで日本の果たす役割は大きいでしょう。

若林 今後日本でトリウム熔融塩炉が実現化に向けて動き出すとか、そういったことは考えられるのでしょうか。

吉岡 世界の役に立つためには、日本も当然研究はしないといけないだろうとは思います。でも、数十年後のことを考えれば、日本の電気の消費量は減っていくわけですから、これからの日本の発電がすぐに置き換わるといったことは起こらないだろうと思いますね。

若林 なるほど。でも例えば2050年になったときに、世界の原発がこれに変わっているという可能性はあるのでしょうか。

吉岡 そうですね。先ほどは中国の話をしましたが、実はインドもウランは採れないけど、トリウムは採れる国なのです。中国と同様に、人口が多くエネルギー消費が増えています。そのため中国とインド、あるいはアフリカなどがその方向に向かっていく可能性があると思いますね。

2012年3月10日 TSUTAYA TOKYO ROPPONGIにて
TEXT BY WIRED.jp_M


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輿石氏と鳩山氏、習国家副主席と別々に会談


 別々に中国を訪れている民主党の輿石幹事長と鳩山元首相は現地時間23日、習近平国家副主席とそれぞれ会談し、いずれも東シナ海のガス田共同開発の交渉再開を要請した。

 会談で輿石幹事長は、福島第一原発事故の風評被害に関し、「日本の食料品、農産物の輸入制限の緩和に協力してほしい」と要請した。これに対し、習近平国家副主席は「大いに輸入できる環境が整うことを期待している」などと述べた。また、輿石幹事長が、東シナ海のガス田共同開発の交渉再開を促したのに対し、習国家副主席は「早期に再開できるように、条件作りをしていかないといけない」と応じた。輿石幹事長は「心合わせにつながった」と述べ、日本側は「実りある会談ができた」と評価している。

 一方、鳩山元首相も習国家副主席と会談し、同様にガス田の共同開発の交渉再開を要請した。

 訪中団の一人は「重層的な関係だ。色々なレベルでの交流はあっていい」と述べているが、同じ日に同じ会談相手、会談での要請内容も重なっている点があるなど、党内からも「調整していないのだろう」と批判的な声も上がっている。

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がれき処理の中間貯蔵施設は“金の山”? 裏社会の住人も群がる“福島原発復興策”


──「震災復興には、裏社会の手助けが必要だ」と口にして物議を醸したのは、作家・堺屋太一の発言だが、現実にはすでに、裏社会の住民らは復旧マネーの分配にあずかっている。福島第一原発半径20キロ圏内国有化計画が浮上する中、“本音”の復興改革にスポットを当ててみよう。

「復旧(復興)にはスピードが必要」「平時のように四角四面に法律を適用していては、ことは迅速に進みません。正直なところ、裏社会の人に協力を要請しないと突破できない局面も出てきます」

 こう月刊誌上で述べたことが物議を醸し、暴力団排除活動を進める全国の弁護士から抗議を受けたのは、作家の堺屋太一氏。堺屋氏は、阪神淡路大震災で政府の復興委員を務めた経験から今回の「裏社会」発言に至ったのだが、この発言は福島県の復旧の最前線を的確に反映したものともいえそうだ。というのも、週刊誌を中心に既報されているが、現実にはすでに裏社会の住人たちは復旧の最前線に根を下ろし、復旧(復興)マネーの配分にあずかっているからだ。

「以前から、原発にからんだゼネコンの下請けには、地元の暴力団関係者が深く関与する建設会社が多かった。もちろん、東京電力やゼネコンのコンプライアンス(法律遵守)の建前上、姓の違う親族を社長に仕立てるなど、表立って役員にはなってはいないが、取引先はみんな事情を知っています。福島第一原発事故後、がれき処理、インフラの再構築などで、さらに作業員が必要になって、仕事を仕切るゼネコンが県内外の建設会社に声をかけた。その結果、いまや、ウラでは、複数の有名広域暴力団の関係する建設会社が共存しています。2月には復興庁も発足しましたが、すでに現地では、福島原発の復旧をはじめとする復興マネーを分け合う仕組みができていますよ」

 こう語るのは、福島のとある建設会社役員。政府の復興支援の目玉である約1・8兆円の復興交付金の、決して少なくない部分がアングラマネーに流れ込んでいるのだ。

「そうしたマネーは、復興バブルに沸く仙台のネオン街の飲食店・風俗店に新規出店する軍資金になり、次なる投資に備えている段階です。今、業者が競っているのが、福島県内の土地購入。一山1000万円程度で買えるとあって、物色が進んでいる。自治体が買い上げ評価額を震災前の8割程度にすると決めたこともあって、被災者から安く買い叩いても、最終的には自治体が震災前の8割程度で買ってくれる可能性が高いのですから、おいしいビジネス。しかも、福島第一原発半径20キロ圏内の土地をめぐっては、地元議会の議員や国会議員の秘書たちが暗躍して購入に走り、もはやバブル寸前です」(同)


■中間貯蔵施設の建設と暗躍するグレーな紳士


 福島第一原発半径20キロ圏内の土地といえば、原発事故の影響を受けて、放射線量が高い地域であり、政府により「長期帰還困難区域」とする方向で調整が進められている地域だ。住民さえもいつ帰れるかもわからない地域を購入に走る理由は、一体なんなのだろう?

「実はあまり大きく報道されてはいませんが、この土地、中でも、放射線量が高い長期帰還困難区域を政府が買い取る案が浮上し、現実味を帯びています。しかも、そのエリアには、放射性物質に汚染されたがれき処理のための中間貯蔵施設も建設されるという。購入した土地がその建設予定地となれば、こちらの言い値で政府に買い取ってもらえるだろうというわけです。

 環境省によれば、『年間換算の放射線量100ミリシーベルト以上』で『敷地面積は、3平方キロメートル~5平方キロメートル程度』といった条件が挙げられています。そのため、処理業者たちは政府の考える候補地を政治家秘書から聞き出そうと、競争が始まっているのです」(永田町関係者)

「福島に中間貯蔵施設を」——この案は、11年8月27日、退任直前の菅直人前首相が「中間貯蔵施設を福島県内に設置したい」と突如として理解を求め、福島県知事の佐藤雄平氏が反発したことで、マスコミに大々的に報道されたが、その後、すっかり表舞台から消えていた話題だ。しかし、8月のがれき処理特措法と12月の復興特区法の成立で、福島県内のがれき処理、除染作業(放射性物質に汚染された物質を取り除く作業)も本格的にスタート、復興に向けて動きだした。すると、放射性物質に汚染されたがれき処理のための中間貯蔵施設が、どうしても必要となってきたのだ。

「菅政権を引き継いだ野田政権は、菅前首相の発言を受けて中間貯蔵施設建設計画を着々と進めています。まず、計画を実際に進めるのは環境省。そこで、民主党の中でキレ者とされる細野豪志氏を内閣府特命担当大臣(原子力損害賠償支援機構担当)と兼務させる形で環境大臣に任命した。環境省は10月に『東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う放射性物質による環境汚染の対処において必要な中間貯蔵施設等の基本的考え方について』を発表し、12月28日には細野大臣が中間貯蔵施設の設置場所として、『福島県双葉郡内』で『年間換算の放射線量100ミリシーベルト以上』の地域などという概要と『今後、地元自治体と調整して、具体的な設置場所を決めていく』方針を明らかにしたのです」(同)

 この計画は「福島県内の各市町村に仮置き場を設置し、約3年間保管した後、中間貯蔵施設に移し30年以内に県外で最終処分する」というもの。ただし、「中間貯蔵施設」とはいうものの、原発政策では「中間貯蔵」とは「最終処分」になりかねないだけに、自治体の反発は大きい。

「事情は複雑です。福島第一原発半径20キロ圏内といっても、除染をすれば住むことが可能になる自治体からすれば、できるだけ早く中間貯蔵施設が欲しい。ただし、施設が置かれる原発周辺の自治体からすれば、安全性が問われ、自治体そのものの存続にかかわってしまう。最終的には、長期帰還困難区域全体を政府が買い取り、その国有地化した地域の中で『中間貯蔵施設』を建設するということになるのでしょうが、先祖代々の土地と考えている被災した地元住民にとってはたまったものではなく、大きな反発が予想されるのです」(大手紙記者)

 中でも双葉郡内では、すでに中間貯蔵施設の候補地として、A町の町長の長男が経営する建設会社が所有する採石場跡地が挙げられている。このA町長は中間貯蔵施設建設に肯定的で、採石場跡地をめぐっては、11年、東京の不動産会社との間での売買契約が進んでいたことも一部で報道されているほどだ。

 とはいえ、これらの土地をめぐる話題は、自治体や被災住民の心情をおもんばかってか、政策論議も事実上のタブーになっているのが現状なのだ。


■“タブー”と化した福島第一20キロ圏内


 では、こういった状況下において、与野党はどのような原発事故地域の復興案を掲げているのだろうか? 今回、各党の復興策を比較検討するため「民主党」「自民党」「公明党」「みんなの党」「共産党」「社民党」の復興策、各提言を検討した。

 原発政策をめぐっては、「それでも原発推進」VS「脱原発」といった構図ができるほど声高に旗幟鮮明なのだが、福島第一原発20キロ圏内の話となると口を閉ざすか言葉を濁してしまうのだ。

「民主党のほかには、みんなの党が12月に、特定原子力被災地域土地利用法案(借り上げ・買い取り法案)を提出しましたが、『中間貯蔵施設』という言葉まで踏み込めていない内容で、借り上げ案と買い取り案という2つの案を紹介している程度。各党とも、いざ買い上げるとなれば莫大な税金がかかるわけですから、慎重になるのも無理のない話ではあります」(同)

 中間貯蔵施設建設計画では政府・民主党が一歩リードというところだが、これから地元自治体との調整が始まる段階で、建設のメドは立っていない。しかし、この間にも除染作業は進み、地域ごとの仮置き場は放射性物質に汚染されたがれきでいっぱいになってしまう。地元の建設業者の間では、「既存政党ではダメだ。やはり新党しかない」と新しい動きに期待する声が高まっているという。

「ズバリ、石原(慎太郎・東京都知事)・橋下(徹・大阪市長)新党でしょう。この新党が政権に就いたら、地域分権を主張する橋下氏は『東北州から地域分権を!』と、道州制と福島第一原発20キロ圏内の国有化を宣言する。その上で、石原氏は東京都が岩手県のがれき処理を引き受けたときのようにキッパリと中間貯蔵施設の建設計画に踏み出す。こうした政策を断行できるのは国民的支持を受けた、リーダーシップのある2人だけです」(前出・建設会社役員)

 この話、納得できる部分も確かにある。例えば、石原都知事は11月から被災地のがれき受け入れを開始している。ほかの自治体でも受け入れを表明したものの、周辺住民の反発で頓挫中で、受け入れが進んでいるのは東京都だけなのだ。

「『皆で協力して、力があるところが手伝わなければしようがない』『(反対意見には)黙れ、と言えばいい』と反対意見を一喝した石原知事ですが、東北地方のがれき処理でリードするゼネコンは鹿島建設。鹿島は自社のスタッフを石原氏の側近に送り込むなど、密接な関係がこれまでも指摘されている。つまり、東北復興は鹿島の繁栄。ひいては石原氏の影響力がますます強まるという構図があるのです」(前出・大手紙記者)

 また、橋下大阪市長の政界の後見人、大阪維新の会の顧問といえば、冒頭の「裏社会」発言で物議を醸した作家の堺屋太一氏だ。堺屋氏は、問題の記事中でも、首相に求める行動として「道州制への移行の起爆剤となるような東北復興庁を作るべき」と提言しているのだ。

「つまり、東北州という形での東北復興をきっかけに、日本経済を回復させようというプランです。府知事時代に電力制限をめぐり関西電力と激しくやり合った橋下氏にとっては、中央政界では、東京電力と対峙することで、国民的な人気も維持できる。やがて対立した東京電力を国有化し、福島第一原発半径20 キロ圏内を国有化するといったシナリオです」(同)

 石原・橋下新党での20キロ圏内国有地化と、東北州の誕生という革命的復興計画——。確かに日本経済が回復するのはありがたいが、肥え太るのは裏社会の人たちと議員ばかり……という気がしないでもない。

(取材・文/編集部)

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輿石氏「輸入制限の緩和を」習副主席と会談


 中国を訪れている民主党・輿石幹事長は現地時間23日午後、習近平国家副主席と会談し、福島第一原発事故を受けて中国が実施している日本の農産物の輸入制限について、緩和を求めた。

 輿石幹事長は会談の冒頭、東日本大震災での中国の支援に感謝した上で、原発事故の風評被害に関し、「日本の食料品、農産物の輸入制限の緩和に協力してほしい」と要請した。これに対し、習副主席は、「大いに輸入できる環境が整うことを期待している」などと述べた。

 また、輿石幹事長が、東シナ海ガス田の共同開発の交渉が中断している問題について早期の交渉再開を促したのに対し、習副主席は「早期に再開できるように、条件づくりをしていかないといけない」と応じた。

 会談は予定よりも長い50分間に及び、輿石幹事長は「心合わせにつながった」と述べ、日本側は実りある会談ができたと評価している。

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福島第一1号機温度計、01年から配線ミス


 福島第一原発1号機で、原子炉圧力容器の底にある温度計の一つが、01年から配線ミスのため別の温度計のデータが記録されていたことがわかった。

 「東京電力」によると、この温度計は01年の定期点検で故障と判断され、記録計へつながる配線が外されていたが、22日、別の温度計の配線が接続されているのが見つかった。このため、実際には計測されていない位置の温度計に、別の温度計と同じデータが記録されていたという。

 東京電力は、この温度を保安規定の変更に伴い、今年1月から経産省の原子力安全・保安院に報告していた。

 東京電力は、この温度計を監視対象から外し、なぜこのような配線になったまま見過ごされてきたのか詳しい経緯を調べている。

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