JR東日本の在来線2階建て車両を振り返ってみた | はやこま すていしょん!

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更新頻度は遅めですが、日々の出来事や趣味的なことを書いていこうかなと思っています。若干鉄分は濃い目の予定(笑

JR東日本の近郊型電車のトレードマークともなっている2階建てグリーン車。ここではJR東日本2階建て車両を考察してみようと思います。

(クハE232-3017・尾久〜赤羽・2015年1月3日)

東海道本線と横須賀・総武快速線では国鉄時代からグリーン車を連結していて、結構な乗車率を誇っていました。そこでJR東日本はグリーン車の定員を増やすため、1989(平成元)年から2階建てグリーン車の211系サロ212形、サロ213形と113系サロ124形、サロ125形を導入しました。

(サロ213-1002・上野・2010年10月11日)

(サロ125-6・東京・2005年3月21日)

211系の軽量ステンレス車体をベースとして、デッキ間は車両限界一杯の屋根高さの2階建て構造としています。2階部分の窓ガラスは屋根に合わせた曲面ガラスを採用。2階窓の上辺と平屋部分の幕板高さを合わせてシンプルかつ端正なデザインとしています。また、空調を平屋部分に搭載して、2階建て部分の屋根と一体感を持たせました。

台車は211系同様のボルスタレス台車が基本ですが、サロ124形、サロ125形の一部はインダイレクトマウントのTR69形を装着していました。

113系の淘汰に伴ってサロ124形、サロ125形はサロ212形、サロ213形に改造編入。さらに一部は寒冷地対策を施した1000番代となって上野口のグリーン車として転用されました。現在は全車引退しています。

 

1990(平成2)年に登場した「スーパービュー踊り子用」251系には2階建て車両を3両連結しています。251系の売りはハイデッキ構造による眺望なので、2階建て構造にした1、2、10号車の1階客室はそれぞれ個性を持たせています。

1号車は1階にグリーン席利用客専用のサロン室とサービスカウンターを設置しました。

(「スーパービュー踊り子」クロ250-2・東京・2009年6月9日)

2号車では1階を4人用個室としています。

(サロ251-2・東京・2009年6月9日)

そして10号車の1階はこども室としました。

(「スーパービュー踊り子」クハ251-2・東京・2009年6月9日)

251系はハイデッキ構造を基本として、1階のスペースも活用したといえます。

この逆の発想で着席定員を増やすことが検討され、1991(平成3)年に415系クハ415形1900番代が試作されました。

(クハ415-1901・勝田車両センター・2005年9月4日)

今までのグリーン車や観光目的ではなく純粋な通勤需要の車両です。基本的には211系2階建て車両の構体をベースとして、両開き扉が採用されました。客席はセミクロスシートですが、2階席は4人掛けボックスシートと6人掛けボックスシートを配置しています。

クハ415-1901の運用実績を反映させて、通勤時の着席定員数の確保を目的とした2階建て近郊形電車215系が1992(平成4)に登場しました。

(「ホリデー快速ビューやまなし」クモハ215-4・新宿・2017年11月4日)

215系は10両編成中8両を完全な2階建て構造としました。両先頭車には走行用機器を集中搭載しているため、1階席は平屋部分のみでデッキ間の2階席はハイデッキ構造となっています。機器は床上と床下に搭載しています。

車体は211系をベースに設計されていますが、新たにヨーダンパや車体間ダンパが装備されました。

(サロ215-4・新宿・2017年11月4日)

普通車は4人掛けボックシートを配置しています。一時期は湘南新宿ラインにも充当されたことがありましたが、現在は平日の東海道線の通勤ライナーと土休日の中央線臨時列車「ホリデー快速ビューやまなし号」に使用されています。

 

JR東日本はVVVFインバータ制御車の209系を開発。209系の近郊形バージョンとしてE217系を1994(平成6)年から製造して横須賀線に投入しました。グリーン車は2階建て車両であるのは言うまでもありません。

(サロE216-38・錦糸町・2017年11月16日)

ステンレス車体は209系の製造技術が取り入れられ、ビードレスとなりました。ヨーダンパは現在撤去されています。

1999(平成11)年には豪華夜行列車「カシオペア」用客車E26系が登場しました。E26系はアメリカ大陸横断鉄道をイメージしたステンレス車体と2階建て構造を採用したのが大きな特徴です。その車体構体はE217系2階建てグリーン車をベースにしていますが、車体下部をグレー塗装としてメリハリをつけています。

(スロネE26-101・大沼・2016年8月7日)

その他、ドア配置や台車中心間距離など差異は多いです。また、E26系の寝台車では客室のみを2階建て構造としています。

唯一食堂車のマシE26形のみは完全2階建て構造。

(マシE26-1・函館・2015年11月30日)

2階に食堂、1階に通路と厨房を配置しています。

2000(平成12)年から209系、E217系の後継車となるE231系が登場しました。

(サロE230-1081・御徒町・2017年11月17日)

システム的にはIGBT素子のVVVFインバータや、車両情報管理システムTIMSの搭載など新機軸が盛り込まれていますが、車体的にはE217系と大差ない印象です。なおE231系もヨーダンパが撤去されています。

 

2003(平成15)年にJR四国が「マリンライナー」用として導入した5000系は、JR西日本223系をベースとしていますが、1号車の5100形をグリーン席、普通車指定席合造の2階建て車としました。しかしJR西日本には2階建て車両の実績がなかったため、JR東日本の2階建てグリーン車をベースとしています。

(「マリンライナー」5102・高松・2009年4月6日)

オリジナルの前面に目が行ってしまいますが、側面を見ればJR東日本の2階建て車そのもの。そのため、車体の形態や台車が223系と大きく異なっています。

 

E217系、E231系に続いて2005(平成17)年には常磐線にE531系が導入されました。その前年の2004(平成16)年から上野口の近郊形電車にグリーン車の連結を開始されていましたが、その結果が好評だったため常磐線にもグリーン車を連結することとなり、2006(平成18)年からグリーン車の連結を順次行って、2007(平成19)年からグリーン車の営業を開始しました。

(サロE530-16・北千住・2017年11月17日)

車体は基本的にE231系に準じていますが、ヨーダンパのアームが太くなっています。また、車体下部をグレー塗装としています。

 

E231系の後継車、E233系の近郊仕様の3000番代は2008(平成20)年から営業運転を開始しました。もちろん2階建てグリーン車を連結しています。

(サロE233-3016・上野・2017年11月17日)

E233系も車体下部をグレー塗装としています。

気がつけば首都圏を縦横無尽に走り回る2階建て車両。今後中央線快速への連結も予定されていますが、どのような形で登場するのか気になるところです。