宇都宮貨物ターミナルの大物車「シキ」 | はやこま すていしょん!

はやこま すていしょん!

更新頻度は遅めですが、日々の出来事や趣味的なことを書いていこうかなと思っています。若干鉄分は濃い目の予定(笑

宇都宮貨物ターミナルにはJR貨物が所有する大物車が常備されていて、敷地外から見ることができます。

(シキ1001・宇都宮貨物ターミナル・2017年4月2日)

シキ1000形は分割低床式大物車で、3両在籍しています。

(シキ1002・宇都宮貨物ターミナル・2017年4月2日)

分割低床梁「D梁」は荷受け部分を分割することで荷役を容易にしたものです。シキ1000形は国鉄初の分割低床式で、シキ1000は1975(昭和50)年2月21日に落成。シキ1000形は当初全車日本通運所有の私有貨車でした。

(シキ1000・宇都宮貨物ターミナル・2017年4月2日)

最大積載重量は55t。シキ1000の荷受梁はD1梁とD2梁の2種類がありましたが、現在はD1梁のみとなっています。

台車は日本車輌製造のNC-5形を4個装着。枕ばねをコイルばねとしたほか密封コロ軸受を採用。積載時の最高速度は75km/hで、一般貨車との編成を組むこともできました。なお一般貨車と混結する際は編成の先頭にシキ1000形を連結することになっていました。

1975(昭和50)年3月4日にはシキ1001が落成しました。

(シキ1001・宇都宮貨物ターミナル・2017年4月2日)

シキ1000と異なり荷受梁はD1梁のみでした。

シキ1002は1979(昭和54)年6月4日に落成。

(シキ1002・宇都宮貨物ターミナル・2017年4月2日)

シキ1000形は1987(昭和62)年1月12日に除籍されましたが、1990(平成2)年にJR貨物が購入して車籍が復活しました。

 

シキ180形は80t積の低床式大物車で、1965(昭和40)年1月に国鉄浜松工場で製造されました。

(シキ180・宇都宮貨物ターミナル・2017年4月2日)

この車両は私有貨車ではなく最初から国鉄所有で、JR貨物に承継されました。

2軸台車と3軸台車を組み合わせた複式台車を装着した10軸構造です。積載時の最高速度は65km/hでそれを示す「ロ」記号と黄色いラインが残っています。

 

シキ610形は吊り掛け式大物車で1962(昭和37)年〜1976(昭和51)年にかけて5両製造されました。シキ610が東芝所有の私有貨車で、シキ611〜615が日本通運所有の私有貨車です。日本通運所有となったのは、使用頻度が少ない大物車を各メーカーが所有するのよりは共通使用した方がいいと判断したためです。

しかし東芝、日立製作所、富士電機の3社と三菱電機ではヒンジの位置が異なるため、シキ611ではB1梁とB2梁の2種類を製造して交換する方式としました。

B1梁は東芝、日立製作所、富士電機に対応しており、荷重は240tとなります。B2梁は三菱電機に対応していて荷重は235tです。

その後シキ611のB2梁はシキ612に転用されたので、現在のシキ611はB1梁のみです。

(シキ611・宇都宮貨物ターミナル・2017年4月2日)

台車は3軸ボギーの日本車輌製造NC-4A形を8個装着。なんと24軸を誇ります。
積車時の最高速度は45km/h
 

シキ800形は吊り掛け式と分割落とし込み式兼用の大物車で、日本通運の私有貨車として製造されました。

シキ800は1973(昭和48)年2月7日に落成。吊り掛け式のB1梁とB2梁、分割落とし込み式のC梁が用意されました。

シキ800のB1梁は後述のシキ801に譲られたので、現在はB2梁を標準装備しています。

(シキ800・宇都宮貨物ターミナル・2017年4月2日)

B2梁の荷重は160t。B2梁の間にC梁を挿入すると荷重140tの分割落とし込み式の大物車になります。

台車は日本車輌のNC-3C形を8個装着した16軸構成となっています。積載時の最高速度は45km/hです。

 

シキ801は1974(昭和49)年6月19日に落成しました。製造時はB2梁を装備していましたが、シキ800のB1梁を譲り受けています。写真ではB1梁を搭載しています。

(シキ801・宇都宮貨物ターミナル・2017年4月2日)

B1梁は荷重155tの吊り掛け式大物車となります。さらに三菱電機製の変圧器の搭載に対応させるための継手が用意されていて、継手1装着で荷重130t、継手2装着で荷重150tの吊り掛け式大物車となります。

B2梁を搭載した場合はシキ800と同じくB2+C梁の分割落とし込み式の大物車にもなります。

シキ800形は1979(昭和54)年にシキ810を増備していますが、2009(平成21)年に廃車されました。そして台車、台枠、B2梁、まくら枠をシキ801に移植しています。そのため台車はTR213F形を装着しています。

 

その特殊性からなかなか走行シーンを見ることができない大物車ですが、ここならじっくり見物できるので、また改めて見に来ようかと思っています。