JR貨物川崎貨物駅に隣接した川崎車両所に試作貨車が留置されています。それがコキ70形とワ100形です。
(コキ70-901/ワ100-901・川崎車両所・2017年3月29日)
コキ70形は背高の海上輸送コンテナを搭載することを目的として1991(平成3)年3月に2両1ユニットが試作されました。
(コキ70-901・川崎車両所・2017年3月29日)
背高コンテナを積載するために床面高さを709mmまで下げ、台車も車輪系を610mmと小径化したFT11形を装着しています。
(コキ70-901・川崎車両所・2017年3月29日)
コキ70形は背高コンテナの他、航空コンテナの積載も考慮していました。さらにトラックのまま積載するピギーパック輸送にも対応できる様に設計されていました。
トラックは自走してコキ70形に載せる構造で、ユニットを組むコキ70-902にも自走で移動できるように渡り板が設置されています。
(コキ70-902/コキ70-901・川崎車両所・2017年3月29日)
低床構造のため、ユニット間の連結器高さも550mmと低くなっています。
しかし車両限界を検証した結果、低床車両でなくとも背高コンテナを積載することができることがわかり、量産には至りませんでした。
そして2003(平成15)年に廃車されました。
コキ70形の後ろにある3両の有蓋車がワ100形で、1992(平成4)年に試作されました。
(ワ100-903/ワ100-902/ワ100-901・川崎車両所・2017年3月29日)
ここから見た姿ではただの12m級有蓋車にしか見えませんが、実はこの有蓋車はダブルタイヤ2軸構造のトレーラで道路上を走行することができます。
(ワ100-902/ワ100-903・川崎車両所・2017年3月29日)
車端部はFT1A形台車を装着したアダプターフレーム上に搭載されており、鉄道では連接構造のユニットを構成します。
(ワ100-902/ワ100-903・川崎車両所・2017年3月29日)
アダプターフレームの脱着はエアシリンダ式ショックアブソーバとエアジャッキで車体を浮かせて行う構造としました。重機や地上装置を必要としない点は画期的でしたが、作業時間と手間はかかるため、結局試作のみに終わって2002(平成14)年に廃車されました。
コキ70形もワ100形も鉄道とその他の輸送を融合させるアイディアでしたが、どちらも日の目を見ませんでした。
そんな2形式をこの目で見ることができるとは思いませんでした。