今日は国鉄特急色に塗り戻されたJR貨物EF65 2139を撮影してきました。
(EF65 2139・岡部〜本庄・2016年8月9日)
青15号を基調にクリーム色1号の帯を2本巻いた国鉄特急色は、元々ブルートレインに合わせたカラーリングでした。
ところで、特急列車に合わせたカラーリングの電気機関車が登場したのは、1956(昭和31)年の東海道本線全線電化の時で、東海道本線で運行していた「つばめ」「はと」の客車とともに青大将と呼ばれるカラーリングに変更しました。
(EF58 93・大宮総合車両センター・2008年5月24日)
客車とともに車体を濃緑色5号に塗装するとともに、裾部を黄色1号としました。
「つばめ」「はと」を担当した東京機関区と宮原機関区に所属するEF58形25両が対象でした。ちなみにEF58 93は現役時代に青大将色となったことはありません。
1958(昭和33)年から20系ブルートレイン「あさかぜ」の運行が始まりましたが、1960(昭和35)年にEF58形20両を青2号基調で裾部をクリーム色とした寝台特急色としました。
塗装以外の装備としては20系のパンタグラフ付き電源車カニ22形のパンタグラフを昇降させるためのスイッチ(カニパンスイッチ)と20系との通信用電話、それらの回線を接続するためのKE59形ジャンパ連結器を備えていました。
1963(昭和38)年に20系が15両編成となり、EF58形では牽引定数をオーバーするため、貨物用のEF60形をベースとしたEF60形500番代がブルートレイン牽引機となりました。
EF60形500番代にも特急色が採用されましたが、20系と同じ青15号にクリーム色1号の帯とするとともに、帯の位置も20系に合わせました。
(EF60 501・碓氷峠鉄道文化むら・2003年1月12日)
20系の帯は裾部、腰部、幕板部の3本ですが、床高さが高いEF60形500番代では裾部の帯がありません。
現役時代はカニパンスイッチと電話、KE59形ジャンパ連結器を備えていましたが、貨物線用になったときに撤去され、塗装も一般色に塗り替えられました。
EF60形500番代は高速性能に劣っていました。さらに1968(昭和43)年から20系の110km/h運転を行なうことになり、それに対応した機関車としてEF65形500番代Pが1965(昭和40)年に登場しました。カラーリングはEF60形500番代を踏襲しています。
(EF65 501・高崎車両センター・2004年12月11日)
EF65形PではEF60形500番代の装備に加え、AREBブレーキの電磁回路とKE72形ジャンパ連結器、ブレーキ増圧装置を搭載しています。
ブルートレインは14系と24系で青20号となり帯色も白に、さらに幕板部の帯も廃止されて、以後塗装は統一されていません。さらに24系25形では帯がステンレスに変わっています。
同年に特急貨物列車牽引用のEF65形500番代Fも製造されましたが、こちらも特急色を採用しました。
(EF65 519・新大阪・1981年8月)
ブルートレイン牽引用ではないのになぜこのカラーリングとなったのかはよくわかりませんが、10000系貨車による100km/h運転をアピールするためだったのかもしれません。
もっともEF65Fにも20系ブルートレインを牽引可能な装備があり、実際に牽引したこともあります。
10000系貨車を100km/hで牽引するための装備としては重連総括制御装置とKE75形ジャンパ連結器、釣り合い管ホース、MR管とBP管付きの密着式自動連結器などがありました。
EF65形500番代はJR貨物承継車が更新で塗色を変更するまで、特急色のまま使用されました。現在もEF65 501が特急色で使用されています。
EF65Fの前例があったからなのか、特急貨物列車用牽引機EF66形も特急色に準じたカラーリングとなりました。
準じたと書いたのは、幕板部には帯がないからです。
国鉄時代末期の1985(昭和60)年、24系の「はやぶさ」にロビーカーを連結して15両となったため、EF66形がブルートレインを牽引することになり、以後2009(平成21)年まで14系、24系ブルートレインを牽引しました。
(「はやぶさ」EF66 49・早川〜根府川)
14系と24系は幕板部に帯がないため、帯の位置的な違和感はありませんでしたが、帯の色が揃うことはありませんでした。
ブルートレイン牽引機はJR西日本に承継。のちに「あさかぜ」のスハ25形のパンタグラフ昇降スイッチを搭載し、その回路を備えたKE75形ジャンパ連結器が追加されています。
ちなみに「瀬戸」を牽引していたEF65PFにも同じスイッチと回路を装備しましたが、既存のKE75形ジャンパ連結器を活用しています。
JR貨物ではEF66 27だけがこの塗装で残っています。
1969(昭和44)年に東北本線・上越線向けにEF65形1000番代が登場しました。EF65形1000番代はEF65PとEF65Fの性能を持ち合わせた機関車として位置づけられて、EF65PFと呼ばれています。
(EF65 1001・大宮総合車両センター・2008年5月24日)
最初に投入された東北本線ではブルートレイン「あけぼの」を牽引。初期車の一部は下関機関区に配置されて九州ブルトレも牽引しました。
EF65PFはEF65形の標準仕様となり貨物用としても製造されましたが、塗装はすべて特急色でした。
そして東海道・山陽本線でブルートレインを牽引していたEF65形500番代PやEF58形の後継機もEF65PFとなり、EF65 1092〜1139が投入されています。
(「出雲」EF65 1108・大井町〜大森・2005年9月27日)
24系はグレードアップ「あさかぜ」で金帯3本となりました。金帯3本編成との編成美は良かったと思います、
EF65PFはJR東日本、JR西日本、JR貨物に承継されました。ブルートレインの牽引は2008(平成20)年が最後となっています。
現在もJR東日本、JR西日本所属車(1124を除く)とJR貨物のEF65 2139は特急色で残っていますが、牽引される車両のほとんどが淘汰されてしまったので、当時の雰囲気を感じさせることができれ列車を見る機会は非常に少なくなっています。
(「EL&SL奥利根号」EF65 501・北上尾〜桶川・2008年5月6日)
(EF65 1126・木ノ本・2009年2月8日)
20系はもちろん14系も24系もいなくなった今では、12系との組み合わせだけですが、これも貴重な光景となってしまいましたね。