東急田園都市線のレア編成として有名な8590系を撮影してきました。
(デハ8595・市が尾〜藤が丘・2016年7月11日)
現在田園都市線には8694Fと8695F、2編成の8590系がいます。田園都市線の車両としては最も少数派で、地元民じゃない自分には捕捉が難しいのですが、良い情報源を見つけた結果あっさり撮影することができました。
さてこの8590系ですが、正確には8090系8590番代となるようです。
ということでこの8090系を整理してみましょう。
8090系は1980(昭和55)〜1985(昭和60)年にかけて製造されました。
(クハ8081・自由が丘)
軽量ステンレス車の量産第1号で、製造時の歪みを防ぐために車体の裾に丸みを持たせたのが外観上の特徴です。8090系は、最終的に8両編成10本が出揃いました。
8090系では渋谷側先頭車をクハ8091、桜木町側先頭車をクハ8092としていたので、8099Fで下1桁を使い果たし、桜木町側先頭車は十の位を減らしてクハ8080としています。
4次車からは前照灯の位置が少し上に上がっています。
1987(昭和62)年に、みなとみらい線と東急東横線の乗り入れ運転が決定したことで、地下線乗り入れに備えて8090系の高出力化と先頭車の貫通扉の装備が必要となったため、1988(昭和63)〜1989(平成元)年にかけて貫通扉つき制御電動車のデハ8590形、デハ8690形を5両ずつ製造しました。
(デハ8595・市が尾〜藤が丘・2016年7月11日)
中間車は8090系の編成から3両ずつ抜いて3両の中間車2組+先頭車で8両編成5編成を組成しました。そして中間車3両を抜かれて5両編成となった8090系は大井町線に転属しました。
つまり8590系として製造されたのは先頭車2両だけで、中間車はすべて8090系なので、8090系8590番代だということですね。でもここでは8590系として取り扱います。
8590系のうち8594Fと8595Fは1997(平成9)年に田園都市線へ転属。8595Fの中間車2両を8594Fに組み込んで10両化して運用を開始しました。一方8595Fは予備車となりました。
2001(平成13)年には8593Fが田園都市線に転属。9593Fは中間車4両を8595Fに提供して予備車となりました。そして8595Fが田園都市線での運用を開始しています。
この3編成は5000系に置き換えられて2003(平成15)年に東横線に戻り、元の8両編成3本に復帰しました。そして2004(平成16)年から本来の目的であるみなとみらい線への直通運転を開始しました。
しかし東横線に5050系の投入が始まり、2005(平成17)〜2006(平成18)年にかけて8691F〜8693Fが5両編成化され大井町線に転用。8694F、8695Fは10両編成化されて田園都市線に再び転属となりました。
(デハ8594・市が尾〜藤が丘・2016年7月11日)
この2編成が現在も田園都市線で運用されています。なおこの転配で2007(平成19)年に8090系初の廃車が発生しました。
一方、大井町線へ転属した8090系と8590系は、前面帯のカラー変更などで外観に変化を生じました。
(クハ8081・尾山台・2013年4月24日)
大井町線の8090系、8590系は2009(平成21)〜2013(平成25)年にかけて廃車されました。
8090系のうち、7編成は3両編成化されて秩父鉄道7500系となりました。
(デハ7506・持田〜熊谷・2013年1月2日)
3両編成化に際して三峰口側先頭車は電装されています。
なおデハ7506の種車はクハ8095で前照灯の位置が低い1〜3次車です。
秩父鉄道には中間車2両を先頭車化した2両編成の7800系も4編成導入されています。
(デハ7803・武州日野〜白久・2014年3月29日)
ブラックフェイスなので印象がかなり違いますが、これはこれでいい感じですね。
8590系は先頭車だけの2両編成2本が富山地方鉄道に譲渡され、17480形となりました。
(モハ17481・稲荷町車庫・2014年1月26日)
まだまともな写真を撮っていないので、そのうち撮影しに行こうと思っています。
東急と言えば地方私鉄に譲渡されているイメージが強いですが、8090系、8590系となると譲渡先が少ないようですね。とはいえ、譲渡先で少しでも長生きしてくれることを願いたいものです。