東海道新幹線の新型架線ってなんだ!? | はやこま すていしょん!

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2014(平成26)年11月から東海道新幹線の架線を新型架線に順次交換しています。

その新型架線は高速ヘビーシンプル架線と言って、N700系のパンタグラフが接している架線がそれです。
この写真ではちょっとわかりにくいのでもう少しわかりやすくしてみました。

上の架線が新型の高速ヘビーシンプル架線、下の架線が従来のヘビーコンパウンド架線です。余談ですが架線更新のタイミングによって、上下線で違うタイプの架線を張っているケースが多く見受けられるようです。

ヘビーコンパウンド架線はちょう架線からドロッパで補助ちょう架線を吊り下げ、補助ちょう架線からハンガでトロリ線を吊り下げています。トロリ線は硬銅を使用。断面積は170㎟となっています。また張力はちょう架線24.5kN、補助ちょう架線14.7kN、トロリ線19.6kNで、全体張力58.8kNとなっています。

一方高速ヘビーシンプル架線はちょう架線からハンガでトロリ線を吊り下げてるタイプです。ドロッパや補助ちょう架線が必要ない分部品点数を削減することができ、部品に起因するトラブルを減少させることも期待できる荘です。そしてイニシャルコストも2割削減できる見込みなのだとか。
詳細なデータを見つけることができないのですが、トロリ線の張力は少なくとも19.6kNは確保しているはずです。
というのもトロリ線の張力と最高速度には密接な関係があるからです。
パンタグラフの押し上げ量に伴って架線は上下に振動し、その際に発生する波動が新幹線の前方に伝播して行くのですが、の波動伝播速度が新幹線の速度よりあ る程度速くなければ、波動による上下移動量がパンタグラフの架線押し上げ量を上回って架線とパンタグラフの間に隙間ができ、その結果スパークが発生しま す。

この波動伝播速度は、トロリ線の張力が高いほど、またトロリ線が軽いほど速くなる傾向があります。そして波動伝播速度の7割ぐらいまでの速度が離線率を抑えることができるのだそうです。


なお、シンプル架線自体は整備新幹線ですでに実用化されています。

北陸新幹線高崎~長野間、東北新幹線盛岡~八戸間、そして九州新幹線新八代~鹿児島中央間では、高速(CS)シンプル架線を採用しています。これは鋼を銅で覆った断面積110㎟のCSトロリ線を使用したシンプル架線です。トロリ線の張力は19.6kNで、実は整備新幹線の架線の設計最高速度は300km/hに対応しています。
つまり現在はシンプル架線でも300km/hに対応できているということですね。なお、東北新幹線八戸~新青森間以降の整備新幹線ではリサイクル性に優れた折出強化型銅合金を使ったPHCトロリ線を採用しています。

というわけで東海道新幹線については今後高速ヘビーシンプル架線で285km/h運転をしていく方向の様です。この高速ヘビーシンプル架線が山陽新幹線にも採用されるのかが気になるところですね。