
(「スーパー白鳥」クロハ789-104・茂辺地~渡島当別・2015年11月30日)

(「白鳥」クハ481-3000・茂辺地~渡島当別・2015年11月30日)
「白鳥」の元祖は1961(昭和36)年10月1日のダイヤ改正で登場した大阪~青森間の昼行特急です。列車名の由来は新潟県の瓢湖に飛来する白鳥。
車両はキハ80系。走行距離1052.1kmは日本の昼行特急としては最長距離でした。
1961(昭和36)~1965(昭和40)年までは大阪~上野間を結ぶ「白鳥」、通称「信越白鳥」を併結していました。「信越白鳥」は1965(昭和40)年10月1日に上野~金沢間の特急「はくたか」として独立。この「はくたか」が現在の北陸新幹線の原型といえます。もっと言ってしまえば北陸新幹線が大阪まで開業すれば「信越白鳥」のルートをほぼトレースすることになりますが、果たして実現できるのかどうか?
世界最長距離の電車特急「白鳥」
1972(昭和47)年に白新線と羽越本線が電化され、「白鳥」も電車化。電車「白鳥」は青森運転所(現・青森車両センター)の485系が受け持ちましたが、直流1,500Vと北陸本線の交流20,000V60Hz、羽越・奥羽本線の交流20,000V50Hzの3電源区間を直通可能な485系の本領を発揮した特急となりました。また「白鳥」は世界最長距離を走る電車特急となりました。

(「白鳥」クハ481-334・長岡)
電車特急世界最長距離の座は1975(昭和50)年3月10日の湖西線開業に伴って走行距離が1040kmに短縮され、また山陽新幹線博多開業で東京~博多間の走行距離が実キロで1069.1kmとなったことで「ひかり」に奪われましたが、それでも在来線昼行特急では最長距離列車でした。
第1期「白鳥」全盛期と凋落
1982(昭和57)年11月15日には金沢~青森間の急行「しらゆき」を格上げして「白鳥1/4号」を設定。従来の列車は「白鳥3/2号」となりました。これが第1期「白鳥」の全盛期です。
しかし1985(昭和60)年3月14日には「白鳥1/4号」を新潟を境として「北越」「いなほ」に系統分離しました。この頃には全区間を通しで乗車する乗客は少なく、各区間ごとに系統分離した方が効率が良かったからです。
そういった意味では「白鳥」そのものの存在意義が問われそうですが、は再び1往復に戻りつつも存続。運用は向日町運転所(現・吹田総合車両所京都支所)に移管しました。
しかし1986(昭和61)年11月1日に「白鳥」の受け持ちを上沼垂運転所(現・新潟車両センター)に再移管。そして1987(昭和62)年の国鉄分割民営化を迎えました。

(「白鳥」クハ481-22・谷浜~直江津・1989年8月)
1997(平成9)年には運用を京都総合運転所・現吹田総合車両所京都支所に移管しましたが、2001(平成13)年3月3日のダイヤ改正で「白鳥」はついに廃止。大阪~富山間を「雷鳥」、金沢~新潟間を「北越」、そして新潟~青森間を「いなほ」に系統分離しました。
これは仕方のないことだったのでしょう。余談ですが「いなほ」はさらに秋田で系統分離され、秋田~青森間は「つがる」になりました。また北陸新幹線の開業で「北越」の金沢~上越妙高(直江津)間は北陸新幹線に、上越妙高(直江津)~新潟間は「しらゆき」に系統分離されました。1982(昭和57)年に「白鳥」に格上げされて消えた「しらゆき」が巡り巡って特急「しらゆき」として復活したのは皮肉ですね。
「白鳥」の復活
「白鳥」廃止から1年半後、2002年12月2日に東北新幹線が八戸まで開業しました。これに伴って盛岡~青森・函館間の特急「はつかり」と盛岡~青森間の特急「スーパーはつかり」、青森~函館間の快速「海峡」を整理統合しました。そして八戸~函館間の特急列車の名称が「白鳥」「スーパー白鳥」となり、「白鳥」が復活しました。
なお列車名は公募で決定され、その由来は北海道の大沼に飛来する白鳥だということで、第1期白鳥とは無関係らしいです。
「スーパー白鳥」はJR北海道の789系を使用。

(「スーパー白鳥」クロハ789-102・上磯~茂辺地・2004年5月15日)
当初は3両ユニットと2両ユニットを 連結した5両編成を基本として、ユニットを増結していましたが、2006(平成18)年に2両ユニットを3両化して基本6両編成に変更。さらに増結用の2両ユニットを用意しました。
「白鳥」は「はつかり」を引き継ぐ形で青森車両センターの485系を使用。

(「白鳥」クハ481-3020・小湊~西平内・2010年12月3日)
こららは6両編成を基本に電動車ユニットを増結して運用しました。
「白鳥」復活当時は485系1000番代も残っていました。

(「白鳥」クロハ481-1013・函館・2005年12月17日)
由来は違うものの、ヘッドマークのデザインは第1期と同じでした。
なお、この編成は後に仙台車両センターに転属して、「あいづライナー」に使用されることになります。
東北新幹線新青森開業で、運行区間を新青森~函館に変更。「スーパー白鳥」の増結車として、余剰となっていた785系を改造して投入しました。

(「スーパー白鳥」クハ784-303・2010年12月4日)
「白鳥」は方向を転換してグリーン車の連結位置を789系と揃えました。

(「白鳥」クロハ481-3006・新青森・2010年12月4日)
そして第2期「白鳥」もとうとう姿を消してしまいます。このことは485系使用の定期特急列車の消滅も意味します。国鉄全盛期の花形だった「白鳥」と485系が同時に姿を消すのは感慨深いところです。