R20編成は「こまち」運用終了後、新幹線総合車両センターで長期間留置されていました。

(E311-20・新幹線総合車両センター・2015年12月14日)
R20編成の車体には「ありがとうこまち」の装飾がそのまま残されていました。また「こまち」のラストランに使われたのもR20編成です。
秋田新幹線「こまち」用として製造されたE3系0番代R編成は、E6系への置き換えによって廃車、転用が実施されました。
まず廃車となったのがR1~17編成。1995(平成7)年に5両編成で製造された量産先行車R1編成と1997(平成9)年に製造された量産車R2~16編成。そして1998(平成10)年に6両編成で製造されたR17編成と、R1~16編成の6両化のために製造されたE328形がありました。
R1~17編成はE6系の投入がはじまった2013(平成25)年の時点で経年が15年を超えていたので、廃車されるのは妥当と言えました。
一方2002(平成14)年~2005(平成17)年にかけて製造された0番代R18~25編成はE2系1000番代と同期であり、E6系への置き換えが完了した2014(平成26)年の時点でも経年9~12年と若かったため、廃車を免れました。しかしその後の各編成の運命は大きく分かれてしまいました。
R18編成
2002(平成14)年10月23日製造で、現存するE3系R編成中最も古いR18編成。
2014(平成26)年に山形新幹線のジョイフルトレインE3系700番代「とれいゆ」に改造されました。

(「とれいゆつばさ」E322-701・庭坂~赤岩・2014年7月26日)
16号車の車内に足湯があり、12~15号車の客席も座敷風に大改装した「とれいゆ」は、新幹線区間では運行されていないので、「こまち」時代と比べるとかなり緩い運用になっています。ひょっとするとかなり末永く使われるのかも?
R19編成
2002(平成14)年11月18日に製造されたR19編成は、上越新幹線のジョイフルトレイン「現美新幹線」 に改装されました。

(E322-702・大宮・2016年1月12日)
現美新幹線は車内をアートギャラリーとしています。上越新幹線を走行しますが、240km/h運転だとしても「こまち」時代よりは軽い仕事だと言えますね。
R20編成
2003(平成15)年3月24日に製造された編成です。

(新幹線総合車両センター・2014年9月13日)
新幹線総合車両センターで留置されている間、2014(平成26)年の一般公開の時は台車脱着実演に使われていました。
R21編成
2003(平成15)年9月16日に製造された編成で、現在はE5系と併結して「やまびこ」「なすの」に使用されています。

(「やまびこ」E322-21・福島・2015年10月3日)
側面の「こまち」ロゴは剥がされてしまいましたが塗装は「こまち」時代のままです。
R22編成
R21編成同様「やまびこ」「なすの」に使用されている編成です。2003(平成15)年10月27日製造。

(「やまびこ」E322-22・盛岡・2016年1月24日)
なお、R21編成とR22編成は新幹線総合車両センターに常駐していますが、配置区は今も秋田総合車両センターのままで、交番検査などで秋田新幹線を走る事があるのだそうです。
R24編成・R25編成
2005(平成17)年4月4日製造のR24編成と2005(平成17)年7月11日に製造されたR25編成を2014(平成26)年に「つばさ」用に転用するために改造し、E3系1000番代L54編成となりました。

(「つばさ」E322-1004・福島・2015年10月3日)
R24編成のE326形とE329形とR25編成E311形、E326形、E329形、E325形、E322形を組み合わせて7両編成化。なお改造に漏れた車両は廃車されています。
L54編成は1999(平成11)年製造のE3系1000番代L51編成を置き換えました。
R23編成・R26編成
2003(平成15)年12月1日製造のR23編成のE326形とE329形と、2005(平成17)年7月25日製造のR26編成E311形、E326形、E329形、E325形、E322形を組み合わせてE3系1000番代L55編成となり、2015(平成27)年に「つばさ」に転用されました。
L55編成はE3系1000番代L52編成を置き換えています。これによってGTOサイリスタ素子搭載のE3系は全車廃車となっています。
L編成化による余剰廃車を除くと、2002(平成14)年以降製造のIGBT素子車のE3系で初めて本格的な廃車となるR20編成ですが、逆にここまで廃車されなかったのは、間もなく迎える経年13年まで保留しておいたと考えた方が妥当なようです。つまり新幹線的減価償却というところでしょう。
R20編成よりも若いR23~26編成が「つばさ」に転用されて、経年の古いE3系1000番代L51・52編成を置き換えたのは当然考えられることとして、R20編成より経年の古いE3系0番代R18・R19がジョイフルトレインとして生き残ったのに対して、R20編成の末路は少々可愛そうな気がします。
でも、この考え方で言えばR21・22編成も秋には経年13年になります。となればそろそろE6系を増備してR21・22編成を置き換える可能性もあるのかなと予想しています。今年はE3系R21・22編成の動向に注目したいと思います。