
(クハE234-1・田町・2016年1月13日)
トラブルの原因が満員状態でのブレーキ制御プログラムの問題だったということで、車内には水タンクを満載しての試運転が続いています。
(大崎・2016年1月13日)
この試運転は1月14日までの予定で、その後営業運転を再開する見極めをするそうです。
無事営業運転再開の目処がつくといいですね。
そんなE235系ですが、実は営業運転をしながら線路の状態を監視することができるシステムを搭載しています。線路の状態を監視する電車といえば「ドクターイエロー」や「East-i」などが有名ですが、最近はN700系の一部編成などが営業運転をしながら軌道簡易検測をしていたりします。
E235系は線路設備モニタリング装置と架線状態監視装置搭載しています。
線路設備モニタリング装置は4号車に搭載され、写真右の黒いユニットで制御しています。搭載されているのは軌道材料モニタリング装置と軌道検測装置です。

(サハE235-1・大崎・2016年1月13日)
軌道材料モニタリング装置は写真中央のグレーのユニットです。
軌道材料というのはレール締結装置、板継ぎ目ボルト、軌道パッド、絶縁接着部などのことで、これらのエラーを走りながら監視しています。
装置にはLED照明とレーザプロジェクタ、ラインセンサカメラ、プロファイルカメラが搭載されています。LED照明の明かりとレーザプロジェクタの赤いラインが見えると思います。
ラインセンサカメラが、軌道材料を上から2次元画像を撮影。プロファイルカメラがレール近辺の高さを3次元画像で撮影します。
線路モニタリング装置は車体後位側に搭載されています。

(サハE235-1・大崎・2016年1月13日)
ユニット内部には加速度計、光ファイバージャイロ、2軸レール変位検出装置を搭載しています。
加速度計と光ファイバージャイロは装置自体の絶対変位を算出します。
2軸レール変位検出装置は反射鏡と駆動用モータ、レーザ変位計で構成されていて、装置とレールの相対変位を測定します。
そして装置の絶対変位と装置とレールの相対変位の差を計算して軌道変位を測定します。軌道変位の測定項目は通り、高低、軌間、水準、平面性です。
架線状態監視装置は3号車の屋根上に搭載された各ユニットを床下に搭載した制御ユニットが車両制御装置INTEROSと連携させています。
写真手前からパンタグラフ、加圧部ユニット、伝送ユニットです。

(モハE235-3・大崎・2016年1月13日)
パンタグラフの舟体には加速度センサが取り付けられていて、架線金具や障害物からパンタグラフへの衝撃を検知します。
加圧部ユニットには光学式離線センサがパンタグラフ離線時に発生するアークを検知。
伝送ユニットにはパンタグラフのトロリ線摺道状況を確認するパンタグラフ監視カメラを搭載しています。カメラを補助する投光器は加圧部ユニットの両脇にあります。
こちらは手前から架線変位検出器とトロリ線摩耗検出器です。

(モハE235-3・大崎・2016年1月13日)
架線変位検出器はトロリ線の高さと偏位を検出する回転レーザー装置です。
トロリ線摩耗検出器が赤外線LED光でトロリ線の摩耗状態の測定と電柱の検知をします。
これらの監視装置によるモニタリングデータにINTEROSからの位置、走行速度、列車番号などの情報を付加して地上に送信して、線路保守のデータとするわけです。
営業車に検測機器を搭載する理由は、検測車の検測周期の間も常に線路をモニタリングすることでトラブルを回避しようとする狙いがあります。今後は営業運転中に線路のモニタリングをする編成が増えてきそうですね。